国会質問

質問日:2022年 4月 6日  第208通常国会  決算委員会

決算委員会で、国交省統計問題、新潟市の原油流出問題、リニアの有害物質を含む残土問題を質問

4月6日、参議院決算委員会で武田良介議員は、国交省の建築工事費調査に関する統計の遅れの問題、新潟市で原油が流出している問題、リニアの自然由来の有害物質を含む残土問題について、国交省、総務省、環境省に質問しました(スタッフ)。

 

 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。よろしくお願いいたします。
 まず、統計問題について質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 国土交通省が行う建築工事費調査の調査票の配付が、当初予定されていた二〇二一年の一月から遅れて、現在に至るも配付できていないということが発覚した問題であります。
 国土交通省では、建設受注統計に関しての書換え、二重計上の問題も明らかになったばかりであって、問題が続いてしまっているという状況であります。
 まず、今回の建築工事費調査というのはどういうものかということですけれども、これは基幹統計調査である建築着工統計調査のうちの一つということでありました。建築物着工統計調査、そして住宅着工統計調査、そして今回の建築工事費調査、この三つから成っていると。で、さきの二つの調査で全国の建築物、住宅の着工状況について全数調査をし、今回の問題の建築工事費調査で完成時の工事実施床面積、工事実施額を調査をすると、工事費予定額との乖離を把握する調査なんだということでありました。まさに全国の建築物に関する基幹統計ということだというふうに思うんですね。
 そのデータを得るための調査票、毎月一定数これは配付するそうでありますけれども、それが二一年の一月から予定していたけれどもできていなかったということであります。なぜ配付が遅れてしまったのかということについて検討していきたいというふうに思うんですが、まず、御説明をお願いしたいと思います。国交省でしょうか、総務省でしょうか。
 今回の建築工事費調査、これまで行われてきた調査方法から新しい調査方法へ変更したと、そのスタート、最初が二〇二一年一月の調査票の配付だったということであります。どういうふうに調査方法を変更したのか、御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(高田陽介君) お答え申し上げます。
 建築工事費調査は、その前身である補正調査の精度向上及び都道府県における事務負担の軽減のため、令和二年、二〇二〇年に調査計画の見直しを実施いたしました。
 具体的には、調査対象となる建築物の選定方法について、これまで都道府県がそれぞれの都道府県の抽出率に従って抽出していたところ、国土交通省が建築物着工統計調査等の情報から抽出する方法に変更いたしました。
 これを踏まえまして、調査方法につきましても、これまで都道府県が竣工時に実際に掛かった費用等を実地調査により把握していたところ、国土交通省が民間事業者を活用した郵送、オンライン方式により調査する方法に変更したところでございます。

○武田良介君 今御説明ありましたけれども、つまり、これまで都道府県が、各都道府県の手元にある建築工事届ですね、これを基に対象を抽出して実地調査で調査票を作ってやってきたと。ただ、今度は国土交通省が行うことになったということなわけですね。
 国交省にこれは確認したいと思いますけれども、変更した調査を始めるまでの準備期間というのはどのくらいあったものなんでしょうか。

○政府参考人(高田陽介君) 建築工事費調査に係る変更は、平成、あっ、令和二年二月に総務大臣からの承認をいただいたところでございまして、その後、準備を行うこととなったところでございます。

○武田良介君 つまり、どれくらいあったということでしょうか。

○政府参考人(高田陽介君) 令和二年二月に総務大臣からの承認をいただいたということでございまして、新調査の開始までは約一年間であったということでございます。

○武田良介君 一年間ということなんですね。
 で、この一年間にどういう準備をしてきたのか、どれだけの準備が必要だったのか、これについて御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(高田陽介君) 建築工事費調査に係る変更につきましては、先ほど、令和二年に総務大臣からの承認をいただきましたが、その前、一月に統計委員会からの答申もいただいて、令和三年一月から新調査である建築工事費調査を行うこととなったものです。
 答申、そしてその後の承認以降、新調査の開始までの約一年間は、調査規則、省令の改正や都道府県への通知の発出等の制度施行の準備、あるいは新しい標本の抽出方法に基づくシステムの構築、オンライン回答システムの構築などの作業を行っておりました。

