国会質問

質問日:2020年 5月 26日  第201通常国会  国土交通委員会

自家用有償旅客運送はライドシェアの「突破口に」

本日、自家用有償旅客運送はライドシェアの「突破口になる」と竹中平蔵氏も発言する、自家用有償旅客運送を拡大する法案の審議で質問にたちました。

自家用有償旅客運送とは、バスやタクシー事業者が公共交通サービスを提供することが困難な地域に限り、二種免許を持たない方が不特定の乗客を有償で運ぶことで、いわゆる白タク行為にあたることから、例外的、限定的に認められてきたものです。
今回の法案は、旅客の範囲を地域住民から、観光客・ビジネスマンなどまで広げるもので、白タク行為の拡大に道を開く!と反対しました。

いまでも観光客を運ぶことはできますが、市町村長が必要と認めるときでした。この条件を外して法定してしまうのです。

「自家用有償旅客運送は、バスやタクシーといった公共交通サービスが提供できない地域で、地域の関係者も参加した会議で決める」(だから、無制限の拡大にはならない、ウーバーみたいな事業者も入らないという趣旨)との答弁が繰り返されてましたが、
その会議での合意は「全会一致を意味するものではない」「会議体ごとに過半数とか、3分の2に決めればよい」と、国交省は2018年に通知して強調しました。これでは、自家用有償旅客運送はタクシー事業を駆逐してしまうという事業者の声がないがしろにされると指摘。(資料)

自家用有償、ライドシェア拡大へ、竹中平蔵氏のいう突破口にならないよう、ライドシェア部分だけを削除しようという修正案も出しましたが、これは否決。そして、原案が可決されてしまいました。

このコロナの中でやることか!
参議院での質疑時間はわずか2時間45分。私の質疑時間は15分。悔しい質疑となりました。

どこでも地域公共交通の維持発展は切実な課題だけに、引き続き取り上げたいと思います。

質問の映像へのリンク

白タク拡大に道開く 地域公共交通守れ 2020.5.26

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 自家用有償旅客運送に絞って質問させていただきたいというふうに思います。
 まず大臣に基本的な認識をお伺いしたいと思いますけれども、道路運送法の目的にも、輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るということがうたわれていることも踏まえれば、地域公共交通は安全を第一にするバスやタクシーの事業者が担っていくというのがやはり本来だというふうに私考えておりますけれども、大臣は、その地域公共交通の担い手、バス事業者だとかタクシー事業者だとか、こういった事業者が担うのが望ましいというふうにお考えでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 様々な地域事情はあるにしても、基本的には、今おっしゃられたように、バス、タクシーの公共交通機関として担っていただいている方にしっかりとその役割を果たしていただくということ、また、過疎地域によっては、そうした、なかなかバス、タクシー事業者がいないところについては、この自家用有償旅客運送制度というものを活用して今展開させていただいているということでございます。
 いずれにしても、国民の皆様の日々の生活の足を支えている重要な公共インフラだというふうに認識をしております。

