国会質問

質問日:2022年 4月 12日  第208通常国会  国土交通委員会

国土交通委員会で、自動車損害賠償保障法案で質疑と反対討論

国土交通委員会で、🚘自動車損害賠償保障法案の審議。
 
交通事故被害者の方への支援を行う財源が焦点。
🚙車に乗る方が払う保険料が原資ですが、「国の財政状況が厳しい」と、
📅1994年、1995年に合わせて💴1兆1200億円を、一般会計へ繰入。
当然、速やかに返すべきものですが、いまだに約6000億円が返ってきていません😡❗️
 
 今回の法案は、その繰戻の目処はないまま、新たな賦課金を自動車に乗る方に求めるもの。
 その財源を確保して行われる被害者支援、事故防止の取り組みは重要。しかし、責任を曖昧にして新たな負担を自動車ユーザーに課すことは許されないと反対しました。
 
 質疑では、各委員が「完済の期限を明確にせよ」と迫りました。
 しかし、答弁は、国土交通大臣と財務大臣が6回交わした「合意文書」の中身を繰り返すばかり。
「それが何度も踏みにじられてきた。同じ文言を繰り返し答弁しても、繰り戻しされる保障にはならない」と質しました。

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 まず、自動車事故対策事業について伺います。
 この自動車事故対策事業は、例えば介護料の支給など、被害者支援を行っているわけでありますが、大変重要だと思います。その対象となる事故被害者全ての方に支援が届いているのかどうか、この点について伺います。

○政府参考人(秡川直也君) 御指摘いただいたように、例えば介護料について、全ての介護料を受ける資格のある方に介護料が届いているかということでいいますと、そうはなっていないというふうに思っております。
 それで、今、NASVAにおいてその介護料の支給を行っておりますけれども、支給要件を満たす方全てに支給が、支援が行き届くためには、やっぱりそういう支援があるんだということをお知らせしないとなかなか受けていただくことができないというふうに思いますので、保険会社とか病院、あるいはその事故被害者などに具体的に接するその機会を捉まえて周知とか広報の強化を図ると。あと、NASVAそのものの取組のその認知度を向上するということを今後もやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

○武田良介君 支援が届け切れていないと。
 先日の参考人質疑でも小沢参考人の方から、広報に力を入れてほしいと、こういうお話もありました。保険で救済されない事故被害者への支援は国の責任だというふうに思いますので、全ての対象者に支援が届くように私からも求めておきたいというふうに思います。
 法案では、被害者保護増進等計画を作成するときには、あらかじめ、被害者その他関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるというふうに書かれております。必要な措置というのは、具体的には何を想定されているでしょうか。

○政府参考人(秡川直也君) 今御指摘いただいた点、計画の作成についてですけれども、被害者や遺族団体、あるいはその自動車ユーザー団体、あと学識経験者など、幅広い方々、関係者の皆様の御意見を伺う機会を設けて検討していくと。あと、そのでき上がった案については、パブリックコメントを実施して、広く案を募って作成していくということを考えております。

○武田良介君 被害者ですとか関係する方々から意見を聞く場を設けていく、これ重要なことだと思いますし、今パブコメという話もありました。こういったことも含めて非常に重要だと思います。被害者の皆さんの意見が十分反映される必要があると、これ当然のことですから、是非求めておきたいというふうに思います。
 それでは、賦課金と繰戻し金の関係についてでありますけれども、賦課金について、これは法案では、自動車事故対策事業賦課金について、自動車事故対策事業に必要な費用というふうにして、政令、失礼しました、省令で定める金額というふうにしております。
 これ、法文上は引上げを決めているわけではないわけでありますけれども、繰入金についてお聞きをいたしますが、一般会計から繰入金は直ちに全額繰り戻すべきと、もうこれ当然の話であります、先ほど来ずっとお話があります。少なくとも、毎年度の繰戻し金が、自動車事故対策事業の必要額、今想定されているのは年間約二百億円ということだと思いますけれども、この金額を繰入金が上回れば当面は新たな賦課金を課す必要もなくなるというふうに思いますけれども、間違いないでしょうか。

○政府参考人(秡川直也君) 御指摘いただきましたように、将来、仮にその一般会計からの繰戻し額というのがその被害者支援に充てるための事業費を十分に賄える水準になっているという場合には、その時点における被害者支援事業が安定的、継続的に実施できるかということを確保しながら、自動車ユーザーの負担軽減を図るという観点も重要なので、賦課金の水準の見直しを検討するということは十分あり得るというふうに思っております。

○武田良介君 いえ、私が聞いているのは単純な話でありまして、必要な額が繰戻しされたら、それだけで事業に必要な予算は確保できるんじゃないかということを伺っているだけなんですが。

