本日の参議院決算委員会で質疑。
リニアについて取り上げました。
私が質疑に立った枠は厚生労働省、会計検査院、国会ということで、会計検査院に絡めて質疑。
JR 東海と静岡県の間に国交省が入る形の有識者会議は、静岡県が求めるWEB 配信にならず、水資源の重要性を理解するために公開は重要だと質問。答弁では「非難中傷があるかも」「忌憚のない発言ができない」と繰り返し、その説得力はなかったと思います。
そもそもペイしないと言われてきたリニアは、コロナの影響も受けていよいよ見通しがないことは明らか。推進したい国土交通省が「行司役は務まらない」と指摘しました。
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
JR東海が進めておりますリニア中央新幹線の建設工事に関わって質問をさせていただきたいというふうに思います。
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、いわゆる鉄運機構でありますけれども、これはこのリニアの建設工事にどのように関わっているのか、国交省に説明をお願いしたいと思います。
○政府参考人(江口秀二君) お答え申し上げます。
リニア中央新幹線の工事におきましては、鉄道・運輸機構は、建設主体であるJR東海より、これまで七件の建設工事を受託しているとの報告を受けています。うち六件につきましては請負業者と工事契約を締結しており、一件は現在発注手続を行っているとのことでございます。
また、鉄道・運輸機構は、JR東海に対し、財政投融資資金を活用した計三兆円の資金の貸付けを行っております。
○武田良介君 今答弁にありました七つの契約工事、資料に付けさせていただきました。一言申し上げておきたいと思いますけれども、十九日の金曜日の時点でこの資料の提出していただきましたけれども、そのときには、この下の注釈の部分ですね、今答弁にあった発注手続中というここの部分についてはこれ記載がなく、二十日ですかね、土曜日の夜になって資料の訂正ということでいただきました。正確な資料の提出、これ是非お願いをしたいというふうに思いますので、一言申し上げさせていただきたいというふうに思います。
次に、会計検査院に確認したいと思いますけれども、会計検査院の検査対象、これは国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計と、これありますよね。これは、会計検査院が必ず検査しなければいけないものだと。ここに独立行政法人が含まれておりまして、鉄運機構というのはこの独立行政法人の一つだというふうに思いますけれども、間違いないでしょうか。
○説明員(宮川尚博君) お答え申し上げます。
委員御理解のとおり、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、国が資本金の二分の一以上を出資している法人でございますので、会計検査院法第二十二条第五号の規定に基づきまして、会計検査院の検査を必要とするものでございます。
○武田良介君 確認をいたしました。
つまり、先ほどの答弁もありました鉄運機構の行う事業のうち、リニアに関わっては三兆円の財投の部分、それから、この資料に付けました七件の契約したこの工事ですね、これは対象になる会計だということだと思います。そのことを確認したいと思います。
この資料に私、付けました七つの会計、これ対象ということでよろしいですね。
○説明員(宮川尚博君) お答え申し上げます。
国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に該当いたしますので、リニア事業に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が契約しております工事についての会計は、委員御理解のとおり、検査の対象でございます。
○武田良介君 確認をいたしました。
会計検査院にもう一つお聞きしたいと思います。
通常、会計検査報告は、その指摘事項として最終的に結論付けたものだけを掲記するというふうになるわけですが、国民の関心が非常に高いものについて、関心が高いものについて、結論が出ていなくても業務報告的なものとして検査状況や所見を示すことがある。これ、特定検査状況。
この新設した理由と、その第一号になっています、二件あったと思いますけれども、そのうちの一件、東北新幹線の御徒町トンネル事故について、その検査報告の概要について、ポイントで結構ですから御説明いただけますか。
○説明員(宮川尚博君) お答え申し上げます。
