議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
先週に引き続いてリニアのトンネル事故について質問させていただかなければならなくなってしまいました。
三月の八日に再び長野県の伊那山地トンネル坂島工区、ここで事故が発生をしてしまいました。資料の一にも地元紙であります信濃毎日新聞の一面を付けさせていただきましたけれども、三月八日、四回目の事故ですね。以前にも起こった同じ坂島工区です。三月八日というのは、まさにこの国土交通委員会が開かれたその日であります。私がまさに、短期間のうちに三度もリニアのトンネル工事で事故が起こってしまったと、なぜ続いているのか調査をすべきだということで質問をしたその日、四度目の事故が起こってしまったということであります。
先週の質疑で大臣は、事故発生時の原因究明や再発防止についてはJR東海において行われるべきという答弁でした。あるいは、安全かつ確実な施工の実施の指示、適切な対応、これをやっていくんだということを答弁されましたけれども、四回目の事故が起こっているんです。こういう結果でいいんでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今月八日、長野県豊丘村のリニア中央新幹線伊那山地トンネル坂島工区において、トンネル坑内でコンクリートを吹き付ける作業を行っていたところ、配管内でコンクリートが詰まり、詰まったコンクリートを取り出す作業を行ったところ配管の一部が外れ、その部材と飛び散ったコンクリートが作業員二名に当たり、打撲等の軽傷を負う事故が発生しました。
リニア中央新幹線の山岳トンネル工事では昨年来事故が続いていますが、今回発生した事故について、昨年十一月の事故と同じ長野県伊那山地トンネル坂島工区で発生したこと、それから長野県の要請を受けトンネル掘削を一時中断して安全管理の実施状況を再確認し、掘削を再開したその当日に発生したことを踏まえると遺憾に思います。
JR東海によれば、今回の事故はこれまでのような切り羽付近で発生したものとは異なるとのことですが、国土交通省としましては、先ほど述べた観点から、事故発生後にJR東海に対して原因究明と再発防止を指示しました。また、十四日には鉄道局がリニア中央新幹線を担当する代表取締役副社長を呼び、本件事故の状況を確認するとともに、改めて事故原因の究明や再発防止策の検討等を指示したとの報告を受けています。
国土交通省としましては、JR東海において原因究明がしっかりと行われ、その結果を踏まえた再発防止策が着実に実施されることにより山岳トンネルでの事故が繰り返されないよう適切に対応してまいります。
○武田良介君 JR東海呼んで対応したということをおっしゃられるわけだけれども、やはり、でも最後はやっぱりJR東海において原因究明と再発防止がやられるようにというふうに御答弁をされました。これまでもそこは同じなわけですよね。で、工事が繰り返されてしまっている。
その対応では不十分だということではないかと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この事故の原因究明及び対策は、第一義的にはやっぱり事故を、工事を担当している施工者においてまずなされるべき、そして、そのことを受けまして、国土交通省としましてもしっかり対応していきたいと、このように思っております。
○武田良介君 先ほど大臣も答弁で触れられましたけれども、長野県は要請書というのをJR東海に対して送っているわけですよね。
ちょっと紹介しますけれども、愛知県の春日井での事故を受けて、現場において三月八日に安全管理の周知を行い、作業安全意識を高めたにもかかわらず、その日に発生した労働災害だとこの要請書で言っています。連続して発生していることが極めて遺憾だというふうに言っています。先ほどは同じところだったから遺憾だとおっしゃったけれども、連続して起こっているということを遺憾だというふうに言っております。
もう一つ指摘をしておきたいと思うんですが、JR東海は、今回の四回目の事故については自らは公表していないんです。長野県にお聞きをいたしました。すると、事故発生は三月八日の午後二時半ぐらいだったそうであります。事故の発生後、JR東海は、長野県に対しては連絡をしました。ただ、公表はしていない。だからメディア等は知らなかったわけですね。
その翌日に、三月九日になって、長野県がJR東海に対し、工事を中断してくれと、原因究明をしてくれと、新たな対策取ってくれと、こういったことを要請した。その要請したことを記者会見で発表する、だから、当然この工事についても事故があったんだと、四回目の事故があったんだということを一緒に言わなきゃいけない、そこで初めて公に知られることとなったということです。だから、資料の一に付けたように、事故発生は八日だけれども、その翌日九日じゃなくて十日の一面記事なんですね。
