国会質問

質問日:2020年 5月 14日  第201通常国会  国土交通委員会

新型コロナ影響の解雇からタクシー労働者守れ

新型コロナウイルスの影響により各地で発生するタクシー労働者の解雇問題で、実態調査の不十分さを指摘し、雇用を守る指導の強化を求めました。

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タクシー労働者の雇用を守れ 2020.5.14

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 新型コロナウイルスの影響を受けておりますタクシー事業者について再び質問させていただきたいと思います。
 三月の十日に当委員会で質疑をさせていただいた際に、タクシー事業者への影響については三月三日から調査を始めたということでありました。資料も付けましたけれども、そのときの調査票であります。その後、国土交通省で行った調査でどのような影響が明らかになったか、御説明いただけますでしょうか。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 三月の初旬に実施をしました調査につきましては、二百三十五社を対象といたしまして、運送収入でありますとか資金繰りの状況、雇用状況などについてアンケート調査を実施しております。
 その結果でございますが、運送収入の前年比では、一月実績で九八・七%、対前年度ですね、二月実績で九三・四%、この時点では三月は見込みになりますが、三月見込みでは七七・九%、四月の見込みでは七八・七%という回答がございまして、三月以降に大きな影響が出るという見方が読み取れると思っております。
 また、資金繰りで困っている状況という問いがございますが、その回答では、長期化すると影響が出るであろう、あるいは状況を見ながら金融機関からの融資を検討するといった答えがございまして、雇用状況について対応したことはないんでしょうかと、何であろうかという問いへの回答につきましては、雇用調整助成金やセーフティーネット保証制度を活用する予定であるという答えがございました。

○武田良介君 資料の二に今御説明いただいた内容を付けてあります。
 今、説明の中にも三月見込みとありましたけれども、今説明いただいた調査は三月に行われたものでありますが、国土交通省として四月以降の調査は行っていないのかどうか。その四月以降の調査はどのように行い、どういう結果があるのか、これも御説明いただけますか。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 まず、三月上旬に行ったものを先ほど申し上げましたが、もう一度三月の中旬に行っております。今後、四月の中旬にも行っておりますが、毎月一回調査を行っていく予定にしてございます。対象者は二百三十五社、全国から抽出をしておりますが、四十七の都道府県ごとに大きな会社、中ぐらいの会社、小さな会社、これを選定しまして、各県五社ずつ選定をしましてアンケート調査を実施するということにしておるところでございます。

○武田良介君 中身についてちょっと触れて、直接触れていただきませんでしたが、資料の三に付けてございます。
 私、この調査、極めて不十分なんじゃないだろうかというふうに思っております。まず、国土交通省として直接やったわけではなくて業界にお願いしたということをお聞きしておりますけれども、それでいいんだろうかということを前提にして、不十分ではないかというふうに思っておりまして、一つは、全国、先ほどお話ありましたけれども、法人タクシー事業者、大体六千百四十七社ですか、最新の数字で、そこのうち二百三十五社、都道府県各五社抽出という話ありましたけれども、しかし、福祉輸送限定の事業者ですとか、あるいは個人タクシーの事業者などもいらっしゃいます。こういう方たち四万社を超えておられるわけですね。全体として見た場合に、この数が少ないんじゃないかというふうに思います。
 それから、二百三十五社、それぞれ追跡して調査をしていくというふうに伺っております。追跡して変化をつかんでいくことは重要だともちろん思いますけれども、それ以外の事業者がどういう状況になっていくのか、ここが視野に入ってこないのではないだろうかというふうに思います。
 それから、調査している項目ですね、今、資料の三にも付けましたけれども、この項目も少ないんじゃないだろうかというふうに思うんです。前回の質問の際にも資料付けさせていただいた、資料一の調査票ですけれども、雇用状況という項目ありましたけれども、今回のその業界団体通じて行っている調査、ここに、項目に入っていないんですね。
 政府が緊急事態宣言を発して、様々な分野で自粛を要請されて、全国のタクシー業界でも雇用問題が深刻さを増しているわけですから、この調査ではやっぱり不十分と言わざるを得ないというふうに私は思っておりますが、大臣、この点で、どうでしょうか、不十分だというふうにお思いにならないでしょうか。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 先ほど御質問の趣旨をちょっと勘違いしておりましたので、四月以降というふうに言われまして、三月下旬で出ております数字を申し上げます。
 運送収入につきましては、前年より二〇%以上減少する事業者は、三月以降は六割から七割に急増するという結果が出ています。また、輸送人員も、三月以降は前年に比べて約四〇から五〇%減少すると見込まれる結果となったというふうになっております。また、資金繰り支援の活用状況は六八%が活用に向けて検討中、雇用調整助成金は七二%が活用に向け検討中という結果となってございます。四月につきましては、今集計中でございますので、これが出ましたらまた御報告をするということにさせていただきたいと思っております。
 また、御質問いただきました雇用につきましてでございますけれども、雇用につきましては、雇用対策に関して、雇用に関して何か講じている措置があるかというのがあの質問票でございます、三月の初旬に作りました質問票でございます。これについては、例えば雇用調整助成金を取得すべく対応に入ったというようなことがございまして、雇用状況を直接聞いているわけではございません。この質問項目を御覧いただきますと、雇用状況について講じている措置については何かと聞いているところでございます。