お尋ねの特定検査対象に関する検査状況は、会計検査院の活動状況を国民の皆様に対して十分説明するために、国民の皆様の関心が極めて高い事項について、その検査の状況を報告する必要があると特に認めた問題について検査報告に掲記しているものでございます。
委員が言われましたとおり、この特定検査対象に関する検査状況は平成二年度決算検査報告から掲記しているものでございまして、会計検査院に対する国民の皆様のより一層の理解と関心を高めていただくなどの目的から、指摘事項として検査報告に掲記するには至らないものについても社会的な関心を勘案して記述しているものでございます。
また、お尋ねの御徒町トンネル工事の件についてでございますけれども、平成二年一月に、当時、国から間接的に出資を受けておりました東日本旅客鉄道株式会社が施行しておりました東北新幹線の御徒町トンネル工事におきまして、トンネル内部から圧縮空気が大量に噴出するとともに道路が陥没し、通行人等が負傷するなどした事故が発生いたしました。その後、この工事においてトンネル掘削時に施工した薬液注入工、これにおきまして薬液の注入不足が明らかになりましたので、会計検査院はその施工の実態、施工管理体制などを中心に検査いたしました。
そして、薬液注入工事におきましては、その特殊性から、施工の隅々まで常時監視する体制を取ることや薬液の注入量を事後に検証することが困難であることから、監査体制の充実のほか、薬液注入を常時自動的に管理することにより不正操作ができないようにして、この種事態の根絶を図ることが今後の課題であると、このように検査報告に記述したところでございます。
○武田良介君 私も調べましたけれども、この御徒町トンネル事故というのは、当時マスコミでも大変取り上げられた事故であります。国会でも繰り返し取り上げられていることを私も調べましたけれども、第百十八回国会から百二十六回国会にわたってずっと取り上げられている。それも建設だとか運輸、予算、決算、法務委員会、もういろんなところで取り上げられている、そういう事故であります。
業務が終わっていなくても、社会的関心が極めて高い問題については会計検査の対象となり得るということでありまして、これ非常に重要なことだと思うんです。
今回のリニアの建設ではどうかということでいいますと、鉄運機構がこれ受託しております例えば岐阜県の中津川市の山口トンネルというところですね、これは昨年の四月に崩落事故が発生をしております。岐阜県の環境影響評価審査会地盤委員会というところで事故の調査を行ってきましたけれども、その経過の中でも、これ、JR東海が、事故原因の調査に必要なボーリング調査、その箇所だとか柱状図、これ十分なかなか示されないということもあった。
私は、やっぱり、この不十分な調査のまま現状あるし、そのまま工事が再開されている、こういう事案も発生しているということだと思うんですね、リニアについて見ると。
もう一つ、リニアの中央新幹線というのはそもそもペイしないという話があるようなところであった。その上、今回の新型コロナの感染拡大という事態も受けて大きく減収をするということも含め、本当にこれ事業として成り立つのかということが今次々と指摘をされる状況になってきているというふうに思うんですね。既に国民的な関心になっているんだということをここで申し上げておきたいというふうに思います。
静岡工区についてもう少し聞いていきたいと思うんですが、六月の二十六日の日に静岡県知事と今度JR東海の社長が懇談するということが報じられております。JR東海は、六月中にヤードの整備ができなかったら二〇二七年の開業は困難になるんだということをおっしゃっておられます。しかし、知事とそれから流域の十市町の首長さんたちが十六日の日に行った意見交換会、ここでは、リニア中央新幹線静岡工区有識者会議、ここの結論が出ていない段階で工事に同意するのは時期尚早だと、こういう見解で一致したということなんですよね。
そこで、その有識者会議について、どういう運営しているのかということをただしていきたいと思うんですが、この会議、その静岡県とJR東海の議論の間に国交省が協議の交通整理をするということで入ってきたといいますか、静岡県が行司役やってほしいと要請する形で入ってきた、国交省も提案して設置したものですよね。既にこれ三回開催されているんですけれども、その公開の在り方ということについてちょっと聞きたいと思うんです。
静岡県は、これ会議は全面公開というのを求めている。つまり、ウエブで全国配信をしてほしいということを求めているわけですが、国交省はこれはできないというふうにされているんです。その理由は何でしょうか。
