災害対策特別委員会の閉会中審査で質疑に立ちました。
なりわい再建補助金(新グループ補助金)。これまでのグループ補助金と自治体連携型補助金を合わせたもの。
グループ要件をはずし一社から受けられ、とりまとめ役となる県に申請していく制度です。被害の実態をみた県の判断で運用しうるものであることを、繰り返し答弁で確認しました。
国交省が打ち出した「流域治水」についても質問。河川管理者などの主体だけでなく、流域も含めた関係者で治水を行うということなんですが、打ち出すだけではダメで、農業や林業で生活できる社会にするところまで踏み込まないとダメでしょ、と大臣に質問。
大臣は流域治水の考え方について計画が重要である、関係者と調整していくとの答弁でしたが、私は今回の流域治水プロジェクトは「国交省の河川整備を中心に、農業や林業などで補いましょう」という姿勢で進んでいることに限界を感じています。
やっぱり農業や林業で食べていけるだけの政策転換をしないとダメです。
しんぶん赤旗記事→実情にそった制度に 豪雨「なりわい再建補助金」武田氏が要求 参院災害特
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
なりわい再建補助金というものができました。最初に中企庁にお伺いしたいと思いますが、これがどういったものなのか、どういうふうに支援が拡充されたのか、分かりやすく御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
今回措置されましたなりわい再建補助金は、御指摘いただいたとおり、従来グループ補助金と言っていたものと自治体連携型補助と通称していたものとを併せまして、一つの制度ということで今回総合的に手当てしたものでございます。
具体的には、従来のグループ補助と言われている部分につきましては、これも御指摘いただいたとおり、グループ要件は外しまして、個別の企業が直接、県の復興計画のところできちっと位置付けられれば、グループを組む組まないにかかわらず、従来と同様な設備等の復旧復興に向けた取組を四分の三補助し、速やかな復興の実現に向けて支援が受けられるというものでございました。このグループ要件を組む手続が不要になったというところが一つ目の拡充ポイントでございます。
続きまして、定額補助が付くようになったという制度につきましては先ほども御説明させていただいたとおりでございます。
三重苦につきましても、要件的に何か緩んだ、明確に緩んだわけではございませんが、一つ一つ極力丁寧に、特にコロナの影響下ということでは、もう既に被災前に売上げが落ちてしまっている方というのが相当数たくさんいるものですから、昨年来、そこの要件が引っかかって定額補助の対象にならなかった方が、今回見込みではございますけれども、より柔軟に適用対象になる方が増えるのではないかという意味では運用上の緩和効果はあるのではないかということを期待をしてございます。
続きまして、従来の自治体連携型補助の部分でございます。
基本的な補助自体の要件は同じでございますが、今回、こちらにも同じ三重苦の条件が満たされれば定額補助が適用されることとなりました。従前は自治体連携型補助の世界には定額補助の部分はなかったわけでございますが、今回は自治体連携型補助の旧来の対象エリアにつきましても三重苦の要件を満たせば定額補助、一〇〇%助成が受けられると、この部分も拡大をさせていただいた部分になるかなというふうに思います。
いずれにいたしましても、一件一件の御事情を丁寧に聞かせていただきまして、極力実態に即した復興支援ができますように、引き続き中企庁としても制度の運用に努めてまいりたいと、このように考えてございます。
○武田良介君 是非柔軟な運用をお願いしたいと思うんです。定額補助についても先ほど答弁、今答弁いただきましたけれども、これも一件一件本当に柔軟に対応していただくことを私からも要望させていただきたいというふうに思います。
これ今、C類型というのがこのなりわい再建補助金の中にありますけれども、これ聞きますと、災害救助法が適用されているところということがこれ一つ要件になっているということなんですが、災害救助法の適用は、皆さん御承知のように、一号から三号までの災害規模に応じたものもあれば、四号適用もあります。
実際に、今回の七月豪雨の場合にはみんな四号適用されているわけですけれども、これはC類型を使う際にも四号適用でも特に構わない、C類型を使えるということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
厳密に制度的なことを申し上げれば、災害救助法の対象エリア四号だから自動的に今回の補助の対象になりますという設計になっているわけではございませんが、事実上そういった指定を受けたことを踏まえて、それを含む都道府県と御相談させていただいた上で、都道府県に対する助成制度として制度設計をしているということでございまして、これまでの実績からいえば、災害救助法が何号であれ対象になったエリアに対しては事実上その都道府県に対する補助制度が発動されていると。最終的にはそれを受けた方が得かどうかは都道府県にも御判断いただくことになっていますので、制度設計として直通するわけではございませんけれども、結果としても、実態は御指摘いただいたような運用になってございます。