○武田良介君 省令の改正だとか都道府県への説明、あるいは抽出のプログラム、最終的な集計等々、必要な準備たくさんあったということだと思います。それは、新しい調査を国が新たに始めるわけですから、当然たくさんの仕事があったんだというふうに思うんです。
 国交省は、それに対して、調査計画は例えば変更できたのかとか、あるいは抽出方法のプログラムの作成できたのかとか、そういう作業を一つ一つ確認していく、ちゃんと準備できているのかどうか、調査票の配付遅れないのか、そういう確認するような作業というのはやってこられなかったんでしょうか。

○政府参考人(高田陽介君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたような諸準備を行いました後、私どもの方では、調査票の配付に向けまして、これ民間事業者に委託をするということを考えていたものでございますが、そうした調査票の配付までにつきまして、作業工程表のようなものを用いて作業の状況に関する組織的なマネジメントができていたものではなかったと承知しております。

○武田良介君 作業の工程を作ってやっていくということできていなかったと、マネジメントの問題があったということでありました。
 少なくとも業務が増えるということは、新しい調査するわけですから、明らかだったというふうに思うんです。聞けば、現場は二人でこの統計調査当たっていたということであります。人員体制を増やしておくべきだったと私は率直に思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

○副大臣(渡辺猛之君) 新たに実施する建築工事費調査については、国が直接事業者に報告を求めるといった調査方法の変更がございました。この際、国土交通省としては、ただいま答弁いたしましたように、民間事業者を活用した郵送、オンライン方式の調査をすることで業務の増加に対応することを考えていたため、人員の増強を行っておりませんでした。このような中、初年度の調査であったために、調査の準備段階における調査方法の情報を都道府県から入手する作業や調査対象者名簿の作成について想定以上の時間が掛かってしまったものでございます。
 したがって、当初予定どおりの公表期日に間に合うよう、作業に応じて体制強化を図りつつ、速やかに調査を進めてまいりたいと思います。

○武田良介君 いや、それにしたって、業務増えるわけですから。実際にはマネジメントもできていなかったというのが実態なわけで、体制強化というのは当然求められる話だというふうに思います。
 しかし、もう一つ、私、問題の根源には国土交通省の体質があるんじゃないかというふうに思えてならないんですね。率直に疑問に思うわけです。業務多忙の中、二〇二一年一月には調査票の配付が遅れそうだと、国交省、何で気付けなかったのかという問題ですよね。民間委託して郵送するということだったので、それこそ契約結ぶ必要あるじゃないですか。組織として、そういう契約結んだのかどうかって把握できると思うんです。結ばれていなかったら、おかしいなと気付けて普通なんじゃないかと。何で一年三か月もの間事態を把握できなかったんでしょうか。

○副大臣(渡辺猛之君) 調査計画に沿った時期に調査票の配付ができていない事態を把握できなかった理由でございますが、統計室内の情報の分断や分業意識にあると考えております。このことは、建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会の報告書においても、業務過多、そしてまた、統計部門におけるマネジメント上の課題があると指摘されており、これも同じ背景理由にあると考えております。
 今後、先般設置した再発防止検証タスクフォースにおいて、今回の事案も含めて再発防止策をしっかり検討してまいります。

○武田良介君 業務過多があり、情報共有ができていなかったと。もうそれぞれ要は縦割りでやっていたということ、この根っこは同じだったという御答弁でありました。
 受注統計のときにも、調査票の書換えが起こったと、そして二重計上が起こったと大問題になっていたわけですね。現場の担当者の方は、このことが今、国会でも取り上げられ、問題になっているときに、自分のところでも、この工事費調査についても調査票配付をできていないと分かっていたし、報告しようかと悩まれていたんじゃないかと思うんですよ。しかし、言い出すことが結局できなかったということだと思うんです。
 受注統計の報告書、改めて私も読みますけれども、二〇一八年の十月、係長と室長らとのいわゆる室レクですね、このときに、係長が合算処理をしていることに言及をしたら、室長はけげんな表情をした上、課長補佐ら他の出席者は触れてはならないことに触れたという雰囲気になったというふうにあるわけですね。
 触れてはいけないことに触れると、現場の担当者が、担当者からいわゆる室長以上の管理職の方に対して物を言うことがはばかられてしまうと、こういう体質が今回の事態を生み出しているのではないかと私率直に思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。

