国会質問

質問日:2021年 5月 20日  第204通常国会  国土交通委員会

長期優良住宅の認定基準の標準化を

 20日の参院国土交通委員会で改正長期優良住宅普及促進法案の質疑が行われ、日本共産党の武田良介議員が質問し、公的賃貸住宅は長期優良住宅の認定基準を標準化すべきだと求めました。(スタッフ)

 

 

 

議事録

 

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 本法案では、特定行政庁が交通、安全、防火等に支障がなく、市街地環境の整備改善に資すると認めた場合、容積率制限を緩和できるとする規定が第十八条に盛り込まれることになります。なぜ容積率の緩和規定を盛り込むこととしたのか、その経緯についてまず説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(和田信貴君) 二〇一九年時点で長期優良住宅のストック数は百十三万戸となっておりまして、住宅ストックの二%にとどまっております。新築住宅全体での認定割合は約一二%であり、そのうち共同住宅の認定割合は新築のうち〇・二%にとどまっており、共同住宅の認定促進が課題と認識しております。
 有識者の委員会におきまして、長期優良住宅に係るコストも課題であり、住宅取得者向けのインセンティブや容積率特例などのインセンティブについて検討すべきとの御指摘をいただいていたところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、本法案におきましては、新たに敷地面積と空地に係る要件を緩和した長期優良住宅の容積率緩和制度を創設することとし、市街地の環境の整備改善に資すると認められる場合に、容積率の緩和措置等を活用して共同住宅の認定促進を図ってまいることとさせていただいた次第でございます。

○武田良介君 有識者検討会で、コストの課題があると、で、インセンティブが必要になっているという指摘があったということなんですけれども、これ今でもその財政面だとか金融面での一定その措置があるわけですよね。その上で容積率の緩和が必要なんだというのはどういうことなのかという辺りを私もう少し知りたいというふうに思って、事前にも少し聞かせていただきましたし、ホームページ見ましたら、議事概要はあるんですけれども議事録がなくて、そこら辺の議論がどうなっていたのか詳細がよく分からなかったんですけれども、ちょっと通告しておりませんけど、これ議事録というのは公表されないものなんでしょうか。

○委員長(江崎孝君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○委員長(江崎孝君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(和田信貴君) 今申し上げました……

○委員長(江崎孝君) 指名してからお立ちください。

○政府参考人(和田信貴君) あっ、済みませんです。失礼いたしました。
 今申し上げました有識者の委員会、社会資本整備審議会の小委員会という形でやっておりますが、この議事録についてオープンしてございます。

○武田良介君 ホームページ見ても出ず、資料要求させていただいても出なかったんですけれども、じゃ、届けていただけるんでしょうか。

○政府参考人(和田信貴君) 申し訳ございません。答弁を訂正させていただきます。
 議事概要をオープンさせていただいてございます。

○武田良介君 ないんですね。いただけなかったんです、事前にも。ですから、これ以上、どういう議論で容積率の緩和ということが必要だというふうになったのか、ちょっとそこら辺のところがよく分からなくて、公表されていないということですので、特に何か不都合なことがあって隠しているんじゃないかだとか国民の方からも見られてしまうんじゃないだろうかというふうにも思いますし、行政全体に不信が強まってしまうんじゃないかというふうにも思うところですが。
 ちょっとその容積率の緩和そのものについては議論を整理させていただきたいと思うんですけれども、マンションの建て替えの場合莫大なコストが掛かる、それはもう御指摘のとおりだというふうに思いますので、容積率をある程度緩和をして部屋を新たに造ったりして、で、賃料などで賄っていく、そういうことも考えられるんだと思うんですね。それはマンションに既にお住まいの方にとって、建て替えを進めていこうというときにも、これは重要なんだろうというふうに思っております。
 新築の場合はどうか。先ほどあるように、容積率を緩和したマンションの建設が、その用途地域制度で決められてきた健全なまちづくりのために、都市計画本来の趣旨とどう整合性を取っていくのかと、これは課題があるんだと思うんですね。これは、既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成及び消費者保護の充実に関する小委員会ですかね、この第三回の会議の中でも指摘されているというふうに私も承知をしております。
 認定基準の範囲内とはいえ、建物の高層化を進める契機となるものであって、こういう容積率の緩和に対しては慎重であるべきだというふうに私考えておりますが、この点で大臣にお伺いします。この第三回の会議のときにもそういう疑念という形で表明されておりましたけれども、この指摘についてはどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) まず、この部分を隠そうとして議事録をここだけクローズにしているわけじゃなくて、全部同じ扱いにしているということでございます。別に疑念はございません。
 また、この件も、私が承知しているのは、一人のある委員の方がそうした懸念を表明されたというふうには承知をしておりますが、最終的には、委員長から、こうした最後の取りまとめ案を殊更修正すべきというところまでは行かないと考えてよろしいでしょうかという問いかけに対して、それで結構ですというふうなやり取りがあったというふうにも報告を受けております。
 他方で、容積率の緩和制度、今お話ございましたように、私も阪神・淡路大震災のときに経験をしましたが、マンションが随分潰れまして、その建て替えのときに、入居者の経済的な負担等々があったりとかで、容積率を緩和して高いものを建ててと。ただ、当然そのときには周辺の、何といいますかね、環境問題ですとか、そうしたことは配慮しなければいけないという、そういう制約の下で行われたと思いますし、今回この件につきましても、特定行政庁が個別に審査をして、周辺への影響等にも配慮した上で許可されるものというふうに承知をしておりますので、周辺の市街地環境に十分配慮されるというふうに考えておるところでございます。