○武田良介君 都道府県とよく相談してと、都道府県の判断という趣旨の御答弁いただきました。そこが私非常に重要だと思っております。
一つ具体的な例なんですけれども、長野県の天龍村というところがございまして、今年の七月豪雨によって発生しました土砂崩れによって被災した建設業者、一社あるんですね。先ほどグループ要件外れたという話ありましたが、一社であります。これ、長野県は災害救助法を十四の市町村には適用しているわけですけれども、この天龍村に対しては適用しているということになっておりません。この場合でも、天龍村にある建設業者もC類を使うことはこれできるということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
ちょっと制度論になって恐縮でございますけれども、先ほども御案内のとおり、なりわい再建補助金の制度が災害救助法の指定エリアであることを直接求めているわけではなく、そうした指定エリアを含む都道府県と相談をさせていただいた上で設計をするのが本制度と、こういう制度設計になってございます。運用はもう実際御指摘いただいたとおりになっているわけでございますが。したがいまして、本件の場合につきましても、厳密に言えば長野県の判断ということになります。
少なくとも制度は天龍に対する支援を禁じているわけではございませんので、その辺も都道府県とよく事情を伺いながら詳細な運用は決めていくと、こういうことになろうかと思います。
○武田良介君 今私は長野県の天龍村ということを言いましたけれども、各地にあると思うんですね。面的な被害を受けているところもあれば、それぞれ例えば中山間地で一件だけ被害を受けている、近隣でいえば一件だけ被害を受けている、たくさんあると思います。
今答弁いただいたように、県とよく相談をし、県がどういう制度設計していくのかということから柔軟に国の方も是非対応いただきたいということを重ねてお願いをしたいと思いますし、これ、まだ詳細は全て決まっていないということを伺っております。
これ、詳細決まりましたら、是非、紙だけで通知するんじゃなくて説明会を地元で開いてほしいと、こういう要望も岐阜県の方からも私あるんだということをお聞きをしておりまして、岐阜県も、例えば下呂、高山、それから加茂地域、そのぐらいで説明会を是非やってほしいということも私伺っておりますので、是非これは御要望させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
次に進みたいと思いますけれども、七月豪雨が発生をしてしまいました。河川整備の重要性はますます多くの方に認識されるようになっているというふうに思います。それを考えていく上で、昨年の台風十九号災害で被災した千曲川、ここの河川整備がどのように進んでいくのか、これ大変重要な先行例にもなってくるかなというふうに私は思っております。
そこで、具体的に長野市に入る前に国交省に説明求めたいと思いますけれども、今、各水系で流域治水プロジェクト、この素案というのが作られ始めておりますけれども、まず、この流域治水の考え方というのはどういうものなのか、御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(井上智夫君) 昨年の十一月から気候変動を踏まえた抜本的な治水対策について社会資本整備審議会において議論を進め、七月九日に流域治水という新たな治水対策をスタートさせるという答申をいただいたところです。これを受け、国土交通省としては、治水計画を過去の降雨実績に基づく計画から気候変動による降雨量の増加などを考慮した計画に見直してまいります。こうした外力の増大に対応するためには、これまで以上に治水対策を充実させる必要があります。
そのため、まずは、河川におけるハード対策として、上流、下流や本川、支川の流域全体を見据え、上流で洪水を貯留するダムや遊水地の整備、下流から計画的に行う堤防整備や河道掘削などをより一層充実させてまいります。その上で、いまだ治水施設の整備が途上であることや施設整備の目標を超える洪水の発生が頻発している現状を踏まえると、氾濫が発生した際の被害を回避するため、リスクのより低い地域への居住誘導やリスクの高い地域における開発抑制などの町づくり、さらには宅地かさ上げなどの住まい方の工夫等を進めるとともに、地域住民の防災意識を高めるなど、氾濫発生に備えた警戒避難体制の充実や被災地における早期の復旧復興のための対策などについても組み合わせながら、総合的かつ多層的に取り組むことが重要であります。
このように、河川管理者等が主体となって行う治水事業等をこれまで以上に充実強化することに加え、あらゆる関係者の協働により、流域全体で治水対策に取り組む流域治水への転換を今後進めてまいります。
○武田良介君 ちょっと長めの答弁だったんですけど、要は、その治水対策を行っていく主体をその河川等の管理者だけではなく広げていくということだとか、その流域も含めて、その氾濫域なども含めて広げていく。具体的に言うと、河川対策があり、いわゆる流域対策があり、ソフト対策があり、先ほど舟山委員の資料にも付いておりましたけれども、そういったことを念頭に置いているということだと思うんですが。