○副大臣(渡辺猛之君) 建設工事受注動態統計調査の不適切な処理を踏まえ、公的統計の信頼確保に向けて取り組んでいる中、このような事案が生じたことは極めて遺憾で申し訳なく思っております。
 公的統計は、政策立案や経営判断などの基盤として正確性が求められる、国民生活や経済活動にとって非常に重要なものと認識しております。
 建設工事受注動態統計調査の不適切な処理に係る検証委員会の報告書において、業務過多の解消、また、今先生から御指摘いただきました問題発見時の対応方法の明確化及び問題の発見と解決を奨励する風土の形成などについて指摘をいただいているところであります。
 今後、このような事案が発生することがないよう、先般設置いたしました再発防止検証タスクフォースにおいてできる限り速やかに再発防止策を検討し、公的統計の信頼回復に向け、組織一丸となって取り組んでまいります。

○武田良介君 繰り返されていること、私も大問題だというふうに思うんですね。それがやはり国交省の体質からきているということであれば、これを改めなければいけないと、これは当然のことだというふうに思うんですが、私、やっぱり深刻なんじゃないかと思うんです。
 報告書ですね、これ、改めてもう一つ紹介しておきますけれども、受注統計のときのものですよ。会計検査院から指摘を受けた二〇二〇年十月になって、国交省はようやく総務省統計委員会へ報告、相談を始めるというわけです。統計委員会の分科会に対して、参考資料として三枚の説明文を紛れ込ませたと。言ってみれば、紛れ込ませて、説明はしなかったんだけれども、了承は得たと。そういう形作りをしたと。これ、報告書では、隠蔽工作とまで言うかどうかはともかくと、まあ私は隠蔽工作だと思うけれども、ともかく、幹部職員において責任追及を回避したいという意識があったことが原因と考えざるを得ないというふうにされているわけです。幹部職員も責任回避したいということですね。この組織的な問題だというふうに思います。
 今回のこの問題の原因究明ですね、先ほどの大臣でも、あっ、副大臣の答弁の中にもタスクフォースでやっていくということがありましたが、しかし、これタスクフォースは同じものですよね、受注統計のときにつくったものと。
 そこが引き続き問題の原因分析だとか再発防止策をどうするのか考えていくということなんですけれども、しかし、この間の受注統計等々の国会質疑などを私も見ていますけれども、第三者の指摘を踏まえと言うばっかりで、国交省自身が自らのその不正常な体質、対応、これをどう改めるのか、まずその事実を認めるところからですね、認めてどう改めていくのかと、国交省自身が正していくという姿勢が十分これ見られないというのは、私、大変残念に思っております。そういう姿勢こそ必要なのではないか、国交省自ら正していく、その姿勢について副大臣に見解を伺いたいと思います。

○副大臣(渡辺猛之君) 先生から御指摘をいただきましたように、まず、今回の建設工事受注動態統計調査の不適切処理、そしてまた、ただいま御指摘をいただきました建設工事費調査につきまして、やはり国土交通省の体質というものが正直あったと思っています。現場で問題を見付けたときにそれを速やかにやっぱり上司に報告できるような風土の形成であるとか、そういうものを省全体として取り組んでいかなければいけないと思っておりますので、今後、このようなことが起こらないように、引き続き省庁一丸となって努力をさせていただきたいと思います。

○武田良介君 体質の問題があるというのは私も同じ認識なんですが、だからこそ、国交省が自ら、自ら何が誤りだったのか、こういうところが不正常だったと正していく、それは第三者委員会に言われてこうだったという話だけではなくて、自らというところを私は質問させていただいているんです。副大臣、もう一言、いかがですか。

○副大臣(渡辺猛之君) まず、今回のこのような事案が起こってしまったことに対して、それはもう担当部局だけではなくて、やっぱり国土交通省全体としての問題意識を持っていかなければならないというふうに考えております。
 先生御指摘いただきましたように、まずはこれを正すのは国土交通省の責任であるということを、我々政府も、また職員もしっかりと認識して取り組んでいきたいと考えております。

