国会質問

質問日:2022年 3月 11日  第208通常国会  災害対策特別委員会

災害対策特別委員会で、「大雪が積もっていること自体が災害」と迫る

3月11日、災害対策特別委員会で、武田議員は今冬の豪雪被害に関連して質問しました。現に3,4メートルもの雪が積もっていること、それ自体が災害だと認めるべきことや、21年度補正予算で創設された豪雪地帯安全確保緊急対策交付金の柔軟な活用を求めました(スタッフ)。

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災から十一年を迎えました。私からも、改めて犠牲になられた皆さんに哀悼の意を表したいというふうに思いますし、被災された全ての皆さんに心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 日本共産党は、被災者の暮らしとなりわいの再建、被災地の復興のために、国民の皆さんとともに力を尽くしていく決意で頑張りたいというふうに思っております。
 それでは、今日は豪雪について質問をさせていただきたいというふうに思っています。
 まず、二之湯大臣の認識をお伺いしたいというふうに思っております。
 今年も大変な大雪となりました。所によって三メートル、四メートルという大変な大雪というふうになっております。そういう雪が積もっていること自身が災害であるというふうに捉えて、それに対して対策を立てて、それで初めて本当の対策ができるのではないかというふうに私考えておりますけれども、豪雪そのものが災害である、このことについての大臣の認識をまずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(二之湯智君) 今年の冬の大雪でも各地で被害が出ております。豪雪により、雪崩や暴風雪のほか、交通障害やビニールハウスの被害など相当な被害を生じる場合がございまして、こうした場合は災害であるとの認識に立って対応していかなければならないと考えております。
 この冬も、昨年の十二月二十四日、そして今年の二月八日に関係省庁災害警戒会議を開催し、政府一丸となって対応してきたところでございます。
○武田良介君 少しよく分からなかったんですけど、そういうビニールハウスとかの被害が出たら災害ということではなくて、その豪雪そのものが災害と、三メートル、四メートルという雪が降る、そういう雪が積もっていること自身が災害であると、そういう捉え方ではないということですか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 雪でございますが、豪雪によって交通障害やビニールハウスの被害など相当の被害を生じる場合があって、こうした場合は災害であるとの認識に立って対応しているところでございます。大きな雪が降る場合、そうした災害に備えまして、内閣府におきましては関係省庁災害警戒会議を開催し、対応に当たっているところでございます。
○武田良介君 いや、よく分かりません。
 だから、豪雪そのものが災害であるということではないんですか。これまでそういうふうに政府答弁されているんじゃないですか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 災害対策基本法でございますが、少し正確に申し上げますと、私ども、災害対策基本法で取り上げております災害は、暴風、竜巻、省略いたしまして、豪雪、その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいうと、このように定義をされているところでございます。
○武田良介君 先日の予算委員会でも、立憲民主党の森ゆうこ参議院議員が雪の問題、質問されておりました。それに対して岸田総理も、雪害に対しましては、今答弁で言われた関係省庁の警戒会議開催していると。その後に、災害という認識で本件につきましても対応していくということをおっしゃっております。
 二千、失礼しました、一九八一年、一九八一年、参議院の災害対策特別委員会で、当時、我が党の近藤忠孝議員が質疑で豪雪問題を取り上げているんです。近藤議員が聞いたんです。三メートル、五メーターという雪があること自身が災害であると見、それに対する対策を立ててこそ初めて本当の対策ができると考えると。これに対して大臣の答弁。当時の原健三郎国土庁長官ですけれども、その被害の結果だけでなく、その豪雪の中に住んでおる、現に住んでおられるわけですからね、それは大変なことで、それ自体が災害であるというふうに答弁をされているわけです。違うんですか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 今年の冬にも大雪が降りました。そうした大雪が降ることによっていろいろな事象が引き起こされるおそれがございます。そうした事象にしっかりと対応していかなければいけないと考えておりまして、そのために災害の警戒会議を開催し、対応に当たったところでございます。大雪によって惹起されるおそれがある災害に対応する警戒会議でございます。