○武田良介君 バスやタクシーが重要だという御認識をいただいたというふうに思います。
 自家用有償にしても、この間、限定的にやられてきた、あくまでそういった公共交通が確保できないところでの対応ということでありましたので、確認をさせていただきたいというふうに思います。
 自家用有償旅客運送が広がることで、私最も懸念されるのは、やはり安全性だというふうに思っております。その点で、自家用有償旅客運送のドライバーさんですけれども、タクシー運転手さんに求められるような第二種免許が必要だというふうにはこれ必ずしも義務付けられておりません。
 これ、なぜかということで国土交通省の方にもお聞きをしまして、回答いただいたので資料に付けましたけれども、今の答弁のように、基本的に安全が大事だということは冒頭述べておられるわけですけれども、その後、ただしということで、自家用有償旅客運送は、バスやタクシー事業者による提供が困難な地域に限定されて行うものであることから、運送頻度が低く、収益を上げるための効率性も求められないから、同じレベルは求めないんだと、こういう趣旨の回答でありました。
 しかし、今回の法案では、その対象を観光客だとか、またその当該地域を来訪する者ということで拡大をされていきますので、先ほども、午前中でしたか、少し話ありましたけれども、地域が広がっていくのではないかという懸念、あるいは観光のニーズにも応えるわけですから、その頻度は上がっていくということが考えられるというふうに思うんですね。
 そうすると、現行は第一種の免許、それに講習を受けてもらうということがあるわけですけれども、もうこういう、その前提というのは今回の改定案によって変わっているのではないかというふうに思いますけれども、国交省、いかがでしょうか。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 自家用有償運送は、午前中も申し上げましたが、バス、タクシーによる運送が困難な地域に限定をされております。したがいまして、地域も限定をしておりますし、その運送頻度も、基本的には住民の輸送、今度は観光客の輸送というのもできることになりますけど、これいずれも都会、あるいは地方の中心地のタクシーというものとは違います。
 したがいまして、免許要件でございますけれども、委員指摘のように、一種免許プラス講習ということにしています。二種免許ということになりますと、最低でも、通学で免許を取りに行きますと二十日間の日にちが必要であります。また、費用も莫大に掛かるということでございますので、やはり一般の方にボランティア的な輸送をしてもらうということで、一種免許プラス講習ということは変えておりません。

○武田良介君 今、二種免許の話もありましたけれども、代行業は、タクシーの、代行タクシーですね、代行業は利用が増える中で事故も増えてきたという経過があって、その経過の中でそれに対応する形で第二種免許を必要としたという経緯があるということもお聞きをしております。
 こういった経験にも学んでいくことが必要だというふうに思いますし、必ずしも二種免許というふうに言うかどうかというのはあるかもしれませんけれども、一般のタクシーでも代行業でも、不特定の方を有償で運ぶという点ではこれはやはり共通するところがあるわけですから、安全性というのは非常に重要になってくるだろうということであると思います。
 今、少し答弁にもありましたけれども、二種免許を要件とすべきという、こういうふうに仮にすると、例えば自家用有償をやっている方は地域の年配のボランティアの方だとか、そういった方もいる。どこまでやるのかという話があるんじゃないかということは恐らくおっしゃられるかなというふうに思ったんですけれども、そもそも地域公共交通は、そのバスやタクシーの事業者がまず担う、それができるようにするということが何より大事だと思うんですね。
 午前中にもありましたけれども、地域公共交通の確保維持改善事業というものがありますけれども、これはやはり私、支援の中身も不十分だなというふうに思いますし、予算規模が足りないというふうに思うんです。
 これ、バスやタクシーだけではなくて、この間、法案にもなりましたけれども、私も質問しましたけど、バリアフリーだとか、あるいはその船の関係だとか、いろんなものが含まれているわけであります。それ自身、それでいいのかということを言わなければならないわけですが、中身にしても、赤字の補填であったり、それを半額見るという話であったり、これやはり不十分だというふうに言わざるを得ないと思うんですね。
 例えば、その地域内のフィーダー系統の補助というのもありますけれども、これ見ても、実行額を見ても、申請額に対して約半分しか応えられないということでありました。ちょっと今日は資料には付けておりませんけれども、国交省からそういう資料も私いただいて見ましたけれども、そういう実態にあるわけですね。
 これを活用したいという自治体数は増えている、系統数も増えている、しかし半分も応えられていないという実態にあるんだということ、こういう問題にまず手を着けていくべきなんだろうというふうに思うんですね。
 やはり、今回の自家用有償も、過疎化が進んでいるとか高齢化が進んでいるから仕方ないということを言う前に、この予算しっかり付けるべきではないかというふうに思うわけですけれども、大臣、この点いかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) ちょっと、予算を付ければすぐ改善されるということのような話ではなく、取りあえず、全国各地域で少子高齢化、人口減少化が進んでいる、そして公共事業の担い手も少なくなっている、予算も少ないという中でどうするかということの中で、我々も様々な検討をし対策を取り組んできたというふうに思っております。
 これまで国土交通省では、市町村等が計画の策定に係る費用の支援ですとか、また過疎地域等における幹線バス交通や地域内のコミュニティーバス等の運送サービスで生ずる赤字の部分について、一般会計の地域公共交通確保維持改善事業として国費による補助を行ってきた、これよく御承知だと思います。
 今回の法案によって新たな制度を、市町村等が中心となるわけですから、様々な支援政策を積極的に活用していただいて、公共交通を地元、地域地域で維持をしていただくために国も一緒になってやっていくということでございますが、直接の御質問ですけど、そのための必要な予算については国交省としてもしっかりその確保に向けて最大限の努力をしてまいりたいと、こう考えています。

