国会質問

質問日:2022年 4月 7日  第208通常国会  国土交通委員会

【参考人質疑】国土交通委員会で、自動車損害賠償保障法案について参考人質疑

4月7日、国土交通委員会で自動車損害賠償保障法案について、参考人質疑を行いました(スタッフ)。

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介でございます。
 今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず、私が今回の法案を見て、最大の問題意識は、もう既にお話が出ておりますけれども、あの約六千億円の問題。まずちゃんと繰戻しをすることが前提だろうと、それが筋だろうということで、参考人の皆さんも、また検討会でもその方向というのは一致しているのではないだろうかというふうに思っております。やっぱり、そのお話もありましたけれども、繰越金は税金ではなくて運用益なんだと、保険料を原資とした運用益なんだという話、そして、そのロードマップが示されない状況で賦課金の導入を明確にすることは危険だと、こういうのが、意見があったということも議事概要でも私も拝見をさせていただきました。
 そして、ちょっと御質問させていただきたいのは、ちょっと若干重なる部分があるんですが、前回の法改正の後の新しいスキームですね、福田参考人から今お話がありました。これがそもそも不可能だったんじゃないのかと、当時からいって見通しが甘かったんじゃないかというふうに考えられないかということなんですね。
 お話があったように、その運用に使う積立金が不足したということですけれども、八千七百億程度ですか、運用利率二%で回していくと。しかし、それ完済されなければ八千七百億というふうにならないわけでありまして、実際には二千六百億程度だったというふうに承知をしておるんですけれども、そうなってくると、なかなかこれはやはり無理があったのではないか、あるいはその利率の話がありました、これが下がっていくという傾向が当時からあったとすればどうなのか、こういった点について、藤田参考人、それから福田参考人、もし御意見あれば小沢参考人にも、なければ結構ですけれども、よろしくお願いいたします。
○参考人(藤田友敬君) なかなか申し上げにくいんですけれども、平成十三年のときのスキームの立て方それ自体がやや見通しが甘かったんじゃないか、今、後知恵的に言うと、金利というのはそんなに頼りにならないということを考慮すべきだったと言えなくないのかもしれません。しかし、今の異常な金利がこんなに長期に続くということをその時点で予期できたかというと、私だってできなかったと思いますので、その点を強く非難することまでは私はできません。
 ただ、振り返ってみると、しかし、実現不可能なスキームをつくってしまった、維持不可能な仕組みをつくってしまったというのは確かですので、それを適切な形でできるだけ早く改めるべきだというふうに考えておりまして、過去したことそのものへの批判、非難というよりは、それを踏まえると、どう反省し、どうするかというふうに頭を切り替えるべきじゃないかというふうには思っております。
 更に言うと、一定の積立金というようなもので、取り崩すという形でずっとやるということを最初から考えていたわけじゃないんですね。やっぱり運用益というふうなインフローがあるという仕組みだったので、インフローが入ってこなくなったときには別の形のインフローを何らかの形で考えなければいけないということを考えるとすると、当初考えていたことと賦課金というのは、異質なように思えるかもしれませんが、基本的な発想としてそこまで異質なのかということは、実は疑ってみることもできるのかもしれないというふうにも思っております。
 いずれにしましても、過去、確かに見通しとは違ったことになったというのは事実でございますけれども、そのことそれ自体を強く非難するというよりは、それはそれとして、反省をするところは反省した上で、今後はそんな見直しをしなくて済むような仕組みというのをいち早くつくることに専念すべきじゃないかというふうに思っております。
 以上でございます。
○参考人(福田弥夫君) 御質問ありがとうございます。
 今、藤田参考人がおっしゃったのとほぼ同じなんですけれども、私が当時再保険廃止の際の国土交通省の委員の一人でしたけれども、私、これで大丈夫だろうなと実は私も思いました。ただ、そのときの判断が誤っていたというと、こうやって振り返ってみると、その間の異常な低金利が発生し、あるいは繰戻しがこんなに長期間にわたって行われないなどということは予想もしていなかったですね。