長野市、千曲川との関係ということも踏まえて一つ確認させていただきますけれども、昨年被害を受けた七つの水系は緊急治水対策プロジェクトというのを、もうこれ既に立ち上がっております、どちらも同じ三つの柱、河川対策、流域対策、ソフト対策、同じ三つの柱で具体化を図っているということで間違いないでしょうか。
○政府参考人(井上智夫君) 流域治水プロジェクトと七水系の緊急治水対策プロジェクトは、いずれも河川対策、流域対策、ソフト対策の三本の柱で治水の全体像を取りまとめることとしていきます。
以上でございます。
○武田良介君 三つの柱は同じで、これを、今三つを具体化を図っている、同時に具体化を図っているということなんです。
そこで、千曲川に引き付けてちょっとお聞きをしたいと思っておりますが、長野の被災地では、今のこの緊急治水対策プロジェクト、これに基づいた復興計画が今検討されているさなかであります。この中に、国交省の関わりでいいますと、一つはその河川整備ですね、これの具体化、それからもう一つ、防災ステーションの設置という話が入っております。
これ同時にやられているわけですが、現場で起こっている声は、河川整備は進まない、防災ステーションの具体化だけは進んでいくと、こういう思いがあるんですね。河川整備はその下流域から手を着けなきゃいけない。この信濃川の関係でいえば新潟の方ですね、向こうから手を着けていかなきゃいけないということが原則なので、今回大きな課題になった立ケ花と言われるところの狭窄部、これにどう手を着けるのかというのはなかなか具体的なものが示されない、住民の皆さんには。
しかし、一方で、防災ステーションについては、予算との関係で、長野市が言うには、被災者の皆さんに言うには、八月末までに地元住民の皆さんの合意が欲しい、どこに立地をするのか、どれだけの用地面積を必要とするのかということの合意がもう欲しいということを言われているということを私は被災者の方からお聞きをいたしました。
これは、コロナの下、住民説明会がなかなか開けなかったということも含めて、それも含めて、被災者の皆さんは、被災者の声をもっと聞いてほしい、もっと時間を掛けた丁寧な議論が必要だと、こういうことをおっしゃっているわけなんです。この河川整備、立ケ花狭窄部の改修には具体化できないのに、防災ステーションだけ進むと。
これで、国交省に確認したいと思うんですけれども、この防災ステーションの基礎部分を造るには国交省が全額お金を出すんだというふうに聞いています。ですから、その立地とか用地面積、これをどうするのかという計画を上げてくれというふうに現場に要請している、そういう事実はあるのかどうか、これ八月末までにというふうに言っているのかどうか、この点について確認したいと思います。
○政府参考人(井上智夫君) 河川防災ステーションは、災害発生時における緊急復旧活動等の防災活動拠点として河川管理者が実施する資材備蓄のための基盤整備と、水防活動等の拠点として市町村等が実施する水防センター等の建築などを一体的に行うものです。
長沼地区の河川防災ステーションについては国土交通省千曲川河川事務所と長野市の共同で八月二十四日に地元説明会を開催し、河川防災ステーションの災害時と平常時の役割や設置予定位置、長野市が建築する水防センター等の関連施設について地元住民の皆様に御説明するとともに、御意見を伺ったところです。この中で、国として八月中までに住民の意見の取りまとめを依頼したという事実はなく、防災ステーションの計画を決める明確な期限はない旨もお伝えしたところです。
引き続き、住民の皆様の御意見を十分にお聞きしながら、長野市とともに連携して防災ステーションの整備を進めてまいります。
○武田良介君 八月末までではないということは言ったということは、しかし、計画出してくれということをお願いしているというのは事前にお伺いしておりますが、簡潔に事実関係だけ。
流域治水プロジェクトの素案、今、信濃川の話してきましたが、それだけじゃなくて、全体のこの素案はいつまでにこれ成案にしようと思っているのか、この点だけお願いします。
○政府参考人(井上智夫君) 現在、国、県、市の関係者が一堂に会する協議会を設置し、検討を進めているところでございますが、まずは本年度中に全国の一級水系で当面の対策を明らかにした流域治水プロジェクトを策定してまいる予定です。
○武田良介君 当面のと強調されましたが、今年度中に成案にするということなんですよね。
これ、私が今言ったように、混乱が生まれると思うんです。どこの水系でも生まれると思いますけれども、とりわけ七つの水系、昨年被害があって緊急治水対策プロジェクトが動いているようなところでは起こり得ると思うんです。
被災者の方たちから私お話聞きましたけど、やっぱり被災者の方たちからすると、先ほども少し言いましたが、まず狭窄部に手を着けてほしいと、そういう思いがあるのになぜ防災ステーションだけ進んでいくのかという思いになりますし、別のことからいえば、住宅再建、今本当に考えなきゃいけない時期になっています。決壊して濁流で流された、でもそのふるさとにもう一回住宅を建てるのかどうするのか、そういうことも悩んでいるときに、防災ステーションだけは場所が決まっていくということになるわけなんです。本当にこれでいいんだろうかということだと思うんですね。