○武田良介君 国全体の予算については、繰り返すことはしませんけれども、私たちは、いろいろ削るべきところを削る、集め方も使い方も改めていくということを提案をしております。
 予算付ければ全て解決するわけではないというようなことも冒頭御発言ありましたけれども、少なくとも応えられていないわけですから、自治体の要求に、これにしっかり応えていくことは当然だというふうに思いますし、本会議のときにも述べましたけれども、バス路線は次々廃止されております。鉄道路線も廃線になっていくところもある。やっぱりそういう現実に目を向けて、付けるべき予算しっかりと付けていく、増額していくということも必要だということを重ねて訴えさせていただきたいというふうに思います。
 それで、今回の法案で、事業者参加型自家用有償旅客運送ということが含まれておりますけれども、これについて伺いたいと思いますが、事前にお聞きしましたら、現行のその自家用有償でも既に八割以上の自治体は事業者に委託してやっているという話でありました。その実態はどうなっているのかということをもう少し聞くと、丸ごと委託しているんだというような御説明を国交省からいただきました。
 この丸ごと委託してやられている自家用有償旅客運送というのはどういうものなのか、御説明いただけますでしょうか。

○政府参考人(一見勝之君) お答えいたします。
 丸ごとの委託というのは、別に法令上に規定があるわけではございませんけれども、運行するに当たっての例えば運行管理、それから車両整備管理、運転業務などについて市町村から委託をして交通事業者が受託をしていると。主として、バス路線はもう廃止しますと、事業者が廃止しますといったときに、それは廃止されては困るというときに、当該の事業者に対して自治体が、私が運行主体になりますからといって、お金を出して運行する、これが丸ごと委託ということでございまして、こういった形で利用されているというものでございます。

○武田良介君 事前に聞いた話と若干違いましたけれども、いずれにしても、丸ごとやることで運行管理あるいは、あれですか、車両の整備、それから何でしたっけ、運転の技術、ドライバー、運転するということそのものということですね、そこまで丸ごと委託してやるのであればしっかりと、先ほどの話じゃないですが、予算付けて事業者が担っていけるようにするということが非常に重要なんじゃないかなというふうに思うんですね。
 その既に丸ごと委託されているという自家用有償なんですけれども、その導入の前提は、これ、観光のニーズに応えるためだということも説明を受けております。現にあるその公共交通では観光のニーズも含めて応えられないと。違うんですか。違うんですね。
 私がお聞きしたいのは、その自家用有償旅客運送もやむなしというのは、これ一体誰が判断するのかということなんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(一見勝之君) 自家用有償旅客運送につきまして必要だという判断をする、これはいろんな方がおられますけれども、地元で協議会を開いて、そこに発議をしていただくというのが一応のやり方でございます。例えば、実施主体となる市町村だとかNPO法人が協議会に提案をすることもありますし、あるいは住民の方々が提案をする、その協議会の構成員である住民の方もおられますので、そういうこともございます。