 ですから、今考えるとそういう指摘は成り立つかもしれませんが、じゃ、当時のあの状況の中で、こういうスキームでやっていこうという判断をしたことにやはりいささかの間違いもなかったのではないかと、ただし附帯決議をきちんと、バッファーといいますかね、それとして置いてきたと、それをいよいよ見直して被害者救済事業を賦課金導入によって維持安定していこうというときが今やってきたというふうに私は評価しております。
 以上でございます。
○参考人(小沢樹里君) 私の方からは、過去のことはもう本当に分からないと思います。ですが、今見直しのときが来ていますので、先生方にお願いいたしたいのは、やはり一番は、これからのこの救済対策に対して、これまでのことに対して、がないように、十分に対応できるような対応策というのを検討して運用ができるような仕組みを検討していただければなと、お願いでございます。
 以上でございます。
○武田良介君 ありがとうございました。
 次に、小沢参考人から、冒頭のお話の中に、その被害者支援とそれから交通事故の防止が車の両輪として重要であるというお話がありました。私も本当にそのとおりだというふうに思っておりまして、その事故防止ということ、そもそも発生させないということがやはり大事でありますので、考えております。
 私も、長野県の出身なんですけれども、軽井沢のスキーバスの事故もあって、ああいったこと絶対繰り返してはならないと。ドライバーさんの、まさに今その休息に関わっても議論が行われております、改善基準告示の見直しということで。バスだとかタクシー、トラック、それぞれあるわけですけれども、そういったドライバーさんの休息ちゃんと取って交通事故を起こさないように、もちろん労働者の労働条件の問題ですから、しっかりと健康を害さないようにやっていただく必要があるというふうに思っております。
 先ほどのお話の中では、飲酒の探知をする機械の導入であるとか、あるいは高齢者の方が免許返納するというときにそれに代わる交通手段という趣旨だったと思いますけれども、等々お話があったというふうに思います。
 私は、その労働者の、バスの、あるいはトラックの、タクシーの運転手さんの休息ということも含めて重要だというふうに思っておりますが、そういった点も含めて、交通事故防止ということで小沢参考人の考えを、あればもう少し聞かせていただければというふうに思います。
○参考人(小沢樹里君) ありがとうございます。
 先ほども少し重なる点がございましたが、本当に多岐において交通事故になり得る要因というのは多いと思っております。
 今先生がおっしゃった軽井沢バス事故についても、運転手が死亡というところで、運転手に対してしっかりと対応ができないという状況が続くというような事故というのは、運行ドライバーだと本当にあるのかなと思っています。
 特に、タクシードライバーが最近脳疾患などでいきなり意識を失ってしまうというような事故も発生しておりますし、病気に対して事前に対応できるものと、もう急速に、いきなり起こってしまう事故というものの両方があると思うんですけど、その健康診断をしっかり設ける、今日の、一日の、朝の健康診断であったりとか、運行管理者責任者がしっかりと業務を果たすという部分がしっかりとできているかというと、大きい会社さんですとそれが十分にできているのかなと思いますが、中小企業となりますと、自分自身がそれの管理をして、その自分で管理をして運転をしていくという方もいらっしゃいますので、そういうような中小、小さな会社の方のケアというものや、運行管理というものがしっかりと自分自身でできているか、できていないかというのが、体調は見極めが実は非常に難しいんではないかなと思っております。
 特に、アルコールとかでしたらばしっかりと数値化ができますけれど、疲れというものに関しては目に見えるものではございませんから、しっかりとこの運行記録というものの中で、十分に休息が取られているのか又は安全の確保ができているのか、あとは、さらには、車両整備についてもしっかりと検討されていくような社会になっていかなくてはいけないのかなと思っております。
 運転手がしっかりと、病気であったりとか自分の管理という中で、していくという中で、今後超高齢化社会というのが来ますから、その中で健康というものを改めて見直す時期でもございますし、免許に関しても、今年度、高齢者に対しての対策が変わりますけれど、そういうような見直しの時期に対して、しっかりと広報をしていくということはこの自動車事故防止において重要な課題かなと思っております。