事故が起こったことを公表しない、私、このJR東海の態度、余りにも不誠実じゃないかと。地元の方は事故起こったら大変心配されますから、繰り返されているだけに。余りに不誠実じゃないかというふうに思いますし、これ公表すべきだと、JR東海自身がどういう事故だったのか明らかにすべきだというふうに思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 事故の公表等の対応につきましては、それぞれの事故の状況等に応じて事業主体により判断されるものであると考えております。
今回の事故につきまして、JR東海は、これまでのような切り羽付近で発生する事故ではなく、また、不休の労災、負傷した人が翌日以降も、以降、一日も休業しなかったという意味ですが、不休の労災であるとの理由から公表は行わなかったと聞いております。
一方、今回の事故は、先ほども申し上げたとおり、昨年十一月の事故と同じ工区で発生したこと、それから、長野県の要請を受け、トンネル掘削を一時中断して安全管理の実施状況を再確認し、掘削を再開した当日に発生したことを踏まえ、鉄道局からJR東海に対して事故原因の究明や再発防止策の検討を指示しましたが、その際には、あわせて、事故発生時の公表の在り方についても検討するよう指示を行っております。
○武田良介君 公表しなかった理由は不休の労災だと、つまり程度が軽かったからいいんだということなんですか。それでいいのかということを私は問うております。
もう余りにもその事業者においてということを繰り返されるので、前回と同じ質問ですけれども、短期間に四回もリニアのトンネル工事で事故が起こっているんです。何で続けて起こるのか、これはやっぱり国交省が調査すべきじゃないですか。実際にもう亡くなっている方いるんです。前回も言ったけれども、仮に工期が、二〇二七年の開業ということを変えませんから、慌てているということであれば、次また事故起こるかもしれない。その場合、どう責任を取っていただけるのかということになると思うんです。
せめて、何で繰り返されているのか調査すべきじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。調査していただきたい。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 現在、この事故につきましても、まず、当事者である、施工責任者である事業者においてこの原因究明等行っていきたいと思っておりますし、それらを踏まえて国土交通省としてしかるべく対応したいと思っております。
○武田良介君 事業者が自ら調査したというだけでは繰り返されているから、だから国交省が調査をするべきじゃないかということを言っているわけであります。もう次、本当に事故が起こるなんてことがあったら大変です。絶対にそんなことを起こしてはならない、調査すべきだということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。
時間がなくなってしまっておりますが、新型コロナの学生生活に関わって若干質問させていただきたいというふうに思っております。
コロナの感染拡大で、大学生がアルバイトもできずに収入減少している、そういう実態は広く指摘をされてきました。大本には高過ぎる大学の学費、授業料ということがあるというふうに思いますので、高等教育の漸進的無償化ということを言っているわけですから、日本も、これを進めなきゃいけないということは、これは指摘をさせていただきたいと思いますが、今日は家賃について質問をさせていただきたいということであります。
信州大学の食料支援活動にも取り組んでおります日本民主青年同盟の学生たちから声を聞かせていただきました。
例えば、実習に参加するために事前に人との接触を避けなきゃいけないからアルバイトができない、こういう事例もあるわけですね。あるいは、オンラインで授業が行われる、だから、アパートは契約したけれども、住んでいないのに家賃は払っている、こういう状況も発生するわけですね。コロナが学生生活を圧迫していると思います。
コロナだけではなくて、そもそも家賃負担が重いという声はあるわけです。進学先を限定せざるを得ない。入学する際に、どの大学に入るか、家賃負担が重いから自宅から通えるところの大学に限らざるを得ないという声もあるわけです。実際に山梨から長野まで通っているという子がいるんですね。こういうことも起こる。
