国会質問

質問日:2020年 7月 30日  第201通常国会  国土交通委員会

「GoTo」 観光業界は混乱 抜本見直し迫る

新型コロナウイルス感染拡大のなか政府が22日に前倒しで始めた観光支援策「Go To トラベル」について抜本的に見直すよう迫りました。
また、武田氏は、大成建設の建設現場の新型コロナ感染拡大防止について質問。従事者への休業補償とともに、現場名を公表するよう求めました。

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「GoTo」観光業界は混乱 臨時国会の開催を求める 2020.7.30

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 大成建設は、作業所における新型コロナウイルス感染者が発生したことを発表いたしました。これまでに大成建設の社員、現場従事者の方含めまして十七名の方の感染が確認をされております。
 私、問題は従事者の方々だと思います。大成建設は独自に検査体制を取り、従事者からの希望があればPCR検査を実施しているということで、昨日のレクチャーで聞いた数字では、全体約二百五十名の従事者の方がいたうち、この検査を百五十七人の方が受けて、一名が陽性、百三十一名が陰性、結果待ちは二十二人だというふうにお聞きをいたしました。
 この検査以外に独自に検査を受けている従事者の方もいらっしゃるということであります。独自の検査を受けたのは何人で、何人が陽性だったのか、国交省に伺います。

○政府参考人(青木由行君) お答えいたします。
 御指摘の案件につきまして、元請負人でございます大成建設によりますれば、現場作業員の方が自主的に保健所などで受検したPCR検査について、同社は受検総数を把握しておりませんが、保健所の指導に従いまして、自主的な検査によるものを含めて現場作業員で陽性者が出た場合には同社に報告をすることとなってございまして、昨日二十九日までの陽性者の数が九人になっていると報告を受けております。

○武田良介君 仮に約百名の方全員が独自の検査を受けたとしても、これ陽性率九%というふうになります。大成建設が設けた検査で確認された陽性率、これを比べてみても明らかに高いことになります。
 この大成建設の現場で働いていた従事者の方が現在はほかの現場で仕事をされているということもあり得ると思うんです。これお聞きしませんけれども、当然そうだと思います。現場を変えてでも仕事をしないと生活はできないという方がたくさんいらっしゃるわけですから。
 この事態は、私、従事者の皆さんに感染拡大とならないのかということを大変今心配をしております。
 国交省は、感染が確認された現場に出入りしていた全ての従事者の方のその後の現場もつかむように、建設業における新型コロナのガイドライン、見直すべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(青木由行君) 私ども、建設業につきましては、新型コロナウイルス感染症の予防対策ガイドラインというのを作成して周知に努めているところでございます。
 このガイドラインに感染者が確認された場合の対応というのを書いてございまして、そこでは、保健所等の指導に従いまして、感染者本人や濃厚接触者の自宅待機を始め適切な措置を講じる、あるいは、保健所等の指示に従いまして、感染者の勤務場所の消毒を行うとともに、必要に応じて同勤務場所の勤務者に自宅待機をさせるなどの対応を検討すると、こういったことになっております。
 御指摘の事案につきましても、所管の保健所の指導によりまして今適切な対応をしていただいているというふうに我々は承知をしています。
 国交省といたしましては、この感染者が確認された場合には、保健所等の指導、指示に従って適切に対応していただくことは大変重要というふうに思っていまして、引き続き、保健所の指導等に従いまして適切に対応していただくように要請していきたいと考えております。

○武田良介君 保健所の指導に従うというのは、それはもちろん当然だというふうに思いますけれども、大成の方は、今どういう現場にいるのか、それは現状つかめていないということを事前にもお伺いをしてまいりました。
 今、この現場は工事が止まっております。大成建設は休業補償はする方針だというふうに私も伺っております。現場の方は、しかし全くその補償されるということは聞いていないと、こういうふうなお話も聞いております。従事者の方からすれば、いつ、幾ら休業補償がもらえるのかということが分からなければ現場に出ざるを得ないということになってしまいます。これでは感染拡大防止にならないというふうに思いますので、いつ、幾ら休業補償が支払われるのか、直ちに従事者の皆さんに示すべきではないかと。これが最大の感染拡大防止策ではないでしょうか、国交省。

