3月11日、武田良介議員は、北朝鮮による連続した弾道ミサイル発射の問題や、日朝平壌宣言に基づく拉致問題の解決について、政府をただしました(スタッフ)。
宣言に基づく解決を
武田氏 北朝鮮のミサイルなど
日本共産党の武田良介議員は11日の参院拉致問題特別委員会で、ロシアによるウクライナ侵略への国際的な批判が高まるもとで、北朝鮮による度重なるミサイル発射を批判するとともに、日朝平壌宣言に基づき、拉致・核・ミサイルの包括的な解決に全力をあげるべきだと迫りました。
武田氏は、北朝鮮のミサイル発射は、国連安保理決議に違反し、朝鮮半島の非核化、核兵器廃絶に逆行すると批判。国連が、ロシアのウクライナ侵略は国際法違反だと断じ、即時行動中止を求める決議を141カ国の賛成で採択したことをあげ、国際社会の確固たる意思を示すものだと強調しました。
その上で、決議が力による正義ではなく国連憲章こそが大事だとしているとして、拉致・核・ミサイルの問題を抱える北朝鮮に対しても、日朝平壌宣言に基づいて国際世論で包囲し、解決すべきだとただしました。
林芳正外相は「日朝平壌宣言の議論も踏まえながら拉致被害者の帰国のために全力を尽くす」と答弁しました。
武田氏は、拉致問題は一刻の猶予もない喫緊の課題だとして宣言に基づく解決を重ねて求めました。
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
東日本大震災から十一年、犠牲になられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての皆さんにお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
そして、北朝鮮の問題であります。拉致、核、ミサイル、この諸懸案の解決に向けて全力を尽くしていきたいというふうに思います。
まず初めに、北朝鮮は今月五日にも弾道ミサイルと推定される飛翔体一発を発射をいたしました。北朝鮮のミサイル発射、今年九回目というふうになっております。ロシアのウクライナ侵略がまさに今行われている、これに対して全世界が心を痛めて、怒りを持って非難の声を上げている中で北朝鮮が発射したものであって、断じて許されるものではないというふうに申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、まず、この繰り返される飛翔体の発射に対して日本政府はどのように対応してきたのか、松野担当大臣の答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
北朝鮮は、先般の大陸間弾道ミサイル級の弾道ミサイルの発射を含め、特に今年に入ってから極めて高い頻度で、かつ新たな態様での発射を繰り返しており、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであります。
北朝鮮による弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであり、我が国としては、北朝鮮に対して厳重に抗議をし、強く非難をしてきているところであります。加えて、国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中、弾道ミサイル発射を繰り返し強行しており、重ねて断じて容認できません。
政府としては、強固な日米同盟の下、引き続き高度の警戒態勢を維持し、我が国の平和と安全の確保に万全を期していく考えであります。また、米国及び韓国を始めとする国際社会とも緊密に連携しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の完全な非核化を目指していく考えであります。
○武田良介君 北朝鮮の度重なるこのミサイル発射、弾道ミサイルの開発、発射を禁じた国連安保理決議に違反するものであって、断じて許されるものではないと、日本共産党も強くこれを非難し、抗議をしたいというふうに思います。核の開発と結び付いた弾道ミサイルの発射、これは、朝鮮半島の非核化、そして北東アジアの平和の構築、核兵器廃絶に逆行するものであると重ねて強調をしておきたいというふうに思います。
ロシアによるウクライナ侵略に対する国連総会決議が上がりました。国連総会は、三月の二日、ロシアのウクライナ侵略は国際法違反だというふうに断じて、即時行動の中止を求める決議を百四十一か国の圧倒的多数の賛成で採択をしたわけであります。非常に画期的な決議だというふうに思っておりますし、国際社会によるプーチン政権に対する断罪が下されたというふうに思っております。百四十一か国というのは、これ、国連加盟国百九十三か国の七三%に達したということでありまして、これは二〇一四年のロシアによるウクライナ南部クリミアの編入を認めないというあの決議の際の賛成百か国を上回るものだということであります。
そして、国連のグテーレス事務総長ですね、国連総会のメッセージは大きく、明確であると言われています。今すぐウクライナでの敵対行為をやめよと、今すぐ銃声を止めよと、対話と外交の扉を今すぐ開けということだというふうに述べておられます。まさにそのとおりでありまして、画期的な国連総会決議だというふうに思います。
この国連総会決議に対する林外務大臣の見解を伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(林芳正君) 現地時間の三月二日でございますが、国連総会の緊急特別会合、これは、ロシアによるウクライナへの侵略を最も強い言葉で遺憾とし、ロシア軍の即時完全無条件の撤退を求めること等を内容とする決議を、今お触れいただきましたように、百四十一か国という多数の賛成によって採択をしたところでございます。我が国は、ロシアによるウクライナへの侵略を厳しく非難する、こういう基本的な立場に基づいて、この総会決議案の共同提案国となり、賛成票を投じたところでございます。
ウクライナ情勢に関する国連の議論の中で、我が国を始め、これまで非常に多くの国が、ロシアの侵略はウクライナの主権及び領土一体性に対する侵害であり、国際法に違反し、国連憲章にも反するとして非難の声を上げてまいりました。政府として、今般の総会決議案の採択、これはこうした国際社会で幅広く共有されております強い意思が改めて確認されたものと、こういうふうに受け止めておりまして、決議が実施される、このことが重要であると考えております。
我が国としては、一刻も早くロシアの侵略をやめさせ、ロシア軍を撤退させるために、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、迅速に厳しい措置を打ち出しております。