○政府参考人(江口秀二君) お答え申し上げます。
リニア中央新幹線静岡工区有識者会議につきましては、本年一月、静岡県より、会議は透明であることとの要請がありまして、国土交通省から三月に、会議は原則として公開で行うこととする、報道関係者の傍聴可と回答し、透明性を確保することとしたところでございます。
その後、新型コロナウイルス対応のため、有識者会議はこれまでウエブ会議方式で開催しておりますが、静岡県からいただいた御意見を踏まえまして、五月十三日には有識者会議の公開の在り方について国土交通省の考え方を改めて発表させていただいたところです。
その中では、ウエブによる全国配信については、委員から生配信後の各委員の御発言の取り扱われ方等について懸念が示されており、そのような公開の仕方は委員の忌憚のない自由な発言を阻害する要因になり得ると考えていること、また、事務局である国土交通省としても、委員個人への匿名者による非難、中傷等が発生するおそれ等は生じないようにするべきであると考えていること等を示したところでございます。
有識者会議は科学的、工学的に議論する場と考えておりまして、そのためには、委員の方々からそれぞれの専門分野に基づき御自身のお考えを忌憚なく自由に御発言いただき、議論を進めるよう、深めるような落ち着いた環境を整備することを最優先とする必要があると考えております。
国土交通省としましては、ウエブによる全国配信によらずとも、報道関係者の傍聴、会議後の記者ブリーフィング、議事録の速やかな公表によりまして透明性を確保することで、会議の中での委員各位の自由闊達な議論を確保しつつ、静岡県が求めておられる会議の全面公開との要件は基本的に満たしているものと考えております。
○武田良介君 ちょっと率直に分からないことがありますのでお聞きしますが、報道関係の方はこれ傍聴するわけですよね。報道関係の方は傍聴して、忌憚のない自由な発言はできて、全国配信するとできなくなると、これはどういうことなんですか。
○政府参考人(江口秀二君) お答えいたします。
先ほどとちょっと繰り返しになりますけれども、報道関係者の方は報道関係者としての役割を持って傍聴をすると、それに基づいて記事が書かれるというふうに思っております。
一方で、これがウエブによる全国配信いたしますと、その行きどころというものが非常に不明確になっておりまして、不明確に、その配信される、誰がそれを聴取しているとかということも分からなくなりますし、また、その配信を受けた人たちが匿名でもって、先ほどと繰り返しになりますけれども、匿名者による非難、中傷等が発生するおそれ等が生じるのではないかということも考えまして、当方といたしましては、報道関係者へは傍聴は可としていますけれども、こういったウエブ方式による全国公開というものについては控えているところでございます。
○武田良介君 静岡県の川勝知事は、その科学的な議論の公開には何の問題もないだろうということをおっしゃられているわけですよね。全面公開で忌憚のない自由な発言ができない委員は一人もいないと私は確信していると、自由な発言を阻害すると国交省が考えるなら、学者委員の皆さんに対して失礼だというコメントもありました。
これ、大体、国交省が行っているリニアの問題に関して誹謗中傷が発生した事例はないというふうに国交省の環境対策室長もおっしゃっていると私、認識しておりますけれども、ちょっとやっぱり分からないんですよね。
今、先ほどの答弁の中にもありましたけど、この有識者会議は専門家の皆さんのその科学的、工学的な議論をする場なんですよね。科学的、工学的に議論することを公開して非難される、中傷されるってやっぱり分からないんですけど、いかがですか。
○政府参考人(江口秀二君) このような有識者会議の公開の仕方につきましては、これまで、先ほど申し上げたように、ウエブ会議での開催となりましたが、その際には、先ほどの繰り返しになりますが、報道関係者の傍聴、それから会議後の記者ブリーフィング、議事録の速やかな公表等の方法によるということにつきまして、事前に事務局から各委員へきちんと御説明をして御賛同いただく、又は御異議がありませんでした。すなわち、委員に確認を取っているということでございます。
○武田良介君 委員に確認を取っている。そうしたら、お聞きしますけど、国交省は、その有識者会議の委員を依頼するときに、静岡県の方は全面公開を求めているということをこれ事前に説明していたということでよろしいですか。どういうふうに説明していたんですか。