○政府参考人(青木由行君) 国土交通省といたしまして、今般、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴いまして、経営基盤が脆弱な下請建設企業に追加費用の発生などのしわ寄せが生じることがないように、例えば、その建設工事の一時中止などの際には、下請人や技能労働者の事業や、あるいはなりわいの継続に支障が生じることがないように十分に配慮するということ、そして、下請契約における工期の見直し、適切な代金の支払など、元下間の取引の適正化についてより一層の徹底を求めるよう求めてきたところでございます。
 今般の事案につきまして、元請人から伺っているところを申し上げますと、個別の休業補償につきましては、その具体的な支払時期あるいは支払額を示すまでには協議などに一定の期間を要するものの、休業補償を行う方針自体は下請人に対して速やかに伝達するとともに、現場作業員の方々にもそういった休業補償が行われるという情報がしっかりと伝わりますように下請人に依頼していくこととしていると伺っているところです。

○武田良介君 休業補償を始めとして、適切な感染拡大防止のためには現場名の公表ということも必要ではないかということも含めて指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、ゴー・ツー・トラベルについて質問させていただきたいというふうに思います。
 大臣御自身がキャンペーンの開始を七月の二十二日に前倒しするというふうに判断をされたその理由と判断の基準について伺いたいと思います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) このゴー・ツー・トラベル事業のそもそもの流れから少し正確に御報告申し上げたいと思いますが、この本事業は、当初より、その開始は夏休みに活用していただけるように七月中の開始を目指しておりました。その後、六月五日にゴー・ツー・キャンペーン全体の事務局についての見直しがあったことから、改めてゴー・ツー・トラベルでの事務局を設置しなければいけなくなり、この計画どおりの遂行が大変難しい状況となっておりました。
 一方、七月の上旬から国土交通省の政務三役、大臣、二名の副大臣、また大臣政務官三名でそれぞれ担当をいたしまして、全国各地での観光・運輸関連事業者並びに首長の皆さん、経済界の代表者との会合を開かせていただきながら、その場で大半の意見が、全国の各地方自治体で六月下旬から始めた県民割引につなげる形でゴー・ツー・トラベル事業の早期開始と長期間の継続というものを、強い御期待と御要望をいただいたところでございます。
 そうした中で、全国の観光地では、七月二十三日からの四連休の期間に、新型コロナウイルス禍に苦しむ多くの国民の皆様に本事業による割引を享受していただきたいと、こう検討した結果、そう結論し、七月の十日の記者会見におきましては、一つとしては、事務局の選定の結果をし、そして二つは、この事業は二十二日から本事業を開始するということ、そして三つ目は、既存の予約、この四連休に入っていた予約につきましても、本事業の対象としてまずは還付方式で割り引くことの三点を発表した次第でございます。
 以上です。

○武田良介君 今、経過の答弁もありましたけれども、そうしますと、大臣が十日の前倒しの判断に当たって、専門家の方の判断というのはこれは仰がれたんでしょうか。大臣御自身が意見を聞かれたのかどうかという点ではどうでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 済みません、十日の前倒しというのは、十日に発表した内容ということですか。

○武田良介君 はい。

○国務大臣(赤羽一嘉君) これはそもそも、これも申し上げますと、五月二十五日に政府として非常事態宣言の解除がなされ、その後の外出自粛、これは観光含まれるわけですが、とイベント開催制限の段階的緩和の工程表、これ野球とかサッカーとかですね、こうしたことについては、当然のことながら、専門家会議での御意見を踏まえ、政府の対策本部において決定したものでございます。その後もこの専門家の皆様によるモニタリングが行われてきたということを認識しております。
 そして、その流れの中で、六月十九日から県外移動の制限の撤廃並びにイベントにつきましても、イベント開催制限の緩和がこの工程表に基づき予定どおり実行されました。加えまして、七月十日からのイベント開催制限の更なる緩和も予定どおり実行されたところでございます。
 国交省といたしましても、同様に、この工程表に定められたとおり、外出自粛の段階的緩和の一環として七月二十二日からの本事業の開始を決定したところでございます。ですから、専門家の皆様の意見を聞かずにこうした判断をしたというのは、その御批判は当たらないということでございます。