○武田良介君 そういった方たちが自家用有償旅客運送もやむなしと、その会議に参加して、地域公共交通会議あるいは運営協議会でしたかね、に参加をし、そういう方たちが議論をして自家用有償をやろうということを話されるということなんですよね。
 私、その問題意識に持っているのは、今回その対象に観光客の方も含めるという話なんですけど、その地域で自家用有償をやるというときに、観光客の方がどれだけ来るということをその自治体の方たちだけで判断できるんだろうかと、あるいはNPOの方たちだけで判断するんだろうかと。それは、実際には、全国的な、あるいは外国からの旅行者ということも考えれば、世界的な視野も含めて、そこをどう見るのかという発言がその場でなされなければならない。そういう意味では、学識者だとか有識者、必要と認める者も含めて先ほどの会議体には参加されて発言されるわけですよね。やっぱり、その点が私一つポイントになっているんじゃないだろうかということを思っております。
 ちょっと時間がないので行かせていただきますけれども、その地域公共交通会議あるいは運営協議会ですけれども、どういうふうに運営するのかということで、資料にも付けておきました。もう全て紹介しませんけれども、ポンチ絵二枚だとか付けてございます。
 ここでは、地域公共交通会議をやって、議決に係る方法について、必ずしも全会一致を意味するものではないというふうに書いてあるんですね。これ資料にも付けましたが、ガイドラインでわざわざこういうふうにこう、わざわざ全会一致でなくてもいいと、それを意味するものではないというふうに記載したのは、これはなぜなんでしょうか。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 法令におきましては、合意といいますと両者が完全に一致をすることを意味してございます。例えば、婚姻の場合、離婚の場合も同じでございますけれども、これで合意というのはその両者が完全に一致することでございます。
 自家用有償を始める場合の、まずはバス、タクシーの方々にやりますかというのを聞いて、やりませんと言うと話が進んでいくわけでございますけれども、最終的にこれ全会一致で協議の結果を、協議会の結果を全会一致で求めるというものではございません。これは、省令にも書かれておりますけれども、道路運送法施行規則でございますけれども、協議が調っていないということを合意していないときなんだというふうに書いてございます。ただ、一般には全会一致、合意というふうにいいますと全会一致という誤解がかなり生じております。この誤解が生じないように、私どもはハンドブックにおきまして、全会一致でも多数決でも三分の二以上の賛成でもいいんですが、それはそれで地域ごとに決めてくださいというふうに言っておるところでございます。
 したがって、全会一致を意味しているものではないというのは、趣旨からそういうふうに申し上げているところでございます。

○武田良介君 今御答弁いただきましたけれども、現実には、この地域公共交通会議に、例えばタクシー事業者の方もいて参加するけれども、非常に苦しいというお話を聞いているわけです。全体としては地域公共交通守ろうという話をしている、しかし一方で、自家用有償の話が例えば出る。タクシー事業者としては、私たちの事業がこれから先細っていくんじゃないかという不安もあって合意しかねるということもある。しかし、全体としては地域公共交通守ろうという会議体ですから、そのときにどういうふうに発言するのか、やはり非常に苦しいんだと。
 そういうときに、先ほど、ハンドブックあるいはガイドラインの改定というのが平成三十年に行われているわけですよね。そのときに全会一致を必ずしも意味するものではないというふうに言われたことから、その自治体の方の、もちろんその場では自治体がどう考え、あるいはタクシー事業者がどう考えという、意見がぶつかるわけですけれども、じゃ、タクシー事業者の声はどうなるのかということが私のところにも寄せられている。これが自家用有償でいこうということになれば、どんどんどんどん進んでいく方向にこの間変えられたんじゃないだろうかということがこれ指摘をされている。
 もう時間ですので、私、終わりにしなければなりませんけれども、そういった問題があるんだということをしっかり指摘をさせていただいて、質問を終わりたいというふうに思います。