○武田良介君 おそれがあるから災害対応をしなきゃいけないんです。もう雪があるということ自身を災害と見て対応するということが何より必要だということなんですね。
 二〇一一年、昨年ですね、五月に災害救助法の事務取扱要領が変更になりました。今年の豪雪はその下で迎えたわけであります。
 住宅の周りの除雪について質問でございます。
 災害救助法における障害物の除去、つまり雪ということになるとその除雪ですね。事務取扱要領では、資料、今日一枚お配りいたしましたけれども、災害救助法による除雪が必要な住家についてというのが、昨年この絵が付け加わったわけです。この十一ケースが、対象となる屋根雪の除雪例というふうになっている。
 これ、率直に言って、私、新潟県の十日町市の方に伺いました。率直に言って評判が悪いと思うんです。例えばこういう声なんですね。こうなる前に雪下ろしをしなきゃいけないんだと、こうなってしまったらもう雪下ろしのために屋根に上がれないというふうに言っているんですね。これ大変、私、説得力のある指摘だというふうに思うんですけれども、このケーススタディーは実態に合っていないように思いますけれども、いかがですか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のケーススタディーにつきましては、あくまで救助実施主体である都道府県等の判断の参考にしていただくために屋根雪の除雪の対象となる事例を示したものであります。これらのケーススタディーに限らず、多数の者の生命又は身体に危害を受けるおそれが生じる場合であって、自らの資力等によっては除雪を行うことができない方に対しましては、障害物の除去として住家の除雪を行うことは可能であり、こうした趣旨を全国説明会などの機会を捉えて丁寧に説明を行ってまいりたいと存じます。
○武田良介君 この資料にも限定されるものではないと書いてあるのはもちろん知っています。ただ、やはり絵にすることで、現場の市の職員さんたちにしてみると、この例に倣うべき例というふうに見えるのは私当然のことだというふうに思うんです。せめて、これ、絵はやめたらどうですか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 委員配付資料のこの絵なんですけれども、例示であることというのをはっきりさせるために右側に米印を付けて注書きをいたしましたり、あるいは、去年の六月には除雪とむき出しで書いた、裸で書いてあったんですけれども、除雪例ということで例示であることを明らかにしながら対応に当たっていただいているところでございます。丁寧に説明を行ってまいりたいと存じます。
○武田良介君 私、昨年の六月二日のこの委員会で、まさにこのケーススタディーの図を示して、この図に当てはまらなければ障害物の除去として対象とならないような固定化した理解になったらいけないと、そのときも指摘をいたしました。当時の青柳統括官が、今も言われているけれども、スタディーケースに限らないんだよと、当然、当てはまらないから該当しないということで固定化した理解を生まないような助言をやっていきたいというふうに答弁をされています。
 具体的にどのような助言を行っておられるんでしょうか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 昨年の六月の委員会での答弁以降、内閣府におきましては、ケーススタディーでお示しをしております屋根雪の除雪は例示であるといったことを改めて事務取扱要領や説明資料にも記載をし、明確化を図りますとともに、その周知を図っているところであります。
 災害救助法による屋根雪の除雪は、日常生活に著しい支障を及ぼしているもの、さらに生命、身体に危害が及ぶおそれがあるものを対象として、具体的には、屋根雪の雪下ろしや、下ろした雪の排雪、玄関など出口へのアプローチの確保などを対象としているものでございます。除雪の必要がある場合には、個別の世帯ごとに具体的状況に照らして個別に判断する必要があると考えております。