引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携し、有効と考えられる取組を適切に検討、対応してまいりたいと考えております。
○武田良介君 国連決議は冒頭で、国家間の法の支配を促進する上で国連憲章が最も重要であることを再確認するというふうに記しております。これ非常に重要だというふうに思っておりまして、いわゆる力の正義ではなくて、国連憲章こそ大事なんだと、これが世界の声になったということを示していると思っております。
賛成された百四十一の国というのはどういう国かということを見ていきますと、米国やその同盟国だけではなくて、半数以上が非同盟諸国会議に参加する国々、この非同盟、中立、こういう国々が、国連憲章を守るべきだと、こういう流れをつくってきたということが大きな特徴になっているというふうに思っております。
この総会決議ですけれども、国際社会の確固たる意思にこれがなっているわけだと思うんですが、反対した国が五か国あったということであります。北朝鮮は反対したわけでありますが、国連総会決議案に対する北朝鮮側の発言内容はどんなものだったんでしょうか。林外務大臣に伺います。
○国務大臣(林芳正君) 今委員御指摘のように、北朝鮮は反対した五か国のうちの一つであったわけでございますが、この投票に際してのステートメントによりますと、北朝鮮は、NATO拡大や欧州における軍備に関するロシアの関心への配慮が必要だったとしまして、問題の原因を米国やいわゆる西側による政策、これに帰するとともに、米国を強く批判をいたしました。
こうした北朝鮮の主張、これは日本政府の立場と相入れないものでございます。我が国は、ロシアによる侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、ウクライナの主権と領土一体性を侵害する明白な国際法違反であり、国連憲章にも反するものであるとの立場でございます。一刻も早くロシアの侵略を止めさせ、ロシア軍を撤退させるために、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、迅速に厳しい措置を打ち出しております。
引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携して、有効と考えられる取組、適切に検討、対応してまいりたいと考えます。
○武田良介君 私は、今回の国連決議の内容にしっかり確信を持つことが大事だということを重ねて訴えたいと思うんですが、グテーレス事務総長が、国連総会決議のメッセージは明確で、ウクライナの領土保全、主権は国連憲章に沿って尊重される、されなければならないというふうに指摘しているとおりだというふうに思うんですね。
国連憲章、国際法を守らせることが何より重要で、ロシアによるウクライナ侵略に関して言えば、この決議にあるように、ロシアによるウクライナでの武力行使の停止、軍の即時撤退、完全無条件撤退、これをロシアに求めたいというふうに思います。
こうした画期的な国連決議が上がった下で、北朝鮮の問題、どう解決するかと。国連決議は、今紹介したように、国連憲章こそ大切だと、こういう国際社会の確固たる意思を示しております。
核の問題についても、例えばアルゼンチンの国連大使は、ロシアによる核兵器による威嚇発言を受けて、国際社会は核兵器の完全廃絶を目指して活動しなければならないと発言されたと言われています。核兵器の先制使用は許されないと、核兵器のない世界を一刻も早く実現する必要性も示した国連総会だったのではないかというふうに思っております。
拉致問題、核やミサイルの問題を抱える北朝鮮に対しても、国連憲章、国際法違反の行為を繰り返すことは許されないと、こういう世論で包囲していくことが何より重要ではないかというふうに思います。そのためにも、北朝鮮の問題の解決にとって重要なのはやはり日朝平壌宣言だというふうに私は思っておりますが、この点について、松野担当大臣、林外務大臣、それぞれ見解を伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難いたします。
こうした中で、現地時間三月二日の国連総会の緊急特別会合において、ロシアによるウクライナへの侵略を最も強い言葉で遺憾とし、ロシア軍の即時完全無条件の撤退を求めること等を内容とする総会決議が採択されたことを歓迎をいたします。
北朝鮮はこの総会決議に反対をしましたが、委員御指摘のとおり、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、関連する安保理決議に違反するものであります。北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。
今後とも、日米、日米韓で緊密に連携し、国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進めることが重要と考えております。
○国務大臣(林芳正君) ただいま官房長官から御答弁があったとおりでございます。
今日、様々なやり取りの中で日朝平壌宣言についても議論が行われたわけでございまして、そうした議論も踏まえながら、一日も早いこの全ての拉致被害者の皆様の御帰国、このために全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○武田良介君 今答弁いただきましたけれども、私、日朝平壌宣言に基づいてこれやっぱり解決していくことが非常に大事だというふうに思うんですね。
今、林外務大臣、日朝平壌宣言触れていただきましたけれども、改めて、松野担当大臣、日朝平壌宣言に基づいて解決していく、このことが私は大事だというふうに思っておりますけれども、大臣の見解を伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(松野博一君) 日朝平壌宣言に対しますことは、先ほど外務大臣から答弁があったとおりでございます。
○武田良介君 国際世論で北朝鮮を包囲して、核、拉致、ミサイル、拉致や核、ミサイルの包括的な解決を図っていくことが非常に重要だというふうにやっぱり思うんです。そのためにも、北朝鮮の問題の解決にとって重要なのがやっぱり日朝平壌宣言だということを重ねて申し上げさせていただきたいというふうに思います。
拉致問題は、まさに一刻の猶予もない喫緊の課題になっているということであります。それだけに、今、この国際世論も含めて、北朝鮮を包囲する、日朝平壌宣言に基づいて解決をしていく、そのことが必要だというふうに強調し、全力を挙げていく決意も申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。