元々、生活困窮されている方だとか、あるいはこういった若者だとか、そういった方に対して冷たい住宅政策が続いてきたからではないか、自己責任で住宅を確保しなければいけないという、いわゆる新自由主義的な政治があったのではないかというふうに私は思えてならないんですけれども、重い家賃負担が学生の学びの妨げになってはならないと、これは基本的な認識ではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 住まいは生活の基盤であり、社会全体として学生も含めた国民の居住の安定確保を図ることは大変重要であると考えております。
このため、例えば独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度においては、自宅外通学の場合の方が自宅通学の場合よりも奨学金の給付額が大きいなど、学生の住居費負担を考慮した支援が行われていると承知しております。
また、国土交通省においても、公営住宅等の供給やセーフティーネット登録住宅の確保等を通じ、学生を含む住宅困窮者の住居費負担軽減を推進しております。
国土交通省としては、引き続き、関係省庁や地方公共団体等と連携して、学生を含む国民の居住の安定確保に取り組んでまいります。
○武田良介君 全国大学生協連合会というところが発表しております第五十七回の学生生活実態調査というのも資料に付けております。
下宿生の一か月の生活費ですね、これ平均、大体十二万円ちょっとという収入に対して五万円強が住居費というふうになっております。食費はその住居費の大体半分以下なんですね。住居費ですから固定費になりますので、そこを削るというわけにはやっぱりいかない。生活が大変になれば当然食費を削る、自分で削れるところを削っていくと、そういうふうにならざるを得ないということなわけですね。
今大臣の答弁にもありましたけど、セーフティーネット登録住宅の話がありました。これをお伺いしますけれども、全国で何戸あるのか、長野県は何戸あるのか、あるいはその中で、家賃の低廉化が受けられる、こういうセーフティーネット登録は全国であるいは長野県で何戸ずつあるのか、御説明いただきたい。
○政府参考人(淡野博久君) お答え申し上げます。
セーフティーネット登録住宅の戸数は、令和四年二月末時点におきまして、全国で七十一万六百五十二戸となっており、このうち長野県における戸数は一万三千三百四十戸となってございます。
そして、このセーフティーネット登録住宅のうち家賃低廉化措置が受けられる専用住宅の戸数でございますけれども、同じく令和四年二月末時点で全国で四千七百十二戸となっており、長野県における登録はございません。
○武田良介君 長野県ではないということでありましたから、セーフティーネット住宅、これは生活困窮されている、住宅の確保が必要だという方の入居を断らないということですよね。そこに家賃補助、あっ、家賃の低廉化ということを加えたということだけれども、実際にはまだほとんどない、全国で見てもないし長野県でもゼロということであります。
例えば、公営住宅、公社住宅の学生の入居、これはセーフティーネットの基盤だと思いますけれども、地方に行くと空き家も多い、こういうところに学生に入居してもらうことも重要ではないかというふうに思っております。入居の条件は各自治体が条例で定めることというふうに思いますけれども、学生の入居も行われているところもあるというふうに承知をしております。
国交省として、こういう取組を通知で知らせていくだとか、そういったことも必要になってくるんじゃないかというふうに思いますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) お尋ねの公営住宅につきましては、住宅に困窮する低額所得者等の居住の安定を確保するために地方公共団体が供給しており、本来の施策対象者である住宅困窮者の入居上支障がない範囲で、目的外使用として学生向けに提供している事例があると承知しております。また、公営住宅やセーフティーネット登録住宅においても学生向けに提供している事例があり、例えば山形市では空き物件を改修してセーフティーネット登録住宅として登録し、学生向けのシェアハウスとして提供している事例があります。
国土交通省としましては、これまでも、このような事例について地方公共団体向けの会議や研修等において紹介しているところであり、必要な対応が講じられるよう、引き続き周知に努めてまいりたいと思います。
○武田良介君 時間が限られておりまして十分質疑できませんでしたけれども、是非低廉な住宅そのものを確保するということが大事だというふうに思うし、学生に対する、とりわけ今困窮しています家賃の補助、こういったものも検討すべきだということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。