○武田良介君 十日町の担当者の方にお伺いをしました。例えば、ガスボンベが埋まる、あっ、皆さんあれですかね、住宅の周りにもう雪が全部覆われるんです、住宅の周りが。ですので、ガスボンベが埋まったりボイラーの排気口が埋まると二次被害のおそれがあるんだと。だから、そこまで行けるように除雪しなきゃいけないということですね。また、出窓などが雪の沈降、沈降って、一階からずっと積み上がったものが屋根の上まで一つながりの雪になって、暖まり落ちるときに出窓なんかを壊しちゃうと。一階の窓なんかは板で覆って割れないようにしているんだけれども、二階にはそういうことをやっていないところも結構多くて、そういうところで損壊すると、雪が家の中にも入ったりしてしみ込んでしまったり、雨漏りみたいになったりですね、そういう被害も出ると。こういう屋根とその周辺のこのつながりなんかも含めて、雨どい、屋根の破損、そういったものがつながることがたくさんあるんだと、十日町の担当者の方、おっしゃっておられました。
 それぞれのケースということだけれども、この間レク受けたときには、こういったもの対象になり得るよという助言もしていると。もちろん一個一個見ながらだと思いますよ、思うけれども、こういうものも対象になり得るということでよろしいですね。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 救助法の対象となり得る具体的な例でございますが、例えば、ケーススタディーに示しておりますようなもののほか、住宅にきしみがあったり、戸口の開閉に支障が出ているなど、雪下ろしをしなければならない状態であれば対象になり得ると考えております。また、屋根雪だけでなく、住宅の側面の雪につきましても、例えば、窓ガラスに大量の雪が密着しておりガラスが割れるおそれが生じていたり、屋根から下ろした雪が既に側面に大量にありこれ以上屋根雪を下ろす場所が確保できない状態にある場合や、プロパンガスや給湯設備の点検、交換が必要な場所など、住民が生命、身体に危害が及ぶおそれがあるのであれば対象になり得ると考えております。
 これらのほか、除雪の必要がある場合には、個別の世帯ごとに具体的な状況に照らして個別に判断する必要があるものと考えておりますが、内閣府といたしましては、救助法の被災者の救助が適切に実施されますよう、引き続き都道府県等と意思疎通を図りながら適切に対応してまいりたいと存じます。
○武田良介君 是非、固定化した理解を生まないように、一方でスタディーケースのような絵もある、それ以外のものは口頭でよく説明しているということだけではなくて、やっぱりしっかりと、固定化した理解を生まないように、今年もこの事務取扱要領、改定する予定だというふうにも伺っておりますので、そうした理解にならないように改定を進めていただくべきであろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 十日町市では、要援護世帯に対して除排雪の援助事業というのを行っているというふうに伺いました。これ福祉事業の一環だそうですけれども、高齢者世帯だとか、あるいは身体障害を持った世帯、母子世帯等々ですね、そういった世帯に対して、いわゆる雪下ろし券というのを発行をしてそれを配布すると。で、雪下ろしの際に事業者なんかに依頼をして、それでやってもらえるというもので、援助額が年間三万五千円になるということでありました。これは特別交付税で八割見てもらえるというんですね。しかし、例年の二割、三割増しぐらいで雪が降ると、大体もうこの支援策では足りなくなってくるという話だったんです。これが足りなくなってきてその後も大雪の予報が出れば、予防的に下ろすことを今度は考えるというわけですね。
 この担当者の方言われておりました。個々の家の構造や築年数は違うので、家が悲鳴を上げたり、要はきしみ音が聞こえてきたり、戸が閉まらなくなるという状況は住人が一番よく分かるんだと。また、作業員がいつ来てくれるか分からない中で、十日間という救助法の適用期間内に作業を終了しなければいけないということから、早めに人手を確保しなければならないんだと。結果として早めに雪下ろしをすることもあると、特に次の降雪が予想されるときはなおさら早めに対応することを意識するというふうにおっしゃっておりました。
 やっぱり、この市の事業として行っている要援護世帯の除排雪援助事業、こういうものは通常程度の降雪に対する制度設計だということですので、一定程度超えたら救助法の世界で今度は取り組む必要があるというふうに私思うんですね、やっぱり。しかし、結果として早めにこれを下ろすことがあるので、現場ではそういうケースがあるので、災害と捉えて障害物の除去を行うこと、現場でこれがためらう状況が生まれてはいけない、それは望ましくないというふうに思うんです。