○武田良介君 国土交通省の責任だという答弁でありました。そうであれば、タスクフォースが言ったというだけではなくて、自ら誤りは認めるということをしっかりと指示も出して正していただきたいというふうに思います。
 最後に、総務大臣にお伺いをいたします。
 やはり、この毎勤統計の問題以来、ずっと続いてしまっているわけです、こういった問題が。二〇一九年の一斉点検を行ったけれども、十分な踏み込んだ調査できなかったというのが、ずっと振り返れば大本ではないかというふうに思っております。あのときも、各府省に対して基幹統計に対するファクトシートですね、この書面調査票への記入を求めたと。そこで浮かび上がってきた問題について検討していくということをやったわけですが、言ってみれば、その報告を求めただけ、ペーパーを上げてもらっただけということでありまして、統計の司令塔である総務省統計委員会として踏み込んだ調査ができなかったんじゃないか、検証が十分できなかったんじゃないか、その姿勢が今に至るこの問題を発生させている根源にあるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(金子恭之君) 武田委員から様々な御指摘をいただきました。
 毎月勤労統計調査の不適切事案を受けて政府全体で対策を進めている中で、先般の建設工事受注動態統計調査に続き、今回、建築工事費調査の事案が起きたことは大変遺憾であります。実効性ある再発防止策を検討すべきであると考えております。
 このため、統計委員会の特別検討チームでは、現在、国土交通省の検証委員会や総務省のタスクフォースの報告書の精査、関係者から説明聴取などを行っていただいているところでございます。このチームでは、事案の発生原因まで遡ることにより、品質優先の組織文化の形成や風通しの良い職場環境の醸成など、公的統計の作成に係る様々な課題の抽出を行い、それらを踏まえ、実効性のある再発防止策の検討を進めておるところでございます。
 総務省としては、このような統計委員会における取組を全面的に支援をし実行することで、統計の信頼確保に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

○武田良介君 そうは言うけれども、実際、原因分析、再発防止と言いながら、どんどん繰り返されているわけであります。総務大臣として、この事態を正す責任があるということを指摘をさせていただきたいというふうに思いますし、書換えとか期日に統計が公表できない、そういう危険も今生まれてしまっているという状況であります。国民的な信頼が失墜しているというのはこれ大変な問題ですし、それがまた国交省の体質からきているということであればより深刻な問題というふうに捉えておりますので、しっかりただしていきたいというふうに思います。
 それでは、テーマ変わりまして、新潟県新潟市秋葉区、ここで、廃止された油田から、油田と及びその周辺の地層ですね、ここから原油が湧出しているという問題がございます。悪臭などの苦情とともに、河川への流出などの懸念が広がっております。
 新潟市では、二〇一七年から湧出が始まりまして、年間約二千万円の処理費を予算化をされていると。旧坑井の現場、坑井って、その噴出口ですね、その旧坑井の現場では、油の吸着マットを使って、しみ出した油を人海戦術で取っているという作業をずっと繰り返されております。近くの河川にも一定程度流れ出してしまっているので、最後は信濃川まで流れては大変だということで、オイルフェンスで必死に防いだり、今対応がされております。
 この油田の閉鎖をしっかりと行って原油の湧出がないようにするというのが坑井封鎖事業というそうですが、坑井封鎖事業を行うのが基本なんだけれども、新潟市が専門家の方とやり取りをしたところ、この坑井は複数あるし、地下の構造も未解明の部分もたくさんあって、封鎖できるめどがなくて困っているということでありました。
 環境省にお伺いをしたいというふうに思います。
 悪臭や河川への原油の流出、これで生活環境に悪影響が出ております。既に新潟市は対応を迫られて、できること一生懸命やっているところであります。環境省としても対策が必要だというふうに思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

○国務大臣(山口壯君) 新潟市秋葉区の油田があった場所において、現在、新潟県及び新潟市においてオイルフェンスの設置等による油の流出防止措置がなされているけれども、大雨の際などには油の一部が河川に流出することがあるというふうに承知しています。令和三年度には、新潟市が経済産業省の廃止石油坑井封鎖事業費補助金を活用して流出状況の詳細な調査を実施しており、現在その結果に基づいて追加的な対策を検討していると聞いています。
 本件、地元自治体及び河川管理者が連携し、利水や生活環境に影響を及ぼすことがないよう適切に対応いただくことが重要であると。このため、環境省としては、地元自治体等が適切に対応できるように必要な助言を行ってまいりたいと思います。

○武田良介君 その利水関係者と自治体でというんですが、新潟市は、その坑井の封鎖ができないのであれば油水の分離施設を造れないかということを検討されているようなんですね。
 しかし、先ほどの坑井の封鎖事業というのは、これ経済産業省が補助金の事業を持っておりまして補助金付けられるわけですけれども、油水の分離施設を造ることに対しては補助金がないということなんですね。あるいは、その湧き出る原油、これも質が悪くて、何か別のものに使えるとかそういうものでもなくて何とか処理をしなきゃいけないということなんだけれども、その処理に対して使える補助金もないということなんです。
 まず確認だけです。特にこの補助、何もないんでしょうか。

