国会質問

質問日:2020年 5月 19日  第201通常国会  国土交通委員会

道路法等改定案はバスタで大規模開発と批判

バス、タクシー、トラックなどの複合的バスターミナル(バスタ)を国などの道路管理者が公共施設として整備し、運営を民間企業に委ねることなどを定めた道路法等改定案は、特定企業を優遇し、バスタを中心とした大規模開発事業を後押しするものだと批判しました。

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複合的バスターミナルで大規模開発を後押し 2020.5.19

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 まず、特定車両停留施設について質問をさせていただきたいと思います。
 五月八日の衆議院の国土交通委員会で我が党の高橋千鶴子議員が、これまでのバスターミナル、トラックターミナルなど、自動車ターミナル法で規定されていたと思いますが、民間事業者がやっていたものをどうして国などが整備する公共施設にするのかということを質問いたしました。池田局長からは直接そのお答えがなかったように私は思っているんですけれども、改めてその点お聞きしたいと思います。国などの道路管理者が公共施設としてなぜ整備するのか。

○政府参考人(池田豊人君) 全国の鉄道駅周辺におきまして高速バスの路上バス停などが分散して設置されてきておりまして、利用者にとって利便性が低く、また、路上バスでの乗降などにより周辺道路の交通の混雑や事故などの課題が発生している、そういった場所が出てきております。
 今回改正で導入する特定車両施設につきましては、このような課題がある際に、民間事業者によるバス停集約などの施設整備がなされる見込みが認められない場合に、道路管理者が主体となって整備を行うことができるように制度を新設するものでございます。

○武田良介君 今答弁あったのは、なかなかバス停などが分散をしている、利便性がないから利便性を向上させると、それから、混雑だとか事故だとかということの社会的な課題というふうにも言われますけれども、それを解決するためにということなんですが、それを民間でやられないときには、道路管理者である、国道の場合が多いでしょうから国がやっていくということを御答弁になった。
 民間がやられないから国がやると、その公共性というところがやはり問題なんだというふうに思うんですけれども、自動車ターミナル法、この自動車ターミナル法に基づいても民間事業者がそれをやることはできる、そのバス停などが分散していて利便性がない、そういったものをバスターミナルつくることはできるということなわけですけど、何で自動車ターミナル法でもできることを国がやるのか、ちょっとよく分からないんですね。もう一度お願いします。

○政府参考人(池田豊人君) 自動車ターミナル法に基づく自動車ターミナルの設置でございますけれども、これは採算性などを踏まえた民間事業者の経営判断でされると思います。
 先ほど申しましたように、現在全国で、その鉄道駅周辺の分散したバス停の問題で、先ほどおっしゃっていただきましたような利便性向上ですとか、渋滞、事故のことが起こっております。こういう場合があるのが実態でありまして、民間の事業が行われずにそういう状況があるわけであります。新宿駅の周辺についてもそのような状況があったということで、現在の新宿バスタについても整備を進めてきているということでございます。

○武田良介君 ちょっと整理もしなきゃいけないんですけど、自動車ターミナル法でも可能というのは、私も、自動車ターミナル法、改めてレクも受けましたし、読ませてもいただきました。
 これは、バス事業者からバス使用料、使用料金ですね、それをターミナルの運営する者、経営者が徴収をして経営するわけですよね。これ、一般バスターミナルとして法律に位置付けられていて、その経営者の方は国土交通大臣の許可を得てその使用料金をいただく、事前に届出もする、建築基準法に加えて上乗せの基準もあるんだというようなことで、これはしっかり位置付けられているものなんですね。
 今新宿の話にも触れられておるわけですけれども、まず、ちょっと整理も必要なんですが、自動車ターミナル法に基づいて民間事業者が分散している高速バスのバス停を一つに集約するためにバスターミナルを整備したという実績があるのかどうか、お願いします。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 自動車バスターミナル法に基づいたバスターミナルは全国二十五か所に整備をしております。先生御質問いただきました点でございますけれども、最近では福岡のHEARTSというバスターミナルがございますが、HEARTSバスステーション博多、平成三十年十二月に供用を開始しておりますけど、これは周辺にありました観光バスの停留所あるいは路上にありました高速乗合バスの停留所、これを集約したというものがございます。

○武田良介君 自動車ターミナル法でも集約した実績もある、法律上もできるということになると、今回の法案は何でこれ変える必要があるのか、この特定車両停留施設、これ何で必要になるのかということが疑問になるんですね。これは何で必要なんですか。

