国会質問

質問日:2020年 7月 28日  第201通常国会  災害対策特別委員会

住宅再建支援、被災者線引きやめよ

武田議員は、災害対策特別委員会で、住宅再建にむけて被災者生活再建支援法による制度の支援対象基準などについて質問。「被災者を線引きすることはやめるべきだ」と迫りました。

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7月豪雨災害 復旧進め、生活再建支援を 2020.7.28

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今回の七月の豪雨災害で亡くなられた皆さんに心から哀悼の意を表したいと思いますし、被災された全ての皆さんにお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 今回の豪雨は、九州でも大変な被害が出ておりますが、全国的に大変な被害が発生をしてしまいました。私も、岐阜県の方に伺って、甚大な被害の現状を見てまいりました。岐阜県の八百津、それから白川町、それから下呂市など、こういったところで調査をしてまいりました。
 例えば、下呂市は平成の合併の際に四町一市が一つになったという自治体だということでありまして、市の面積が八百五十一キロ平方メートル、そのうち約九割を森林が占めているという、そういう広大な自治体というふうになっております。こういう下呂市で豪雨災害が発生をしてしまいました。
 下呂市では、今、住家被害の一次判定が始まっております。全壊と判定されている被害家屋もあれば、半壊だとか一部損壊というふうに判定されている被害家屋もあるわけであります。この半壊、一部損壊というふうになったところでは、本当に住宅再建の十分な支援が受けられるんだろうかということで、不安の声もあるということなんです。
 まず初めに、内閣府に確認をしたいというふうに思いますけれども、住宅再建にはどんな支援があるのか、簡潔に御説明いただけますでしょうか。

○政府参考人(青柳一郎君) お答えいたします。
 被災した住宅を再建するための支援制度としては、災害救助法の住宅の応急修理制度がございますし、必ずしも住宅を再建するための制度ではございませんけれども、被災者生活再建支援制度ということで、最大、全壊であると三百万円の支援金を支給するというものがございます。そのほか、応急仮設住宅の供与ですとか住宅金融支援機構の災害復興住宅融資、災害公営住宅の整備などといったものが支援制度として考えられるのではないかと思います。

○武田良介君 災害救助法あるいは被災者生活再建支援法に基づく制度、こういったものの支援があるわけですが、これは、半壊ではなくて大規模半壊だとか全壊だというふうに判定された場合には被害がもう少し上がっていくわけであります。
 これ、一次判定に納得がいかないという被災者の方がいらした場合は、これ確認ですけれども、二次判定に進む、その納得がいく判定をしてくださいということで申し出ることができる、確認だけお願いしたいと思います。

○政府参考人(青柳一郎君) お答えいたします。
 罹災証明書の早期交付のために、第一次調査ということで浸水深等の外観により簡易に判定を行う、これは早く交付するためのものでございますので、被災者からの申請があれば第二次調査あるいは再調査を実施して、家屋内へ立ち入って詳細な調査を行うことで被害の実情に応じたより正確な判定を行うということは可能でございます。

○武田良介君 つまり、被災地に行くと、浸水がどのぐらいの高さまで来たから私はきっと半壊だろうとか、そこまでは、それ以上は行かないだろうとか、やっぱりそういう言葉がよく聞こえてくるわけですけれども、今答弁にありましたように、あくまで、浸水何メートルではこのぐらいの被害認定というのは、あくまで迅速に一次判定をするための基準であって、それが最終的な基準ではないということでよろしいでしょうか。もう一度確認します。

○政府参考人(青柳一郎君) 御指摘のとおりでございまして、この運用については今回の豪雨の際にも留意事項として通知もいたしておりますし、また、内閣府職員を発災後に派遣をして、被災自治体の担当職員に対しても説明会を行うなどの周知に努めているところでございます。