○政府参考人(秡川直也君) ある単年度で見れば、必要な事業費が繰戻しで確保できれば、賦課金は不要だという考え方はあると思います。

○武田良介君 先ほど五十四億円という話もありました。必要な額がないということなんだと思うんですね。これまでずっと必要な額が繰戻しされていないということだと思うんですけれども。
 そこで、財務副大臣にもお伺いをしたいというふうに思います。
 一般会計の繰入金について、一九九四年以降二〇一七年まで、大臣合意が五回結ばれているということになっているわけです。しかし、これは履行されていません。踏みにじられてきたという状況にあるわけであります。その理由を財務省に私も伺ってきました。資料にも付けましたけれども、厳しい財政事情だったんだと、歳出が税収を上回る状態が続いているということを御回答いただきました。
 資料の二も付けました。繰戻し金を見ていただきたいわけですが、二〇〇〇年と二〇〇一年は、それぞれ二千億円を繰り戻しているわけであります。この水準で繰戻しが続けば、四、五年でつまり完済できるという規模なわけでありますね。
 この二〇〇〇年、二〇〇一年、歳出、税収が上回っていたということなわけですが、調べると、確かに、二〇〇〇年の歳出は八十五兆円、税収が四十九兆円、二〇〇一年は八十三兆円の歳出、税収が五十一兆円ということなんですね。
 副大臣に伺いたいと思いますが、歳出が税収を上回っていたからというのはもう理由にならないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(大家敏志君) 先生御指摘のように、これは期限延長をお願いし、大臣間合意を更新してきたということであります。
 そして、今のお話でありますけれども、一九九四年時点でのこの税収は四十九兆円。そして、その後、二度目の更新をお願いしたこの九九年の税収は四十二。ですから、四十九から四十二に落ちました。その次の更新のときには四十一兆円と。そして、二〇一〇年のときにはこれ五十九兆円と税収は増えたんですけれども、それは中身を見てみますと、消費税の三%増のお願いをさせていただいたということがありますし、またこれ、平成二十九年、税収は六十五兆円と、景気も回復してきた。ただ、その年の一般会計の歳出は百八ということですから、いずれにしましても、特例公債、国債残高が累増しており、全体として財政状況は悪化してきたという状況の中でこのような更新をお願いしてきたという経緯がございます。

○武田良介君 いや、ですから、財政が厳しいという状況は続いているし、むしろその度は増しているという今御答弁をいただきました。そうすると、本当に、先ほど来話があるように、これは本当に全て戻していただけるのだろうかという話になるわけなんですね。
 そもそも繰入金は、先ほど来話があるように、自動車ユーザーが支払った保険金が原資なわけです。税金ではないということなわけです。御指摘あったとおりだと私も思います。本来、自動車ユーザーや自動車事故被害者のために使われるべきものであって、一般会計に繰り入れることそのものが筋違いではないかということだと思うんです。
 昨年の十二月二十二日ですね、六度目の大臣合意、これが結ばれていますが、二〇二七年に完済するということです。もう、繰り返し質問ありますけれども、今度こそ財政状況を理由にせずにと、完済していただけますでしょうか。副大臣に伺います。

○副大臣(大家敏志君) 今、厳しい財政状況の中からこうやって大臣合意を更新させていただいてきたということであります。先ほどから申し上げておりますけれども、被害者支援、事故防止の実施に直ちに支障を来す状況にはなかったという国土交通省からの報告もあり、この合意によって期限を延長してまいりましたので、しっかり先ほどからお話ししてあるとおりの形でこれから真摯に対応していきたいと思っております。

○武田良介君 では、斉藤大臣に伺いたいと思いますけれども、例えば、大臣間合意のほかに、先ほど鉢呂委員からも御指摘あったかと思うんですけれども、二〇〇一年の法改正の際に、当委員会の附帯決議、この中でも、「自賠責特会から一般会計への繰入金及び自賠責特会の当該勘定において生じていたと見込まれる運用収入は、速やかに自賠責特会に繰り戻すこと。」、こういうふうにあるわけです。附帯決議にも付いている、当委員会で。こういうことを踏まえても、先ほどの大臣合意です、二〇二七年、これまでに完済を履行するということがやっぱり必要だと私からも求めたい。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 昨年十二月の両大臣合意におきまして、原則として、令和五年度から令和九年度までの五年間において分割して一般会計から自動車安全特別会計に繰り戻していただくこととしております。国土交通省としては、昨年のこの大臣間合意を踏まえ、一般会計からの繰戻しが着実に行われると認識しております。
 毎年度の具体的な繰戻し額については、毎年度、財務省及び国土交通省が協議の上決定することとしておりますので、引き続き財務省に対して全額の繰戻しに向けて着実に繰戻しを進めるよう求めていきたいと思っております。