○政府参考人(池田豊人君) お答えいたします。
 現在、全国の鉄道駅周辺で起こっておりますバス停分散による混雑や事故、こういった課題があった場合も、採算性が期待されない場合にそういう民間での設置施設がされずに、その課題の解決がされていないという現状がございます。こういった場合に、その公共的な課題の解決のために、公共施設として整備ができるように今回の道路法によりまして特定車両停留施設を位置付けたものでございます。

○武田良介君 民間事業者が取り組むときに、採算が取れないということがあれば進まないんだということを繰り返し御答弁いただいております。やはりその採算が取れるかどうかと、ある意味素直に御答弁いただいているなというふうに思いますけれども、そこのところを国がしっかり支えていくという格好になっているということだというふうに思います。
 もう一点確認しておきますけど、先ほども新宿の話少し出ましたけれども、バスタ新宿、これ自動車ターミナル法によって設置されているというよりは、これは道路法の自動車駐車場で、駐車場ですね、駐車場に規定をして設置されているものだというふうに思うんです。この点からしても、やっぱり今回の法改正の必要性というのが疑問なわけですけれども、この点から見てもやはり採算性だということをおっしゃるわけでしょうか。

○政府参考人(池田豊人君) バスタ新宿についても、やはり長年高速バスを中心にバス停が分散されていた状態があったわけですけれども、なかなか民間の事業者でそれを解決するためのそういう集約施設ができなかったという中でそれを何とか解決しようということで、当時、駐車場法を活用することで公共施設として整備をしたと、こういったことでございます。

○武田良介君 だから、できるわけですよね。公共施設として整備することができる。だから、今回の法改正がそのバスタ新宿の例を見てもなぜ必要なのかということがよく分からない。
 もう一度いかがですか。

○政府参考人(池田豊人君) 駐車場でできるということでバスタ新宿はやったわけですけれども、駐車場でやる場合は一般車両の排除ができなくて、そういう車両も入ってくる施設になります。
 今バスタ新宿は、それを要請として一般車両の導入を来ないようにお願いしているわけですけれども、今回新たにつくる特定車両停留施設はそういう一般車両は入れないと、入らないということの前提でつくったということで、より利便性の高い、バスターミナルとしての利便性の高いものを位置付けるための今回の法改正でございます。

○武田良介君 何かよく分からないところがあるんですけれども、やっぱり今回の法案で、今も答弁にもあったように、バス停が分散していて利便性が低い、あるいは乗り降り、荷物の積卸しなどで混雑する、事故が発生する、そういう社会的課題に対応するんだというふうなこともおっしゃるわけですけれど、一方で、やっぱりその採算性云々かんぬんという話があり、国がそこに力を貸していくといいますか、そういう格好になっているということなのかなというふうに思うんですね。
 結局、今回の特定車両停留施設と自動車バスターミナル法のバスターミナルで決定的に違うのは、その整備に必要な費用を誰が負担するのかという点だと思うんですね。バスタ新宿は、先ほども話も少しありましたけれども、国費を投じて整備されましたけれども、要した費用は七百億円だと。バスタプロジェクトとして事業化された品川駅の西口広場、これは八百億円、計画中の神戸三宮の駅前空間、これは百八十億円、大変な事業費が掛かるわけであります。
 特定車両停留施設は、これまで民間事業者が自己負担で整備してきたバスターミナルを国などが国民の税金を使って肩代わりをして、特定の民間事業者を優遇するものだということを指摘をして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
 歩行者利便増進道路でありますけれども、資料を付けました。この資料は、社会資本整備審議会道路分科会の第六十七回基本政策部会の議事録の抜粋であります。赤線引いてありますけれども、国土交通省の交通安全政策分析官が歩行者利便増進道路について説明した部分であります。文中に出てくる七ページという資料も二に付けております。
 ここで、交通安全政策分析官が、もう一点の課題が、非常に従来と使い方を変えるものですから、地元住民であったり、ちょっと「で」が抜けているように思いますけれども、地元住民であったり関係行政機関との調整協議が難航していると、左側のフローがありますけれども、実際整備をしようとすると、住民の方とかがいろいろ生活への影響とか、それから安全の話とか、そういうような御意見等もあって、失敗といいますか、整備が中断するという事例もあるように聞いておりますというふうに述べております。
 この失敗あるいは中断した事例というのはどういうものなのか、具体的に教えていただきたいと思います。

○政府参考人(池田豊人君) お答えいたします。
 この歩行者中心の道路空間の再構築は、車道を減少させて歩道を広げるような、こういったものが、その計画の中心になるものがございまして、渋滞の発生などの観点から協議調整が難航するケースがやはりあります。
 具体的には、そのような、車道を狭め歩道を拡幅して対面通行を一方通行に変えようとする計画におきまして、やはり渋滞解消から、地元の住民や周辺の関係者の合意形成が難航して、当初考えていた区間を縮小したような事例もあると考えております。
 このように、非常に合意形成には時間が掛かるものではあると考えております。