○武田良介君 私、この調査が不十分ではないかというふうに聞かせていただきましたけれども、その点の認識はいかがですか。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 数についての御指摘をいただきました。法人については六千百四十七社ございますけれども、実はこの調査をやるに当たっては、各社結構やはりこういうことは余分な負担なのでやめてほしいということを言ってこられます。その中で、全国で二百三十五社を選んで、それも御指摘いただいたように、追跡調査をやっておりますので、ある程度のデータは出てくるんだろうというふうに思っているところでございます。

○武田良介君 不十分だというふうにおっしゃらないわけなんですけれども、負担掛けると言うけど、二百三十五社なんですよね。それ以外の事業者はむしろ実態つかんでくれというふうに私は聞きますよ。タクシー事業者さんは、国はそういう状況をつかんでいるんだろうかと。大臣、この後質問させていただきますので、大臣、この後質問させていただきますので、ちょっと実情も紹介させていただいた上で大臣、御答弁いただきたいと思うんですけど。
 ロイヤルリムジンの話はもう全国的に知られる状況になっていると思いますが、緊急事態宣言の翌日である四月の八日に、グループ傘下の五社、六百人の従業員に突然退職強要を通知されました。自交総連の組合がある目黒自交では、退職強要を撤回させて、事業の継続、それから、一部休業して休業補償を支払うということで合意ができているわけです。しかし、その組合のない他社では、退職合意書にサインさせられるということもあるわけです。
 同時に、これ、ロイヤルリムジンだけではありません。四月の三十日には、宮城県のセンバ流通が三十五人中約半数の労働者に解雇を通告、そのほかにもたくさん聞いておりますが、東京の龍生自動車というところ、あるいは神奈川の松田合同自動車、兵庫の大成交通、いろんなところで出ているんだという実情を聞いております。
 こういう解雇通告が各地で出されておりまして、こういう事態が既に発生してしまっているわけですから、先ほどの調査も私はやっぱり不十分だというふうに思いますし、この調査をもっとしっかりやるべきなんじゃないだろうかと。国交省自身が実態を把握するべきなんじゃないだろうかというふうに思います。少なくとも、国交省が三月の時点に雇用状況について聞いているわけですから、こういう調査をしっかりするべきじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(赤羽一嘉君) あのですね、私たちは、ハイヤー・タクシー業界と調査だけでやり取りをしているわけじゃございません。この調査自体も、今委員自体も言われていましたが、その四十七都道府県の全国ハイヤー・タクシー業界という組織を通して定点調査をしていただいておりまして、当然そのプロセスの中、また日常的にも、私の大臣室にも、この全国ハイヤー・タクシー業界の会長を始め各都道府県の役員の皆さんしょっちゅう足を運んで来ていただいておりますので、我々は、この業界、先ほどから何遍も言っておりますが、公共交通機関として重要な、一番大切なインフラであり、また中小企業、零細企業も多い業種だということで、それを、この紙だけでの付き合いをしているというのは全く誤解だということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
 しかし、その中で、こうした厳しい状況の中でありますので、我々も、先ほど申し上げました特例措置で宅配等々のデリバリーという新しいことも認めたりとか精いっぱいのことはやっておりますが、しかし本当に厳しい状況の中で倒産のやむなきに至っているということも出てくる、これも看過することはできない。このことについてはしっかりとフォローしていかなければいけないと思っております。
 また、組合の雇用の問題については、これは我々の所管ではなくて、厚生労働省の所管でありますが、当然我々も業界の維持という面ではフォローをしていきますが、今言われたような組合との訴訟の問題については、一義的には厚生労働省の役割分担だというふうに認識をしておるところでございます。
 何か自動車局長から補足があれば。私、ちょっと、不十分かどうかということについて先ほど回答申し上げたかったので手を挙げたわけでございますので、ちょっとフォローをすることがあれば。