○武田良介君 是非、被災者の皆さんにも諦めていただきたくないというふうに思いますし、大事なことはその住まいとしての機能が喪失されてしまっているのかどうかということだというふうに思いますので、そうした視点で是非しっかりと判定をしていただきたいというふうに思います。
 次に、被災者生活再建支援法の適用について質問させていただきたいと思いますが、そもそもこの法律に基づく制度ですね、これが適用されるかどうかということが非常に大問題になっていると思います。
 今回の七月豪雨の被災者生活再建支援制度の適用状況、私も事前にお聞きいたしましたけれども、これ、熊本県は百以上の世帯の住宅が全壊する被害が発生しているということで、これは適用されている。それから、福岡県の大牟田市は人口が十万人以上三十万人未満という自治体ということで、滅失百世帯以上ということでこれ適用されているというふうに承知をしておりますけれども、しかし、その被害は熊本県と大牟田市だけではなくてほかにも広がっているわけでありますけれども、今後の適用の見通しというふうな点ではどのようになっているでしょうか。

○政府参考人(青柳一郎君) 御指摘のとおり、現在、熊本県が県内全域の適用、また、福岡県の大牟田市ということでございますけれども、これ、自治体の方で、結局、被害家屋の調査を進めて、全壊等の状況が判明次第追加していくということになろうかと思いますので、今後もまだほかの自治体でも支援法の適用を行っていく県は出てくるものと考えております。

○武田良介君 適用の判断そのものは国ではなくて県が判断していくものであろうというふうに私も承知をしておりますが、今の答弁も、これから被害認定が確定していって徐々に明らかになってくると、その趣旨は理解をしております。
 その上で、既に明らかになっております下呂市の被害状況ですね、私見てまいりますと、国の基準からすると、下呂市はもう既に被災者生活再建支援法のこの適用の条件にこれ当てはまってくるんじゃないかなというふうに見えたんですが、この点はどうでしょうか。

○政府参考人(青柳一郎君) 基準でいきますと、施行令の規定によりますと、人口五万人未満の下呂市の場合には住宅の全壊二世帯以上で被災者支援法が適用されるということになりますけれども、この判断をまだ正確に県の方で断定をある意味していないという状況なんだろうと思われます。

○武田良介君 しっかりと調査がされて適用されれば、被災者の皆さんにとってはその分支援が出るわけですから、県の判断ということでありますけれども、その条件をしっかりと下呂市とも共有して取り組んでいただければというふうにこれは思います。
 これ、九州始め岐阜県など全国で広く被害は発生しているわけでありますが、この対象となるためには、先ほど来話があるような人口に合わせて全壊世帯が何戸あるかだとか、こういう基準が求められているわけであります。
 私が視察しました岐阜県ですけれども、岐阜県下だけ見ても、例えば高山市などは半壊が六で床上浸水十五と、こういう被害はあるわけですね。同じ災害で被災しているわけですけれども、しかし、一方では支援が受けられて一方では支援が受けられないということでは、これは被災者の皆さんなかなか納得いかないという思い抱かれるのは私、当然だというふうに思いますし、被災者の皆さんにとってみれば、どんな被害であっても同じ被害ですから、同じ災害によって受けた被害ですから、やっぱりこの全壊十戸以上の市町村だとか全壊百戸以上の都道府県、こういう条件を緩和していくべきではないだろうかと。
 被災者の皆さんの間に線引きするようなことになってしまいますので、これは緩和していくべきじゃないかなというふうに思いますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。

○国務大臣(武田良太君) そもそも、この支援制度については、被災市町村や県の力だけでは対応が難しいとされたときに、各都道府県の相互扶助と、そして国とが支援が行うというものでありまして、今御指摘の一市町村で全壊十世帯以上なんという一つのルールがあるわけですけれども、支援法の適用となる災害で適用基準を満たさない市町村については、支援法による支援金は支給はされませんが、都道府県が条例で全壊等の世帯に対し支援法と同様の支援を行えば、支給額の二分の一を特別交付税で措置することとしており、既に二十四の都府県でその制度が導入されております。
 これらの都府県では適用基準を満たしていなくても独自支援制度による支援金が支給されているところであり、当該制度を導入していない道府県に対しても引き続き制度の導入を促すなど、被災者に寄り添った災害対応に努めてまいりたいと思っております。