 これ、ためらわずに障害物の除去が行える必要があるというふうに思うんですけれども、大臣の御見解を伺いたいというふうに思います。
○政府参考人(榊真一君) お答え申し上げます。
 ただいまお話のありましたような、住宅にきしみがあったり、戸口の開閉に支障が生じているような、そういった状況にあって、雪下ろしが必要な場合であれば、状態であれば、この対象になるというふうに考えております。
 大雪の場合には、平年に比べて積雪量が多く、又は短期間に集中的な降雪があり、放置すれば住家の倒壊等の危険性が増大するなど、多くの住民の生命や身体に危害を受けるおそれが生じた場合には、都道府県知事の判断により災害救助法の適用が行われるものであります。
 内閣府におきましては、降雪のあった各都道府県に対し、災害により多数の方が生命、身体に危害を受け、又は受けるおそれがある場合には、ちゅうちょすることなく災害救助法の適用を行うよう、随時連絡を取り合い、助言を行っているところでございます。
 引き続きしっかり対応してまいります。
○武田良介君 現に救助を必要としている被災者に対して確実に行うのが災害救助法による救助だというふうに思います。身体的にハンディがあるとか、経済的に雪下ろしができないとか、その他様々理由あるかと思いますけれども、そこに確実な支援を行う、救助を行うというのが救助法の精神だというふうに思います。豪雪そのものが災害だということを重ねて強調させていただきたいというふうに思います。
 残り僅かしか時間ありませんけれども、豪雪地帯安全確保緊急対策交付金、これについて聞かせていただきたいと思います。
 これ、新しくできまして、どんな事業か簡潔に紹介させていただきたいと思いますが、積雪が甚だしい地域で、人口減少や高齢化、あるいは雪下ろし等の事故増加、こういったことを背景に、自立的で安全な地域を実現するための将来構想を地域ぐるみで設定するんだと、こういう説明になっています。
 その方針を策定するとともに、並行して、例えば次のような事業をやると。共助組織の立ち上げ、除排雪体制の設備、あるいは高齢者世帯への援助、人材育成、克雪住宅化、冬期集住の促進、冬の期間だけ要援護世帯の皆さんがそこにお住まいになるような場所ですね、そういったこと、あるいは除排雪の新しい技術の導入等々を試行的に取り組む事業を支援するということなんですが、今年の冬から使えるということだったんですけれども、今冬の実績はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(吉田幸三君) お答え申し上げます。
 令和三年度補正予算において新たに創設いたしました豪雪地帯安全確保緊急対策交付金につきまして、現時点では、岩手県北上市、それから福井県大野市において事業を開始しておるところでございます。北上市では、民間事業者と地域住民が協力、連携して行う除排雪活動の取組、それから大野市では、高齢者世帯等の雪下ろしへの助成と並行して、担い手の確保それから充実を図る取組について、それぞれ本交付金を活用していただいているところです。
 現時点、このほか二十余りの自治体から、除排雪の装備、それから資機材の購入や安全対策講習会の実施等の取組に対する交付金の活用について、現在相談を受けているところでございます。
 今後も、多くの自治体に活用していただけますよう、本交付金の周知に努めてまいる所存でございます。
○武田良介君 豪雪地域では、本当に担い手不足というのが根本的な問題になっていると思うんですね。今日、住宅中心にお話ししましたけれども、道路も含めて、本当に根本的な問題になっていると思います。そういった地域に活用いただけるように、この交付金を柔軟に活用していただけるようにやっていくことが非常に大事だと思っておりますけれども、最後にこの点について、大臣、御見解をお願いします。
○国務大臣(二之湯智君) 今委員からいろいろと御意見承りました。
 特に豪雪地帯は高齢化が著しい地域が多うございます。なかなか自助だとか公助だけではうまくいかないと、いや、共助だけではうまくいかない、あるいは公助も必要だと、こういうことでございます。
 だから、地元の自治体が県とよく相談して、こういう制度の活用をですね、の制度を活用していただきまして、そういう豪雪対策をしていただきたいと、このように思っております。
○武田良介君 終わります。

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