○武田良介君 今日の午前中からの議論ずっと伺っておりまして、また今副大臣あるいは斉藤大臣からも答弁いただきましたが、基本的にこの大臣合意に書かれていることそのままおっしゃっているだけなんじゃないかと思うんです。それはそうです、書いてありますから。令和九年までにというふうに改めて、それまでに分割して繰り戻すというふうに書いてあります。でも、その下に、具体的な繰戻し額についてはと、副大臣繰り返し御答弁されているように、一般会計の財政事情に照らして財務省と国交省が協議の上決定するわけですよね。これ、過去の大臣合意全部見ても、全部同じ文言あります。同じことを繰り返され、答弁されても、今回この質疑を通じて、私これで繰り戻されるというふうには思えないんです。何度これが踏みにじられてきたのかということだと思うんです。
 もう一度、斉藤大臣、それから副大臣にも是非御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) まさに昨年十二月に、鈴木大臣と私、ぎりぎりの大臣折衝を行いました。その大臣合意をここで申し上げるということでございますけれども、もう一度繰り返しになりますけれども、原則として、令和五年度から九年度までの、令和九年度までの五年間において分割して一般会計から自動車安全特別会計に繰り戻していただく。国土交通省としては、この大臣間合意を踏まえ、一般会計からの繰戻しが着実に行われると認識しております。
 また、毎年度の具体的な繰戻し額については、毎年度、財務大臣、国交大臣、協議の上決定することとしておりますので、引き続き財務省に対して全額の繰戻しに向けて着実に繰戻しを進めるよう求めていきたいと思っております。

○副大臣(大家敏志君) 国交大臣がお話しされたとおりでありますけれども、我々が同じことを繰り返しても、そのことがなかなか受け入れられないという先生の御指摘であります。
 過去の一般会計への繰入額の原資が自動車の所有者等が支払った保険料の一部であるということを踏まえて、とにもかくにも被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるように、一般会計からの繰戻しを着実に、合意を踏まえた上で国土交通省と協議をして対応してまいりたいということを改めて申し上げたいと思います。

○武田良介君 繰り戻されるものと承知していると楽観的に言われても、これまで重ねて同じ合意結んでもやられてこなかったわけであります。それではやっぱりならぬということを私思うわけであります。
 もう時間がありませんが、ちょっともう時間がありません。
 いずれにしても、今の協議の上とか原則ということが繰り返し言われます。じゃ、実際幾ら返すのかと。財務省と国交省で議論をして、五十四億円というのは踏まえたとしても、これから十分な額戻ってこなければ、じゃ、賦課金だという話になってしまうわけであります。一般会計から繰戻しすると、これ曖昧にしたままでは自動車ユーザーも、事故被害者の方も、絶対に私納得されないというふうに思います。
 曖昧にせずに繰戻しすることを求めて、時間ですので、終わりにしたいというふうに思います。

 

○委員長(斎藤嘉隆君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○武田良介君 私は、日本共産党を代表して、自動車損害賠償法及び特別会計法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 本法案は、当分の間の措置とされている自動車事故対策事業を恒久的な事業として位置付けようとするものです。さらに、被害者団体からの要求の強い療養施設の待機患者の解消やリハビリテーションの機会の提供、介護者なき後の備え等に対しても事業を拡充することで応えようというものであり、必要な措置であると考えます。
 法案は、安定財源確保のために自動車ユーザーから新たな賦課金を徴収するとしています。しかし、自動車事故対策事業の財源をめぐっては黙って見過ごすことのできない重大な問題があります。それは、一九九四年及び一九九五年に行われた一般会計への繰入金一兆一千二百億円がいまだに完済されていないという問題です。財務省は財政状況が厳しいと言いますが、自動車ユーザーや事故被害者には何の責任もないもので、理由にはなりません。当時の大蔵大臣と運輸大臣との間で返済期日を定めた合意も結ばれてきましたが、ことごとく踏みにじられてきました。
 繰入金を期日どおりに返済しない財務省の態度を許してきた国交省の責任も免れません。国交省は、直ちに被害者支援、事故防止対策に支障がないとして積立金の減少にも漫然と過ごし、まともに返済を要求してきませんでした。自らの怠慢を棚に上げて自動車ユーザーに新たな負担を求めるのは虫のいい話だと言わなければなりません。繰入金の全額返済という国の責任を曖昧にしたままで、財源確保を口実に自動車ユーザーへの新たな賦課金を導入することは許されません。
 逆に、全額返済を曖昧にしたままでの安定財源の確保は、繰入金の返済を先延ばしする口実にも使われかねず、賛成できません。
 以上、討論を終わります。

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