○武田良介君 私は、各県がやっているというだけにとどまってはやっぱりならないんじゃないだろうかというふうに思うんです。国による支援をもっと行き届かせることによって、それぞれの自治体は更に手厚い支援を行うことができるようになっていくと、やっぱりこういう関係になっているというふうに思いますので、更に被災住民の皆さんに寄り添った支援を、そういう条件の緩和を是非求めておきたいというふうに思っております。
 先ほど来話出ておりますが、七月十七日事務連絡、今回の七月豪雨に係る応急仮設住宅について、この中で応急修理期間中に応急仮設住宅を使用することを可能としたと、この事務連絡が出されております。これまで繰り返し求めてきた問題ですので、これ、ついに私も認められたということで、大変この点歓迎をしたいというふうに思っております。
 これは、先ほども少しありましたけれども、原則六か月ということになっているわけですけれども、六か月を過ぎた時点で住まいの確保がまだ困難な場合、その後、住まいの確保については内閣府はどのように考えておられるんでしょうか。

○政府参考人(青柳一郎君) お答えいたします。
 発災後六か月というふうにいたしておりますのは、近年の主な災害において、発災後六か月以内におおむね六割程度の被災者が応急修理を完了している実態も踏まえたものでございますけれども、やはり、元々、いつまでも仮設住宅にいて、ついの住みかに移れないというよりは、やはり早期に住まいの再建を図るという観点から一定期間を置いているというものでございます。
 ただ、六か月を経過した場合でございますけれども、やはり被災者の個別の事情、住まいの再建に係る意向も踏まえて対応を判断することとなろうかと思います。

○武田良介君 個別の事情や意向を踏まえるということなんですけれども、その事務連絡の趣旨からすれば、応急修理の間、住むところがない被災者の方に対して安心して住む場所を提供するということだと思うんですね。その趣旨からすれば、応急修理が間に合わない場合について、当然継続して使用することもできるんじゃないでしょうか。

○政府参考人(青柳一郎君) ただいま申し上げましたとおり、個別事情、また状況を踏まえて判断するということですから、一律に六か月過ぎてもまだ修理が終わっていないからいれるよということになるかどうかというのは、それぞれの事情によろうかと思います。

○武田良介君 個別の事情を踏まえてということですけれども、住まいの確保ができていない状況で追い出すなんということは決してこれはあってはならないのは当然のことでありますので、継続して入居されるということができるように強く求めておきたいというふうに思います。
 下呂市ですけれども、全国にも有名な下呂温泉があるわけであります。年間約百万人が訪れる温泉地というふうに聞いております。大小七十のホテルや旅館が建ち並んでおります。私も現地視察の際に山内市長とお会いをいたしまして、観光への支援も訴えられました。下呂市も、他の温泉地などと同じだと思いますけれども、コロナの自粛明け、営業を再開したところだったわけであります。先日の七月の四連休、このときにもう宿泊の予約が入り始めていたと、しかし、今回の災害を受けて約三千件のキャンセルが出てしまったということを伺ってまいりました。
 今、ゴー・ツー・トラベル、これもう始まっているわけですけれども、観光地の実情というのはやっぱり各地で違うと思うんです。直接旅館などが被害を受けているところもあれば、下呂温泉のように、直接ほとんど被害を受けていないところもあるわけなんですね。そういう違いがあるんですから、支援が変わってくる、それぞれに合わせた支援をするというのは、これ当然のことだろうというふうに思っております。
 このゴー・ツー・トラベルというのは、これ一・三兆円の予算があるというふうになっているわけですが、それぞれの被災地に対して別の支援をやっていくことということを考えれば、このゴー・ツー・トラベル、中止をして、災害対策も含めた観光支援を抜本的に見直す、こういう必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、観光庁、いかがでしょうか。