これ、今年度中に流域治水プロジェクトを取りまとめると、これ現場に指示するのはやめた方がいいんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。
○政府参考人(井上智夫君) 本年度中に全国の一級水系で当面の対策を明らかにした流域治水プロジェクトを策定する予定としておりますが、その後も随時様々な関係者による議論に応じて流域治水プロジェクトに参画する主体や取組内容の追加、見直しを行うことにより、流域治水の充実強化を図ってまいります。
○武田良介君 これからも見直すんだからという答弁だと思うんですけど、早くやるべきは、既にある河川整備計画をしっかりとやり遂げるということだと思うんですよ。先ほどの答弁の中にも、そもそも河川整備計画あったけれども、それを超えて被害が発生しているわけでしょう。少なくとも河川整備計画をやり遂げるということは迅速にできるわけですから、流域治水プロジェクトを形としてまとめることを急いだところで、実際にその河川整備計画が具体的に進み、被災者の皆さんの思いにかみ合った事業が進まなかったら、私、これ意味ないと思いますよ。やっぱり、そういう意味からも、ここにこだわるんじゃなくて、実際に被災者の皆さんの願いに応える、やっぱりそういうことが本当に必要だろうというふうに思います。
もう時間がなくなってしまって、もう一つ大きなテーマ、お話聞きたいところあるんですが、大臣に最後に一問お伺いさせていただきたいと思うんです。
この流域治水プロジェクト、先ほども少し舟山委員からもお話があったんですけれども、長野県の緊急治水対策プロジェクト見ても、例えば田んぼに保水するというときに、田んぼの水が出ていく口ですね、落水口とお読みするんですかね、あそこに調整板を置いて小さな穴にして、流出する量を減らして幾らかためましょうということを書いてあるんですけど、例えばそのことをイメージしたときに、それを担えるだけの農家さんがいなきゃいけない。それはもう人数としてももちろん必要ですし、ただ計画としてそれを盛り込んだというだけではなくて、実際、自分がそれを実行するんだという農家さんがやっぱりいなきゃいけないんだと思うんです。これ、国交省が作っている河川整備のことを中心にやっている計画で、そのことが付け加わっているように見えるんですね。
ですから、先ほど舟山委員もおっしゃっておりましたけれども、本当にここの位置付けどうなっているのか。こういうことで防災・減災ということを考えていくのであれば、私は事前に、事前にということもあれですが、国交省、農水省、あるいは山のこといえば例えば林野庁だとか、その以外の省庁もたくさん絡みますけれども、みんなとよく協議する必要があると思うし、言ってみれば、農業で食べていける、林業で食べていけるというところまでしっかりやらないと、本当に流域治水、それによる減災・防災ってできないんじゃないだろうかと、そこまで踏み込む必要があるんじゃないかということが私の最大の問題意識なんですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(武田良太君) この流域治水という発想というのは私はすばらしいものだと思いますし、これを多くの担い手の皆さん方が継続的に果たしていくためにはしっかりとした手だてを打たなきゃならないという御指摘だと思います。
これ、全て個人も、また、ありとあらゆる、農業、林業、そしていろんな御商売されている方も含めて、また個人も含めて参画、連携していただかなくてはならないし、ハードもソフトも一体化していかなくてはなりませんけれども、やはり役割分担も含めて計画性というものがこれは大事になってくるんではないかと思います。計画的に役割分担も含めた上でしっかりとみんなで連携していく、そうした一つのシステムを各地域地域でつくり上げていくことが必要だと思います。
委員御指摘の農村振興と申しますか、担い手の皆さん方がいなくなればこうした流域治水というのも絵に描いた餅で終わってしまうぞと、そうしたことを考えて、我々も地方の出身ですから、そうした農村振興も含めて今後何ができるかということを関係省庁と連携して責任を果たしていきたいと思っております。
○武田良介君 私も、発想としては、流域治水、非常に大事なことだというふうに思っております。でも、これを本当に実効性あるものにするためには、やっぱり今大臣、計画の問題、そういう角度からも御答弁いただきましたけれども、本当に農業で食べていける、林業でやっていけるという状況をつくらないとやっぱりこれはなかなか難しいんだろうということを思っておりますので、せっかくの大事な発想ですから、これを実効あるものにするために、大臣のこれからの活動で更にこれを実効性あるものにしていただきたいということを御要望いたしまして、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。