○武田良介君 容積率の緩和に慎重であるべきだというふうに考えているということは重ねて申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、公的賃貸住宅について聞かせていただきたいと思うんですけれども、公的賃貸住宅のうち、長期優良住宅の基準を満たした住宅というのはどれくらいあるものなんでしょうか。

○政府参考人(和田信貴君) 公営住宅では、国が示す耐久性、省エネ、規模等に関する技術基準を参考に、地方公共団体が具体の整備基準を定めております。また、UR、都市再生機構では、自ら耐久性、省エネ、規模等に関する基準を定めておりまして、いずれもこれらの基準に基づいて住宅の整備を行っております。これらの基準では、具体的には、耐久性や省エネ性等に関しまして、長期優良住宅の認定基準と同等の高いレベルの基準としております。
 このように公的賃貸住宅として一定レベルの性能基準としていることから、公共団体や都市再生機構における長期優良住宅の認定基準を満たした住宅数そのものというものについては、現時点でその状況を把握してございません。

○武田良介君 公的賃貸住宅こそ真っ先に長期優良住宅の認定基準を満たしているんだということが明らかになっていいんじゃないかなというふうに思いまして、だからこそ質問させていただいたわけですけれども、今つかんでいるわけじゃないと、そういう基準で造っているからということですが、古いものもあったりですとか、いろいろするわけですよね。
 そういうことからしますと、この実態を把握していただきたいというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

○政府参考人(和田信貴君) 公営住宅の整備基準につきましては、国が定める基準を参酌して地方公共団体が定めるということとされてから、約十年が経過してございます。
 地域の実態について、この整備基準等の地域の実態について把握していこうと考えていたところでございます。この実態把握におきまして、地域において定めている基準の性能レベルの状況などなど、公共団体等への調査を通じて把握してまいりたいと考えてございます。

○武田良介君 把握していくということだと思います。
 全国公団自治協議会の方からお話を私聞かせていただいたんです。二〇二〇年、昨年ですね、全国二百六の団地で八万戸を超える世帯から回答をいただいたというアンケート結果、私も見せていただきました。それを見ますと、住環境や抱えている困難が非常にリアルに伝わってくるんですね。
 まず、高齢化が大変に進んでいる、年金だけで生活をされている、そういう方も増加をしている、こういうことがアンケートの結果として全体の傾向としてあるということを前提にして、住宅の修繕について、例えば玄関ドアの防寒対策、これをやってほしいですとか、あるいは浴室だとかトイレの段差の解消、こういう要望も非常に多いと。こういう住居の施設の課題があるということだと思うんですね。
 公的賃貸住宅では基準を満たすのは当然じゃないかなというふうに思うんです。公的賃貸住宅の中には、古くて建設当時の基準では現在の基準を満たさない住宅もあると思いますし、老朽化しているものもあると思うわけです。どれだけ公的賃貸住宅が基準を満たしているのか調査するという答弁もあったわけですから、そうであれば、この長期優良住宅の基準を満たしている、それが標準になっていくようにすべきではないかと、公的賃貸住宅全てですね、そういう考え方でやっていく必要があると思いますけれども、この点いかがでしょうか。

○政府参考人(和田信貴君) 公営住宅につきましては、先ほど申しましたが、国が示す技術基準を参考に公共団体が整備基準を定め、URでは自ら基準を定めてということにしております。また、その基準につきましては、長期優良住宅の認定基準と同等の高いレベルとしております。
 一方で、長期優良住宅の省エネ性能の基準につきましては、先ほど申しましたが、外壁や窓などにつきまして高い断熱性能を求めることなどなど御意見をいただいており、その詳細を、この基準の在り方について今後検討していくこととしております。
 このような長期優良住宅の認定基準の検討状況を踏まえ、また地域の実態等を把握した上で、省エネ性能等に必要な点検を行いながら、良質な公的賃貸住宅ストックの形成を推進していきたいと考えております。