○政府参考人(五十嵐徹人君) 被災された観光業への支援についてお尋ねがありました。
 今般の令和二年七月豪雨によりまして、七月二十七日現在でございますが、九州地方及び中部地方で百を超える宿泊施設が被災をしたほか、多くの施設が臨時休業の状態となるなど、甚大な影響が発生していると承知をしております。
 国土交通省といたしましては、九州運輸局、中部運輸局、そして北陸信越運輸局に今般の豪雨で被災をされた被災宿泊事業者向けの特別の相談窓口を設置するとともに、例えば九州運輸局でございますけれども、運輸局の観光担当の幹部が実際に被災地に赴きまして被災された事業者の方からお話を伺ってニーズを酌み取ると、そういった形で被災事業者に寄り添った支援をこれまでも行ってきたところでございます。
 被災地の復旧復興につきましては、政府全体で被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージを取りまとめることとなっております。このうち、観光分野につきましては、赤羽国土交通大臣の指示も踏まえ、関係省庁等と連携しつつ、個別の施設復旧から地域全体の魅力向上までを含めた幅広い支援策を現在検討しているところでございます。
 また、御指摘がありました下呂温泉等におきます一種の風評被害対策でございますけれども、例えば下呂温泉につきましては、宿泊施設の営業状況や下呂温泉へ向けての交通アクセス等の状況につきまして、観光庁のホームページにおいて既に情報発信をしております。こうした風評被害を防止するための観光庁のホームページやSNS等の活用によります正確な情報発信などの諸施策についても、先ほど御紹介いたしました対策パッケージに盛り込むべく調整を進めているところでございます。
 加えまして、復興を後押しすべく、被災地の復旧状況等を踏まえつつ、観光需要を強力に喚起する方策についても検討しているところでございます。
 国土交通省といたしましては、引き続き、被災された方々に寄り添ってその御要望を丁寧に伺いながら、関係省庁等とも連携し、被災地の支援に全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。

○武田良介君 相談窓口の設置だとか現地に行っての聞き取り、あるいはその魅力をどう輝かせるか、パッケージの中でですね、で、風評被害対策等々で周知をしていくだとか、こういったところまでだと、これまでの延長線というような感じがどうしてもしてなりません。
 今回は、もう皆さん言われているように、コロナがあって、コロナ禍での豪雨災害ということも重なっていることも含めて、これまでの延長線にはとどまらない抜本的な支援強化が必要だということを私から求めておきたいというふうに思います。
 下呂市長ともお会いしたときに、観光の関係で言われたところに一つ、国道四十一号線の問題がありました。JRの高山線、それから国道四十一号線、高山市と下呂市をつなぐ非常に重要な道路、鉄道だと。
 鉄道は既に再開しているということで承知をしておりますが、四十一号線の再開の見通しについて御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(池田豊人君) お答えいたします。
 今回の豪雨で、下呂市小坂町門坂において飛騨川の増水で道路のり面が約五百メーター崩壊しておりまして、今その箇所を含めて前後約一キロの区間で通行止めが続いております。現在二十四時間体制で応急復旧を進めておりまして、八月三十一日を目途に一車線の片側通行の交通開放を目指して取り組んでいるところでございます。

○武田良介君 当初は三か月、四か月掛かるんじゃないかということもお聞きしておりましたけれども、これが八月の末ということになりますと、非常にスピード感があったのかなというふうに思います。
 もう一点、バックウオーターの現象が起こったということが現地でも非常に被災住民の方が心配をされておりました。飛騨川と白川の合流点などでこれが起こった。これ、バックウオーターというのは一般にどういうことが要因として起こるのか、あるいはこの飛騨川と白川の合流点の場合、どんな要因が考えられるのか。国交省、この点はいかがでしょうか。

○政府参考人(五道仁実君) 一般的に、バックウオーター現象でございますけれども、本川の水位が上昇することで支川の水が本川に流れにくくなって滞留することによって支川の水位が上がっていって、一定以上に上がるとあふれてくるというようなことでございます。
 今回の飛騨川と白川の合流点についての要因について、今、河川管理者である岐阜県において詳細な調査、検証をしているところであるというふうに承知しております。

○武田良介君 県がしっかり調査、分析をする、もちろんそういうことだというふうに思いますけれども、現地の方たちから聞くと、やっぱりその河床が高くなっていたんじゃないかという声が複数聞かれるんですね。しっかりと調査をしていただき、また今後の河川整備ですね、しっかりと対策をしていただきたい。
 今日、時間がなくて、駆け足でいろんな分野ちょっとお話しさせていただき、通告してまだ質問できなかった分野もありますけれども、いずれにしても、これまでの支援にとどまらない、被災者の皆さんの心を折れさせない、そういう支援を求めて、私の質問を終わりたいと思います。

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関連資料

しんぶん赤旗記事「復旧進め、生活再建支援を/衆参災害特委 田村貴昭・武田議員が要求」

しんぶん赤旗記事「豪雨災害で田村貴・武田議員/具体的要望と政府答弁(要旨)/災害特委」

参考資料

2020年7月28日参議院災害特・武田良介質疑資料