○武田良介君 どういう事例だったのかということを事前にお聞きしまして、そのときにいただいた回答が資料の三なんですけれども、どの地域のどういう道路でどういう計画でということがなかなか分からなかった。この資料に付けたものよりは詳しい御説明いただきましたけれども、住民の皆さんのどういう意見があったのか、どういう心配、懸念があったのか、その点についてはもう少し御説明いただかなければならないのかなというふうに思いますけれども。
 資料の一の続きでありますけれども、分析官は、次の赤線引いた部分ですけれども、一方で、右下にあります兵庫県の姫路の例ですけれども、やっぱり早い段階から住民の方とか関係機関を入れた協議会なんかでインボルブしていくとうまくいったという例も聞いております、ただ、一番右側の課題ですけれども、住民の方々との協議調整を円滑に進めていく、こういう事例はありますよという紹介はやっているのですけれども、仕組みといいますか制度といいますか、そういうものが必要なのかもしれないと考えているところでございますということを述べておりまして、うまくいった事例ということは紹介をしつつ、その紹介だけではなくて、住民との協議調整を円滑に進めるための仕組み、制度が必要ではないかということを述べておられます。
 しかし、今回の法改正には、こういう、まあ市町村長との協議ということについては規定されておりますけれども、住民との協議ということは何の規定もないわけなんですね。これについても事前に国交省にお聞きしましたら、市町村長との協議をもって住民との協議も兼ねているんだというような説明だったわけですけれども、市町村長は選挙で選ばれているから住民は市町村長に全てお任せということではなくて、やはり個々の政策については市町村長とも異なる意見を持っている場合もあるというふうに思います。
 そこで、大臣に最後お伺いしたいと思いますけれども、こういう住民と協議する仕組みや制度、設けられていないわけですけれども、これでいいのかどうか、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 住民の皆様の御要望が反映しないようなものはつくるべきではないと思いますし、そうは長続きしないわけでありますから、今回、この法改正の中でも、市町村長に協議しなければならないと規定する。市町村長は、それを受けるに当たっては当然地域住民の皆さんの声は聞いていると承知をしますし、また、道路の占用者を公募する際にも、関係市町村及び学識経験者などから意見を聴取しなければならないと規定をしておりますので、そうした御心配は当たらないと思います。

○委員長(田名部匡代君) 申合せの時間ですので、おまとめください。

○武田良介君 はい。
 仕組み、制度をしっかりつくることを求めて、終わりたいと思います。

○武田良介君 私は、日本共産党を代表して、道路法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 災害によって被害を受けた地方管理道路の道路啓開、災害復旧の国による代行の拡充については、迅速な災害復旧と地方自治体の負担軽減に資するものであり、評価できます。しかし、本法案は以下の点で問題があり、賛成できません。
 第一は、これまで実施主体も費用負担も民間事業者であったバスターミナルを公共施設として整備できるようにすることで、民間事業者が負担すべき整備費を国などが肩代わりするとともに、特定企業を優先的に優遇する都市再生事業など、バスタを中心とした大規模再開発事業を後押しするものになりかねないからです。
 特定車両停留施設は、七百億円もの公費をつぎ込んで二〇一六年に開業したバスタ新宿を始め、リニア開業時の二〇二七年の概成を目標としている国道十五号・品川駅西口駅前広場工事事業や、総事業費が一千億円を超える国道二号等神戸三宮駅前空間事業、さらに札幌駅、仙台駅、大宮駅、新潟駅、呉駅、長崎駅など、既に事業化、あるいは現在検討されている全国の大規模再開発事業の中心施設として位置付けられており、認めることはできません。
 第二は、歩行者利便増進道路の指定制度は、住民と協議する仕組みがなく、大手不動産会社など大規模開発事業を進める特定事業者に公共空間である道路の占用を最長二十年もの期間認めるもので、住民の意向を無視した再開発事業に利用されかねないからです。
 社会資本整備審議会道路分科会第六十七回基本政策部会では、国土交通省自身が、住民との協議調整をする仕組み、制度が必要ではないかと述べていたにもかかわらず、本法案には何の規定も盛り込まれていません。
 歩行者利便増進道路の人中心の道路空間との理念に反対するものではありませんが、住民合意のない当該道路が特定事業者を優先的に優遇する大規模再開発事業とセットで進められかねず、賛成できません。
 以上、反対討論とします。

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関連資料

しんぶん赤旗「バスタで大規模開発/武田氏 道路法等改定案批判」

参考資料

20200519国交・道路法質疑資料