○武田良介君 アンケートの続きをこの際ちょっと紹介させていただきたいと思うんですけれども、優良住宅という前に、家賃を払うこと自身が困難になっているという訴えがたくさんこのアンケートに寄せられております。年金では家賃が払い切れない、年金に見合った家賃の減額をしてほしいとか、あるいは、一階に住み替えたいけれども、足が悪くなってきたりするということがあるわけですね、一階に住み替えたいけれども、家賃が上がるので四階にとどまっているとか、今四階にお住まいの方がですね、下に降りたいんだけれども、とどまっている、こういう生活実態に関する声もたくさんありました。
 つまり、公的賃貸住宅が長期優良住宅の認定基準を満たす、これももちろん大事だし、私も質問させていただきましたけれども、住まいと生活、健康や命に関わって今具体的な要求がどんどん上がっているという状況だと思うんです。
 ですから、今行政に求められているのは、こういう公的賃貸住宅においても長期優良住宅の認定基準を満たすような住宅にするとともに、この方たち求めているのは、家賃の減免ですとか、あるいはそういう住まいの点からも暮らしを支えていくということ、それが必要になってくるというふうに思っております。
 URについて、先ほどの基準を満たすという話をさせていただきましたが、これ真剣にやろうと思えば、建て替えるとかあるいはバリアフリー化する改修ですとか、そういうことも必要になってくるというふうに思うんですけれども、その際、気を付けなければならないことがあるということをお聞きをしております。
 建て替えの場合に配慮しなければいけないこと、バリアフリーの住宅となることで、例えば高齢者の方の入居希望が増える、それによって家賃が跳ね上がる。元々お住まいだった方が、一旦建て替えますからといって、どこかに仮住まいをして戻ろうと思ったときに、そこに戻れないということは起こらないだろうか、私たちはずっとここに住み続けてきて、ここで住み続けたいんだけれども、そういうことができないことが起こるんじゃないだろうか、そういうことを発生させてはならないということなんですね。
 機構は、二〇一八年にUR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョンというのをこれ発表して、七十二万戸から六十五万戸に削減、集約するという方針を示しているわけですね。だから、住み続けたいけれども移転を強要されないかと、払えない家賃へ値上げされないかと、こういう不安の声があるわけです。だから、建て替えそのものには慎重な意見が多いということなんですね。
 バリアフリー化の改修を進めていくということも考えられる。これはどんどんやる必要あると思いますけれども、先ほどの四階から一階へ住み替えたいという話もそうなんですが、既に現実は、そういうことで一階のお部屋は希望が多くて家賃が上がっているというのが実態なんだそうであります。だから、こういうところにもう住めなくなってしまう、住み替えたくてもできないんじゃないかと。
 こういう実態への対応を求められているということも指摘をしておきたいというふうに思っておりまして、ちょっとこの点、明確に通告しておりませんでしたけれども、この点についての受け止めがあれば、最後に御答弁いただければというふうに思います。

○政府参考人(和田信貴君) UR賃貸住宅についての家賃でございますけれども、UR賃貸住宅、元々、近傍同種の家賃ということを原則にしております。一方で、昔から長らくお住まいの方につきましては一定の配慮がされてきていると考えておりますし、また、先ほど言われたように、収入構成あるいは世帯構成等変わって今までの家賃というのが厳しくなってきたような場合について、少し間取りの小さなところも含めて、同じ住宅内、団地内で住み替えるということについても円滑にいくように試みてきているところだと思います。
 なかなか、おっしゃるように、全て希望したところへ行けるという、人気もありますから、状況ではないかもしれませんし、また、建て替えのときも最大限、従前のコミュニティーが維持されるように、もちろん配置やら建て方が変わりますから全く同じというわけにはいかないと思いますけれども、そういったことが配慮されるようにやってきておりますので、今後もそういったところに留意して進めていきたいと考えてございます。

○武田良介君 いろいろやってきたということはおっしゃると思うんだけれども、実際の現実には、アンケートに出ているような、これがリアルな現実だというふうに思うんですね。その上、今コロナ禍ということもあります。コミュニティーの話もありました。分断されてしまうという声もこの中にありました、紹介し切れませんでしたけれども。
 今本当に、家賃の減免ですとか、住宅、家賃のその支援ですとか、そういったものの拡充こそ求められているんだということを指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

すべて表示

関連資料

しんぶん赤旗⇒「認定基準標準化せよ 長期優良住宅促進法成立 武田氏指摘」