○政府参考人(江口秀二君) まず、この委員を選定するに当たりまして、我々事務局の方としましては、静岡県に対しては、会議は原則として公開で行うこととする、報道関係者の傍聴は可というふうに最初説明しておりました。
○武田良介君 ちょっとよく分からないんですけど、報道関係者に知らせるから全面公開だと、静岡県の言っている全面公開と違う説明されていたということですか。
○政府参考人(江口秀二君) 当初、この会議を開催するときには、まだこのコロナの影響というものがどういうふうになるかというのが分からない状況でございまして、我々としましては、国交省の会議室で皆さんお集まりいただいて、そこで議論をすると。その場には報道関係者も傍聴は可とするという形で当初整理をしていたわけでございます。
その後、新型コロナの対応ということで、会議の方式がウエブ会議方式という開催になりました。その際には、報道関係者の傍聴、会議後の記者ブリーフィング、それから議事録の速やかな公表と、こういう形でさせていただきたいというようなことを事務局の方から各委員にも照会し、先ほど申し上げたように、委員からは、そういったやり方の御賛同又は御異議ありませんという回答をいただいているということでございます。
○武田良介君 委員の方の認識ということもあるわけですけれども、少なくとも、静岡県の中央新幹線環境保全連絡会議のメンバーでいらっしゃいます二人の委員の方、これは傍聴制限のない静岡の会議にも出席されておりますので、この方たち、そういう方たちもいらっしゃるということだと思うんです。
やはり川勝知事も、住民の、地域住民の不安を払拭して、国民に水資源の保全の重要性を理解してもらうためには、全面公開で議論の過程を全て公開する必要があるということをおっしゃっていますよ。さらに、知る権利ということもおっしゃっています。地域住民並びに国民は、国費を使って行われる会議の内容を知る権利があるんだというふうな指摘もされている。私、これ、やっぱりそのとおりだというふうに思うんですよね。
もう一点だけお聞きします。
有識者会議第一回、ここで静岡県から怒り買う出来事が起こったわけですけれども、JR東海の金子社長が会議の趣旨に反する発言を行ったということですが、これ、どんな発言でしょうか。
○政府参考人(江口秀二君) お答えいたします。
第一回有識者会議では、説明責任者であるJR東海の社長から、会議の開始に当たり挨拶をしたいという申出があり、発言がありました。その中には、有識者会議においては、静岡県の提起されている課題自体の是非、すなわち、幾ら何でも事業者にそこまで求めるのは無理なのではないかという点も含めて審議いただければ幸い、あわせて、それが達成できなければ工事を進めてはならないという県の対応について、事業を主管される国土交通省においても、法律の趣旨を踏まえて適切に対処をお願いしたいなどの発言がございました。
国土交通省としましては、この有識者会議の趣旨は、これまで静岡県とJR東海の間で行われてきた議論等の検証でございまして、特に大きな水資源に関する二つの論点でありますトンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方及びトンネルによる大井川中下流域の地下水への影響について科学的、工学的に議論する場であることを、会議の発足に当たり確認させていただいたところです。
しかしながら、JR東海社長の発言は、このような有識会議の趣旨や説明責任者とのJR東海の立場に必ずしもそぐわないものであったと認識し、誠に遺憾と考えています。
○武田良介君 そういう発言、私もとんでもないと思いますし、その後、国交省も対応されていますが、五月七日付けの文書でありました。江口審議官もその有識者会議、御出席だったと思います。
その場でなぜ正さなかったのだろう、なぜその場で正さなかったのだろうかと、そういう御発言をですね、後から文書で指導するだとかということじゃなくて、その場で正す必要があったんじゃないかということも思います。
今回のリニアの工事、本当に事業そのものがどうなっていくのかということも言われている中でありますので、今、国交省は行司役ということを言われているけれども、この間でも推進というか、もう早期実現というのは国交省の立場ですよね。それで本当に行司役務まるのかということを私は考えておりますので、是非そのことも含めて指摘をさせていただき、今後とも質問させていただきたいと思いますけれども、またよろしくお願いします。
ありがとうございました。
関連資料
しんぶん赤旗記事「リニア静岡工区国交省会議/武田議員「全面公開を」/参院決算委」