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 私は、日本共産党を代表し、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 地域鉄道や路線バスの廃止、縮小が相次ぎ、地域住民の生活と地域経済基盤を支える地域公共交通の衰退は深刻な状況にあります。
 モータリゼーションが進行する下、地域公共交通の衰退は、地域住民の足となるべき鉄道やバス、タクシー事業に、もうけ優先の市場競争原理である規制緩和路線を持ち込むことによって加速されました。地域住民の移動を支えてきた路線バスはこの十年間で約一万三千キロが廃止され、地域鉄道は二〇〇〇年以降、全国で約八百九十五キロ、四十一路線が廃止されました。バスも鉄道もないいわゆる公共交通空白地は日本全体の三割にも及びます。
 国、自治体が、住民の移動する権利を保障する観点から、全国で取り組まれているコミュニティーバス、デマンド型タクシーなどを抜本的に支援するなど、地域公共交通の活性化、再生のための本格的な取組を強化することは待ったなしの課題です。
 地域公共交通のマスタープランとしての地域公共交通計画作成を地方自治体の努力義務とすること、バス路線の廃止や乗合バスの新規参入に地方自治体の関与を強めることは必要なことです。
 しかしながら、道路運送法の改正のうち自家用有償旅客運送の運送対象の追加及び事業者協力型自家用有償旅客運送の新設については、旅客運送事業の根幹である利用者、運転従事者の安全性確保等に重大な懸念が拭い切れません。
 自家用有償旅客運送は、第二種運転免許のない者が運転して料金を取るいわゆる白タク行為に当たることから、運送対象や運送地域について厳しい制限が設けられています。今回の改正は、対象や地域の限定を事実上なくすことになり、元々の自家用有償旅客運送制度を変質させ、際限ない白タク行為の拡大に道を開くものであります。また、事業者協力型自家用有償旅客運送の新設は、地域における公共交通事業の衰退を更に後押ししかねません。
 交通空白地等の地域公共交通を維持、再生するために必要なことは、自治体等が主体となり、安全性確保を最優先に、通常の運送事業として旅客運送を実施することです。
 こうした理由により、自家用有償旅客運送の運送対象の追加等の改正部分を削除する修正案を提出します。
 以下、修正案の主な内容について説明をいたします。
 第一に、道路運送法改正のうち、自家用有償旅客運送の運送対象の追加に係る部分及び事業者協力型自家用有償旅客運送の新設に係る部分を削除することとします。
 第二に、その他所要の規定の整理を行うこととします。
 以上であります。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げ、修正案の趣旨説明とさせていただきます。

○武田良介君 私は、日本共産党を代表して、地域公共交通活性化再生法等一部改正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の討論を行います。
 改正案は、バス路線の廃止や乗合バスの新規参入、マスタープラン作成の努力義務など、地方自治体の関与を強めています。これらは旅客運送事業における規制緩和路線の修正であり、評価できます。しかし、改正案は以下の点で問題があり、賛成できません。
 第一は、自家用有償旅客運送の拡大は、例外的、限定的に導入された本制度を変質させ、際限ない白タク行為の拡大に道を開くものだからです。改正案は、一の市町村の区域内の住民との規定を地域住民又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者と変えることで区域の限定範囲を取り払い、旅客対象も観光旅客等の来訪者とし、言わば誰でもよいとしました。これは、厳しい制限を設けて導入された自家用有償旅客運送を変質させ、白タク行為の拡大に道を開くものであり、認められません。
 第二は、事業者協力型自家用有償旅客運送の新設は地域におけるタクシー事業等を一層衰退させかねないからです。事業者への委託は現行でも既に八割の市町村で行われています。今回、事業者への委託を法定することは、合意について必ずしも全会一致を意味するものではないとの地域公共交通会議に関する国土交通省としての考え方等の二〇一八年の改正と相まって、自家用有償旅客運送の導入に異論を持つ事業者等を封じ込めることになりかねません。
 第三は、地域公共交通利便性増進事業として、財政投融資から鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて、都市鉄道に初めて一千百六十六億円もの融資を予定し、その融資先の大部分が大阪のなにわ筋線となっていることです。地元住民が切望し大阪市議会が全会一致で採択した地下鉄第八号線を頓挫させる一方で、三千三百億円もの巨費を投じるなにわ筋線への融資は認められません。
 我が党の修正案は、道路運送法改定のうち自家用有償旅客運送の運送対象の追加に係る部分及び事業者協力型自家用有償旅客運送の新設に係る部分を削除することとし、白タク行為の拡大への懸念を払拭しようというものであります。
 以上、討論を終わります。

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関連資料

赤旗記事「白タク拡大に道開く/武田氏 地域公共交通守れ」

参考資料

国土交通委員会資料20200526