○武田良介君 事前のレクチャーの際には、事前に、個別に専門家の方に前倒ししようと思うがどうかということで意見を伺ったんでしょうかというふうに事前に担当の方にはレクチャーで聞いた際には、そういったことはしていないと。
 今答弁にありましたのは、全体の宣言の解除からイベントの問題、それから県をまたぐ移動の問題、そういったものに対して、まあ基本的対処方針のことだと思いますけれども、それに沿って行ってきたということの御答弁だったというふうに思います。
 私、この間の国交の委員会の質疑も振り返って率直に一つ思いましたのは、これまで大臣、繰り返し、観光業に対する最大の支援は感染の封じ込めであると、そしてその状況が落ち着き次第、需要喚起策を打っていくんだということを繰り返し述べてこられたというふうに思うんです。ただ、この七月の十日という時点は既に感染者がまた増えてきたということになっておりますので、こういう点から見ると矛盾したようにも見えるわけですけれども、この点、大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 矛盾しているとは考えておりません。五月二十五日に非常事態宣言の解除がなされたというのは大変大きな変換だったと思います。その後、常に政府の決定、これは感染症の専門家会議の皆様からの御意見を踏まえた政府の決定の枠の中で我々は事業を予定どおり進めたということでございます。
 最近、もちろん、この発表と、我々、タイミングが悪くという気持ちなんですが、こうした感染拡大の傾向が続いているとしたことにつきましては、先ほど尾身先生に申し上げましたように、本来は全国一斉に行うという気持ちで用意をしておりましたが、先ほど申し上げたとおりでございますが、十六日に総理と官房長官、また西村担当大臣と国交大臣の私の四者でこのままどうするかという検討をしながら、東京の発着の除外は私にとってみれば断腸の思いでありましたが、これを除外するという形で二十二日からの開始ということをこの専門家、分科会に諮問をして検討していただくということで議論していただいて、いろいろな議論があったと思いますが、最終的には東京都の発着の除外と、そして、さっき言われておりましたが、三密の対策をしっかりとしたものを取るということで御了解をいただいて、政府の決定として二十二日からスタートをさせていただいたと、こうしたことでございます。

○武田良介君 いずれにしても、政府の方針全体に従ってという御答弁だったと思うんですけれども、私は、現実に感染が拡大してきている、そういう局面での今回の前倒しの決定、あるいはゴー・ツーを、これ封じ込めて落ち着き次第、需要喚起策を打つというふうにおっしゃってこられたこととの整合性という点では、私は疑問を引き続き感じております。
 これまでも現場からの要請があったということを繰り返し言われておるわけですけれども、これ私が聞いたところ、現場は非常に混乱をしております。観光地の旅館だとかビジネスホテルからお話聞きましたら、例えば一例で言いますが、チェックイン時の検温だとか健康チェックをして感染が疑われる方がいた場合、どう対応したらいいのかということがなかなか具体的に示されていないという指摘をたくさんいただきました。帰ってくださいとは言えないだとか、あるいは感染拡大、風評被害が怖い、それから、人口以上に滞在者が何倍にも増える観光地の保健所だとか医療の体制は大丈夫だろうかと、こういう声がたくさんあったわけです。
 これ、大臣が早め早めに準備をしていくということを、これも御答弁、これまでもされてこられましたけれども、実際に現場は混乱をしております。いろんな不安を抱えております。こういう混乱がどうして生まれてしまったのか。準備が十分できていなかったのではないかというふうに思わざるを得ないんですけれども、この点、いかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) この事業に参加する宿泊事業者、旅行事業者に対する義務付けというのを相当厳しくやっている中で、一番大事なことはチェックイン時に身分証明を確認することと検温を励行することであって、その検温のときに平熱じゃない調子の悪い方については必ず保健所の連絡を取って医療的な対応をするというのがこれ必須条件なんです。
 そのことを、何というか、混乱されているというのは、私たちは観光庁からそうしたことの現場の混乱はないというふうに聞いておりますが、他方で保健所の業務というのは大変厳しい状況にあるというのはよく承知をしておりますので、それは厚生労働大臣又は西村担当大臣から全国の保健所、全ての保健所にこうした通知も出していただいておりますし、そのことについては最優先でやっていただくということは政府としては指揮を執っておるところでございます。
 もしそうしたことがまだ御理解をいただいていないホテルの事業者があるということであれば、具体的に言っていただければ、そうした人が中途半端な対応をしながら感染を生み出すということはこの本事業の本意では全くございませんので、それはもうできるだけそうしたことをクリアに説明していかなければいけませんし、私どもの事務局がまだそうした立ち上がりが十分じゃないという御批判はしっかりと受け止めながら、体制を拡充してしっかりとした対応を取っていくということはお約束申し上げるところでございます。

○委員長(田名部匡代君) 申合せの時間が来ていますので、おまとめください。

○武田良介君 はい。
 時間の関係で質問を絞りましたので若干分かりにくいところあったかもしれませんが、宿泊証明だとか、例えば還付の申請ですとか、そういった問題も含めて大変混乱しているという話はたくさんありました。あわせて、やっぱりこういうときに本当にやってほしいのは消費税の減税だというのが、私、どこ行っても皆さん共通しておっしゃられておりました。
 こういう状況ですので、抜本的な観光支援策の見直しも含めて求めたいというふうに思いますし、是非臨時国会も開会いただきますようにお願いを申し上げまして、私からの質問を終わりにさせていただきたいと思います。

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