○武田良介君 紙だけではなくて日常的にお付き合いもあるんだというお話だったかと思いますけれども、実際には、タクシー労働者が解雇されるという状況が現実に起こっているわけであります。この状況を放置したらタクシー労働者は生きていけない、生活できないという声がどんどん上がっておりますし、業界全体にとっても非常に大きな打撃になるんじゃないかと。
 政府は、今厚生労働省という話もありましたけれども、雇用を維持するために雇用調整助成金の制度を設けておりますし、事業者の負担を軽くして、使い勝手が良くなるように助成率の引上げをする、あるいは申請手続の簡素化をする、様々対策を講じておられるわけであります。しかし、現場ではそれでもなお、まだ使えない、手続をもっと簡素化してほしいだとかいう声が出てきておりまして、やっぱり使われなければ、これならないというふうに思うんですね。
 先ほど、宮城県のセンバ流通ということを触れましたけれども、この事業者は、労働者の側が雇調金を使って休業したりして雇用を守ってくれということを事業者の方にお願いをしているわけですけれども、しかし、それに対して聞く耳を持たずに解雇するということがやられる、こういうことなんですね。
 国交省に、今の答弁を受けてもう一回確認しますけれども、タクシー労働者が雇調金使って雇用を維持してほしいと言っているけれども解雇されてしまうと、そういう実態あるということを御存じなんでしょうか。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 報道によりまして、事業者におきましてタクシー運転手が解雇されている状況があることは承知をしております。その場合、私ども運輸局や支局から会社に連絡を取りまして、どういう状況なのかを確認をしているところです。
 なお、先ほど大臣からも答弁ございましたが、個々の雇用契約に関する問題につきましては、私どもの所管というよりは厚生労働省さんでございますので、そこにおつなぎをして、厚生労働省さんで対応していただくということでございます。私どもは、タクシー事業の継続的な実施ができるかどうか、そのために雇用が維持されているかどうか、こういったところを見ておるところでございます。

○武田良介君 報道を通じて知っているという受け身ではならないと思うんですね。
 じゃ、厚労省に伺いたいと思うんですけれども、一般論で結構ですけれども、雇用維持のために設けられたこの雇調金制度ですけれども、政府はこの今回のコロナで使い勝手を良くしようということでやってきた。できるだけ使うこと、使ってもらうことが望ましいというふうに私も思いますけれども、政府として今後どういうふうに対応していくのか、御説明いただけますか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中で、事業主の皆さんが雇用調整助成金を積極的に活用いただき、働く方々の雇用の維持を図ることは喫緊の課題だというふうに考えてございます、喫緊の課題だということで考えてございます。

○武田良介君 さらに、手続の簡素化だとか、努力されていることあるんじゃないですか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) 失礼いたしました。
 私ども、是非活用いただくために、いわゆる使い勝手の良さといいますか、申請手続を簡便にしようということで、例えば、申請書類等の記載事項を半減するとともに、計画届の事後提出を認めるなど、申請手続の簡素化を図っております。また、今般、小規模事業主を対象として実際の休業手当額を用いて助成額を算定するなど、助成金の算定方法を簡略化いたしまして、申請手続の更なる簡素化を図ろうとしているところでございます。
 さらに、これに加えまして、その簡素化の取組に加えまして、雇用調整助成金の申請書類作成を分かりやすく解説した動画を作成、公表しているほか、小規模事業主の皆さんを対象とした分かりやすいパンフレットを作成することとしており、この簡素化と併せまして、事業主の皆さんがより円滑に申請書類を作成できるように努めているところでございます。
 こうした取組を通じまして事業主の皆様に雇用調整助成金を活用いただき、働く方々の雇用の維持が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○武田良介君 休業手当を支払わないと助成されない仕組みがハードルになっているという声あると思いますけど、この点は何か変更ありませんか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 雇用調整助成金は、経済上の理由で事業が縮小して、その中で労働者の方を休業させて、休業手当を払って雇用を維持をするという場合にお支払いするという助成金でございますので、当然、前提として休業手当をお支払いいただくということになってございます。