○政府参考人(松澤裕君) お答え申し上げます。
 環境省では、自治体が設置する油水分離施設の補助制度、それから先生お尋ねがありましたその今回の場合の湧き出てくる油の処理、こういったものについての補助制度というのは有しておりません。
 先生御指摘の経済産業省の補助事業、廃止石油坑井封鎖事業費補助金、これによって油の漏えいによる被害の解消及び将来的な漏えい事故の防止を図ると、このための補助金が措置されているというふうに承知しております。

○武田良介君 経産省は、鉱業権を与えてきたという経過から、それを閉じるのであれば封鎖の事業をということで経産省がこの事業を持っているというふうにお聞きをしておりますが、しかし、これはもう油が今出て、悪臭の問題だとか、生活環境だとか、河川が汚れないかということで、実際に住民の健康、生活環境を守るために必要に迫られて新潟市は取り組んでいるわけであります。
 これ端的に、支援が必要になるんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣いかがでしょうか。

○国務大臣(山口壯君) 経産省のこの調査を、それに基づいて追加的な対策を検討、まずはそこを見ていきたいと思います。
 本件は、その地元自治体及び河川管理者が連携して適切に対応いただくことが重要であって、我々は助言をしっかり行っていかなければいけないなと思っています。

○武田良介君 いや、封鎖事業の延長とかそういうことではなくて、その油水の分離施設というものが、そういうことはできないかということを言っているわけです。管理者とか、利水者とか、あるいは自治体というだけではなくて、国は助言というだけではなくて実際の支援できないのかと。延長ということではなくて、坑井の封鎖の延長ということではなくて、そういうものが必要ではないかということなんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(山口壯君) 環境省の所掌の範囲内で助言を行っていきたいと思います。

○武田良介君 悪臭とか、河川に対して影響が出ないかだとか、あるいは近くの土壌もそれはもちろん原油によって、詳細な成分分析、私も手にしていないから分かりませんけれども、出ているわけです。環境省以外どこがやるのかというふうに思います。是非こういった支援を国としても決断する必要があるということを訴えたいというふうに思います。
 最後に、リニアの建設工事に伴って発生する残土、その中に特定有害物質を含むいわゆる汚染土、対策を要する要対策土、こういったものが出てくる問題であります。
 一つ事案をまず紹介をさせていただきます。
 愛知県春日井市の第一中京圏トンネル西尾工区、ここのトンネル工事で発生した建設残土が岐阜県の多治見市にある残土処理場に運び込まれて、そして岐阜県の調査によって環境基準を上回るヒ素、フッ素が検出をされたということであります。
 この事案について、汚染の状況について説明を求めたいというふうに思います。

○政府参考人(松澤裕君) お答え申し上げます。
 岐阜県が本年三月十四日に報道発表されました資料によると、岐阜県多治見市の残土処分場に搬入されたリニア新幹線の工事で発生した土砂から、土壌の汚染に係る環境基準を超過するヒ素及びフッ素、このうちヒ素については環境基準を二・一倍超過、フッ素については一・五倍超過でございましたけれども、それぞれ検出されたというふうに承知しております。
 また、これを受けまして、岐阜県におかれて、周辺環境への影響調査が行われております。具体的には残土処分場の排水の放流先河川、こういったところ調査しているんですけれども、その水質に影響はなかったというふうに発表されております。

○武田良介君 岐阜県は、この運び込まれた土砂、約百二十五立米ですね、これを速やかに撤去して適正に処理するように指示をしたと言われております。これまでに搬入した土砂についても検査の実施と報告を求めております。JR東海は一日一回検査しているというふうに説明されているそうですけれども、その掘り出した残土から少量だけ取り出して、そこだけ検査したということではこれは不十分になるというふうに指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 こういうふうに汚染土出てくるわけですけれども、岐阜県の中津川市の坂本地域というところではリニア新幹線の車両基地が建設をされる予定だと。その下に、リニアトンネル工事で発生したその特定有害物質も含む汚染土ですね、これを埋める計画になっていると。量は全部合わせて大体五十万立米だと。また同時に、その隣接するような位置ですけれども、ため池の上流部にもこの汚染土の置場が設置される計画になっているということであります。これらは特定有害物質のある残土と、それを含めて、こっちは百万立米程度ということであります。
 こうした行為に土壌汚染対策法による規制はないのか、この点について伺いたいと思います。