 こういうような課題について、結構ですね、国土交通省さんの方ではユーチューブであったりとか発信をされているんですね。だけれど、じゃ、それを見るかといったら、なかなか見る方がいらっしゃらない。であれば、しっかり、今若者向けであったりとかフェイスブックであったりとか、様々な媒体を先ほど藤田先生もおっしゃっていましたけれど、本当に多岐にわたる年齢層にしっかりと、それぞれの年齢に届くような形は何かということを着目して伝えていくということが重要かなと思っております。
 以上でございます。
○武田良介君 ありがとうございました。車両整備等々、多岐にわたってお話をいただいて、本当に事故防止について重要性というのが伝わってまいりました。
 最後に、重ねて小沢参考人に伺いたいと思いますけれども、今日のお話を聞いても、やはりこの賦課金の問題考える上でも、この被害者支援の重要性、あるいはそれを継続的に行っていくことの重要性、やっぱりその理解が大事なんだろうというふうに、改めて、というふうに思っているところであります。
 小沢参考人は、各地で行政機関への働きかけだとか、あるいは講演活動だとかということもやっているし、そのほかに被害者に対する相談、アドバイスということもやられているということでお話もありました。その中で感じていること、あるいは国に求めたいこと等あれば、最後に一言よろしくお願いいたします。
○参考人(小沢樹里君) ありがとうございます。
 本当に今一番大きな問題を抱えているのは、夜間の相談でございます。一番多い相談時間というのは夜間なんですね。多くの方が、しっかりと朝から晩まで働いてやっと相談ができる、又は昼休みのこの中途半端な時間に誰にも聞かれずに、もしかしたら涙をしながらこの命に対して相談をする、又は家族の私生活について相談するというのは非常に難しいです。ですから、プライバシーを確保された場所で相談するには、どうしても夜間が多いです。
 また、お子さんを亡くされた方で多いのは、もう一人の子供に聞かれたくないので、その子が寝てから相談でいいですかとなると、私がふだん相談対応をしている時間は、昼間よりもどちらかというと五時以降の方が多いんですね。これは、多分、各団体さん、遺族団体もそうですし、交渉団体さんも当事者団体さんも同じだと思います。
 その中で、この相談を受けるということに対して、もういつ電話が掛かってくるか分からないわけですね。それに対して、電話が掛かってきて取ってしまったら、二時間掛かるかもしれないし、その後のケアで弁護士さんに相談、その後は市役所に相談とかとなると、当日中には全部できないとなると翌日に持ち越して支援になったりもするんですけれど、その支援の過程を全部、今、夜間に関しては結構遺族団体や当事者団体が担っているというところが多いです。
 というのも、犯罪被害者支援センターなどが各市区町村には必ず一個設けられていますけれど、大体業務としては四時又は五時が多いです。このようなことを考えると、やはり夜間業務というのを週一日でもいいからつくっていただきたい、又は土日のどちらかでいいので相談時間を設けていただくというようなことが対策として必要かなと思います。
 よく最近連絡が多いのが、命のダイヤルというのがございます。この命のダイヤルに連絡が掛かってきて、命のダイヤルさんから関東交通犯罪遺族の会さんの電話番号を聞きましたと言われて連絡が来るんですね。夜中の十一時ぐらいからそのいのちの電話から掛かってきたものを受けます。そうすると、寝るのは大体一時か二時になります。
 そうすると、やはり子育てにも影響しますし、自分の体が、身がもたないという支援団体は多いと思いますので、団体への相談支援というのは、やはり同じ環境だから、同じ状況だからこそ受けているもので、なかなか、支援者だからこそ理解できる部分と経験している相談者だから理解できる部分、この両方がこの遺族団体や当事者団体にはありますから、そうすると、やはりこちら側のニーズというのは非常に多いんです。
 ところが今、本当に今、一般社団法人に昨年しましたが、このお給料が全く私はない状態で、全部ゼロ円の状態でやっている状態なんですね。なので、本当に家族に全て負担を掛けて、子育てであったりとか全てを担って、例えば子供も、一人で寝てねとか御飯ちょっと待ってねということは多々あるんですね。
 この団体への対策についても是非検討をしていただきたいですし、こういうような考える機会をいただいたので、この被害者の相談のニーズがこれだけあるんだということが何で支援団体にないのかといったら、やはり業務時間外が多いというところが問題点だと思っております。
 以上でございます。済みません、長くなりました。
○武田良介君 ありがとうございました。
 終わります。

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