○武田良介君 タクシー労働者の皆さんが雇調金を使う場合にも、六割という話が以前ありました、今拡充という話ありますけれども。事業者の方は一〇〇%出すというふうになかなかならないという実態もあるやに聞いておりますけれども、私はやっぱりしっかり補償される、一〇〇%補償されることが望ましいというふうに思いますけれども、その点、厚労省、どういう認識でしょうか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 雇用調整助成金につきまして、私ども様々な特例措置を設けているところでございますが、特に、支払能力が乏しい企業におきましても、労働基準法上の基準を超える高率の休業手当が支払われ労働者の雇用の維持と生活の安定が図られるよう、解雇等を行わずに雇用を維持する中小企業に対しましては、休業手当、これ法律では六〇%と基準法上なってございますが、それを超えて支給する分につきましては、六〇%を超える分をお支払いいただく分については助成率を一〇〇%ということで、高率の助成制度を特例として講じているところでございます。
 私どもといたしましては、このような特例措置を活用していただきまして、できるだけ高率の休業手当をお支払いいただくよう、周知を図るなど取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○武田良介君 そういう拡充をやってきたわけだから、大いに使っていただいて、生活保障にも、解雇にもならないようにも、大いに活用していただきたいということだというふうに思います。
 確認しますけれども、雇調金の上限の問題もありましたけれども、この点はどうなのか。その一〇〇%の補償が望ましいわけですけれども、上限がこれありますと事業者の負担が残る、そうするとなかなか事業者が使わない、タクシー事業者でもどこでもそうだと思いますけれども、この上限についてはどのような見直しをされるんでしょうか。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 雇用調整助成金、一日の日額の上限が八千三百三十円となってございますが、これにつきましては、この引上げにつきましてはこれまでも各方面から御要望をいただいているところでございまして、また総理の御発言もあったところでございますので、今後しっかりと検討して具体化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○武田良介君 組合の方も、会社と交渉するときには、会社の負担が増えることなく休業手当を引き上げることも可能なんだということを説明しながら交渉しているという話も聞いております。本当に、生活できるような制度の拡充を求めたいというふうに思いますし、雇調金の制度の拡充は小出しにされてきて、私も、社労士の方なんかが、その変化に付いていけないという声もたくさん聞いております。もうこれ以上ないという拡充を是非していただきたいというふうに思います。
 そういう雇調金の制度を拡充してきたわけなんですが、それでもやはり解雇があり、不当解雇も起こっているということがございます。先ほど紹介しましたセンバ流通ですけれども、これ、四月の三十日に突然、整理解雇通知書、通告書を出してきたということなんですね。労働組合は、四月の二十日に団体交渉、さらには交渉に入る前にも雇用調整助成金を活用して、会社も労働者も一体になってこの危機乗り切ろうということで会社側と話合いを続けてきたわけです。そのさなかでの整理解雇の通告であり、私、これ絶対許されないと思うんですけれども、こういう悪質な解雇を許していたら、今後同様の解雇が続く可能性もあるんだと私思うんです。
 直ちにこれ指導すべきだというふうに思いますけれども、厚労省、いかがですか。

○大臣政務官(自見はなこ君) 個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、労働者の同意を前提としない使用者による一方的な労働契約の解約は解雇に該当するものでございます。
 労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法第二十条第一項において、原則として、少なくとも三十日前にその予告をするか、あるいは解雇予告手当を支払わなければならないものとされております。また、解雇の有効性については最終的に司法において個別の事案ごとに判断されるものとなりますが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるものと認められない場合は無効となりますということとされております。
 厚生労働省といたしましては、これらの法令等に照らして問題のある事案を把握した場合には、引き続き、都道府県労働局等において適切に指導を行ってまいりたいと存じます。

○委員長(田名部匡代君) 時間が来ておりますので、おまとめください。

○武田良介君 はい。
 しっかり是非指導していただきたいということを重ねてお願いをして、質問を終わります。

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関連資料

しんぶん赤旗記事「タクシー労働者守れ/武田氏 解雇問題、各地で発生」

参考資料

20200514国交質疑資料