○政府参考人(松澤裕君) 今回のリニア工事もそうでございますけれども、トンネル掘削、こういった建設工事から自然由来の汚染土壌が大量に出てくるケースというのはございます。こういった場合については、土壌汚染対策法がメーンの対象にしています有害物質を製造、使用した工場などに由来する汚染土壌の取扱い、そのルールというのは相当異なる部分ございます。
 したがいまして、国土交通省において、建設工事における自然由来重金属など含有岩石・土壌への対応マニュアルというものを作られています。そのマニュアルの中で、建設工事における自然由来の重金属を含有する土壌について、人への健康影響の防止を目的として、調査、設計、それから工事の方法、さらにモニタリング、こういったところの技術的な対応法を示して適切に対応していただく、こういうものだというふうに承知しているところでございます。
 なお、土壌汚染対策法では、有害物質を製造、使用した工場における人為汚染による健康被害を生ずる可能性の高い場合を捉えて、土壌汚染状況調査、こういうものを打っていこうという、こういう中身になっています。そして、その調査の際に、あわせて、自然由来で汚染された土壌、こういうものが発見された場合には、広く人為由来の汚染土壌と併せて汚染の拡散を防ぐための規制を適用していくという、こういう考え方に立っています。
 私どものベースは、有害物質を製造、使用した工場における人為汚染で出てきた汚染土壌、こういうものをどういうふうにコントロールしていくのか、その土台に立った上で、併せて出てくる自然由来のものも積極的に捉えて、拡散していくというところを抑えていこうと、こういう考え方に立っております。
 そういうようなこともありまして、今回のリニア工事のような建設工事、トンネル工事で大量に出てくる場合については、国土交通省のこのマニュアル、こういうものについて環境省も技術的に協力もしまして作成をしているということでございます。

○武田良介君 つまり対象にはならないということなんですよね。そのトンネル工事だとかそういったことを念頭に置いていませんと、そもそもが、いうことですよね。そういうふうに出てくる場合には国交省のマニュアルに従ってと、要は事業者がしっかりそれに従って対策取ってくれればいいなと、いわゆる事業者任せの対応になっているというのが今の現状ということであります。
 で、これ私、事前に説明求めたんですけれども、三千平米、その土地の形状を変更して、形質か、形質の変更をして出てくる場合、三千平米以上に対して課すというふうになっているというふうにお聞きをしました。これ何で三千なのかということなんですけれども、例えばリニアのトンネル工事やるときには、工事を、工事で掘り始めるその手前のヤードの部分もありますよね。ああいうところも含めて面積を見たらこれ三千平米以上になるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、そういう発想でいけば、たとえそもそもそうじゃ、考えていないといっても、実際には大量の汚染残土が出るわけですので、これ対象にしていくと、そういう運用もできるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

○政府参考人(松澤裕君) 先生御指摘いただきました三千平米以上というのは、これ当時、この土地の形質の変更というものの対象範囲を決めた際に、都道府県などの条例を基に、通常の土地の場合には三千平米で都道府県の方で先行的にそういった施策を打っていると、これをベースに三千平米とさせていただいております。
 先生御指摘のそのトンネル工事でございますけれども、トンネル工事につきましては、基本的には地面に埋まっている土、トンネルそのものの部分というのは、先ほども申し上げましたけれども、土壌汚染対策法のその範疇からいいますと、かなり遠い部分がございます。
 とはいえ、この開口部の部分につきましては、この開口部に関しては、工事の前に人が機械を設置したりいろいろな調査もするということも考えられますので、工事の前に人の手が入って人為汚染を生ずる可能性があるんではないかということで、開口部というのはこの土地の形質の変更の三千平米の範囲に加えて運用してきております。この開口部、それから先生御指摘いただいたヤードを造って土地を変えるといった部分、そういったものを一つの工事で合算して三千平米が超えれば、先ほど申し上げました土地の形質の変更に該当するので届出を出してくださいと、こういうふうに幅広く捉えるということはさせていただいております。

○武田良介君 確認ですけど、トンネル工事をするときには開口部、だからこうトンネルを掘っていくときの開口部ですよね、いったらその鏡面に当たるような部分でしょうか、そのイメージが近いでしょうか。ここの面積と、あるいはヤードも含めてそれぞれ足し上げて、幾つかのトンネル工事があれば足し上げて三千平米を超えるかどうかということでよろしいですね。

○政府参考人(松澤裕君) お答え申し上げます。
 お尋ねの点でございますけれども、土壌汚染状況調査の機会、これを現場の都道府県において、できる限り実際に即した形で捉えていただくために、工事、そういった事業について、同一の事業であるとか、それから時間がほぼ近いとか、それから工事の実施主体が同じじゃないかと、こういったところを総合的に判断して、一固まりの工事だと認められる場合には、ヤードを設置する土地の形質変更、そういった部分も含めて、先ほどの御説明いたしました開口部も含めまして、合算して三千平米を超えていれば、以上であれば、届出の対象とすることがいいだろうという、そういった通知を都道府県に対して出して、運用をこれまで行ってきております。
 岐阜県によりますと、現に今回のリニア工事においても、この形質変更の届出が事業者から出ているというふうに伺っております。

○武田良介君 つまり、土対法の対象としてこのリニアの工事やっているということでよろしいんですか。

○政府参考人(松澤裕君) 開口部ですとか、それからヤードを設置しますと、そこで土地の形質変更しますと、そういった部分を捉えて土壌汚染対策法の対象にはなりますので、元々そういう運用をやってきておりますから、リニア工事もその部分については対象となってまいります。
 ただ、トンネル工事のこの掘って出てくる土そのものについて、丸ごと土壌汚染対策法で全てコントロールするということではなくて、先ほど御説明しました国土交通省のマニュアルに沿って、調査から設計からモニタリングまで、全部工事に即したやり方でやっていこうと、こういうことで詰めております。

○武田良介君 結局、最後はマニュアルという話でありました。
 私がこの問題質問しているのは、地元の皆さんの不安の声があるからなんですね。
 例えばこういう話です。先ほど、ため池の上流にその残土を置くという計画があると、ここに汚染された土もあるわけです。封じ込め対策はどういうふうにやるのかというふうに聞くと、遮水シートにして、によって行うと言うんですね。ただ、地元の皆さんは、その遮水シートは業界保証は十五年と、恒久性はないんじゃないかということを不安に思っておられるわけです。
 また、地形の問題もあると。これ、谷地形になっていて、上流に向かって湿地が続いていると。で、その湿地の上に盛土をする。
 JRが実施したボーリング調査、これ明らかになっていますけれども、これ見ると、谷の地表の下約十メートルはN値、その固さの問題ですよね、N値が五十以下、盛土の先端部は地下八メートルでN値が十五以下、こういう軟弱な地盤があるということが明らかになっている。地下水は〇・八メートルの浅いところにあるということなんですね。
 こういうところで処分場を造ったら、遮水シートが沈み込むとか、あるいは配管なんかも沈み込むとか、封じ込めた汚染土から汚染水が漏れ出すことはないのかということを懸念されているわけです。
 だから、マニュアルに沿ってと言うんだけれども、実際には汚染されたものがため池に入り、農業用水として使われないのか、住民生活影響を与えないのか、これに対して環境省どう仕事をしていくのかということが今問われております。最後に大臣にこの点伺いたいと思います。

○国務大臣(山口壯君) リニア新幹線整備工事のトンネル内の土砂は、土壌汚染対策法の適用を受けるものではないというのはるる説明させてもらったとおりです。
 他方、この環境影響評価手続において、二〇一四年に国土交通大臣に発出した環境大臣意見において、土壌汚染対策法の対象外の土壌であっても、その汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないおそれがある土壌については、運搬及び処理に当たり、土壌汚染対策法の規定に準じて適正に取り扱うことを求めたところです。
 この環境大臣意見の下で、事業官庁である国土交通省が、事業者であるJR東海に、汚染土壌に対して適切な対応を行うよう指導がなされているものと理解しています。
 環境省においては、汚染土壌を適切に管理するための技術的な知見等が蓄積されており、必要に応じて国土交通省に対して必要な協力を行ってまいりたいと存じます。

○武田良介君 市民の理解はまだ得られておりません。JR東海が自主的にやっているというだけでは駄目だというふうに思いますので、国が安全にしっかりと責任を持つ、そのことを求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

すべて表示

関連資料

リニア工事残土規制なし 武田氏が法適用求める 参院決算委

国交省調査大幅遅れ 武田氏 組織的体質ただせ