国会質問

質問日:2022年 4月 19日  第208通常国会  国土交通委員会

国土交通委員会で、建築物の省エネルギー化について質問

4月19日、武田良介議員は参議院国土交通委員会で、急転直下で法案提出に至った

建築物省エネ法に関連して、国交省の姿勢をただしました(スタッフ)。

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 いわゆる建築物の省エネ法が今国会に提出される運びになるということで、先日説明もいただきました。この省エネは、一刻も早く十分な基準で始めていくことが必要だというふうに常々考えております。とりわけ建築物は重要だと、日本のエネルギーの三分の一は建築物で使われているということでありますので、非常に重要なことだというふうに思っております。
 そこで、大臣に基本的な認識を伺っていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 最初に紹介をさせていただきますのは、IPCCの第六次報告書、第三作業部会というところの報告書が先日発表をされました。今日、私から二点紹介するのは、一つは、この二〇一〇年から二〇一九年の十年間の間にも、温室効果ガス、世界の排出は増加し続けているということがこの中で指摘をされております。気温上昇を一・五度以内に抑えるためには、二〇二五年までに最大の排出源である電力セクター始めあらゆるセクターで大幅な削減対策を取って減少に転じる必要があると指摘されていること、これは最大の特徴ではないかというふうに思っております。
 それから、もう一つ紹介しますのは、これ資料に付けさせていただきましたけれども、建築物の部分についてもこの報告書は触れているわけであります。重要だと思いますのでちょっと紹介いたしますけれども、モデル化された世界全体のシナリオでは、野心的な充足性対策、省エネ対策、及び再生可能エネルギー対策を組み合わせた政策パッケージが効果的に実施され、脱炭素化への障壁が取り除かれた場合、改修された既存の建物とこれから建設される建物は、二〇五〇年に正味ゼロのGHG排出量に近づくと予測される、野心度の低い政策は、何十年にもわたって、建物の炭素ロックイン(固定化)を起こすリスクを増大させるというふうにされております。
 大臣に二点紹介させていただきましたけれども、それぞれ受け止めについて伺いたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 気候変動に関する政府間パネル、IPCCが二〇二二年四月四日に発表した第六次評価報告書として取りまとめた第三作業部会報告書では、温室効果ガス排出量について、今後の政策の強化がなければ二〇二五年度以降も増加することが予測されると報告されています。また、建築物の省エネ対策等が効果的に実施された場合、将来の気候に建物を適応させつつ、SDGs達成に貢献する大きな潜在的可能性を有すると、このようにも報告されております。今御指摘のとおりです。
 これらの温室効果ガス排出量に関する予測や建築物の省エネ対策の重要性については、IPCC国内連絡協議会を構成する我が国の科学者の間でも共有されておりまして、国土交通省としても、同様の認識の下で住宅・建築物の省エネ対策にしっかりと取り組んでまいります。

○武田良介君 私は、政治家も気候危機に対して本当に危機感を持つことは非常に重要だというふうに思っておりますし、この二〇二五年ということもありました。非常に時間も限られている中で政治決断、政策判断、本当に問われてくるというふうに思っております。よく科学者は仕事をしたと、次は政治家が仕事をする番だと国際社会でも言われますけれども、まさにそういう局面を迎えているというふうに思っております。
 政府は、温室効果ガスの削減目標を二〇三〇年四六%というふうに引き上げまして、五〇年のカーボンニュートラルということも言っております。これに合わせて各分野の取組も強化をするということで、住宅建築分野では二〇三〇年の削減目標、四〇%削減というところから、今度六六%と引き上げられたということであります。これも目標が高くてけしからぬという話ではないと思うんですね。やはり、これは先ほども言いましたけれども、世界中の気候危機が気温上昇を招き、そして豪雨だとか熱波だとか海面上昇を招いている、もう命の懸かったサバイバルの問題だというふうに世界でも言われておりますし、そして、質問をさせていただきます建物、住宅の関係ということでいっても、温かく快適な住宅に住めるということは健康、命の問題でもありまして、非常に重要な問題だというふうに思っております。
 だからこそ、この目標を達成しようということなわけですが、しかし、時間的な限りもあります。直ちに対策を打たなければいけない。で、この目標を達成しようと考えたときに、率直に、これまでの日本の住宅省エネの取組が遅れてきたのではないかということも認識をして、言ってみればこれまでの延長線上ではない新しい発想なり覚悟なり、これを持って取り組んでいく必要があるというふうに思いますけれども、この基本的な認識について伺いたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) これまでの対策、ちょっと振り返ってみたいと思いますけれども、約四十数年前ですが、石油危機を契機に、一九七九年に制定されたエネルギーの使用の合理化に関する法律において、初めて建築主に対する省エネ措置の努力義務が課されました、ここから始まりました。その後、二〇〇二年には大規模の非住宅、二〇〇五年には大規模住宅に対して省エネ措置の届出義務を課し、二〇〇八年には届出対象の規模を中規模以上に拡大しました。二〇一五年には建築物省エネ法を制定して大規模の非住宅について省エネ基準への適合を義務化し、二〇一九年にはその対象を中規模の非住宅に拡大するなど、段階的に取組を強化してまいりました。
 また、大手の住宅供給事業者に対して省エネ基準を超える高度な対応を求めることにより省エネ性能の向上を図る住宅トップランナー制度についても、二〇〇八年に建て売り住宅を対象に制度を導入し、その後二〇一九年にはその対象を注文住宅、賃貸、共同住宅に拡大いたしました。
 このような取組に加え、支援措置により省エネ性能の高い住宅・建築物の供給や改修によるストックの省エネ性能の向上を図るなど、総合的な対策を講じてきたところでございます。
 今回、またより一段強い措置を講ずることによって、このSDGs目標の達成に向けて進みたいと、このように思っております。

○武田良介君 社会全体のストックでその建物の断熱性能を上げていくためには、新築の断熱が必須だというふうに思うんですね。今、答弁の中でも七九年の法改正から話が始まって急に二〇〇〇年行っちゃったんですけれども、この間にもそれぞれ基準を設けるということをやっておりましたよね。
 段階的にという話もありましたけれども、いやいや、段階的にどんどん、少しずつ広げていきましょうということで本当にいいのかという指摘はこれまでもされてきたわけであります。実際に、欧州、とりわけドイツなどでは、もう断熱性能が日本よりもはるかに高い状況があり、周回遅れだという批判の声がずっと上がってきた。日本人はこの省エネに対して我慢の省エネを強いられてきたというふうによく言われるわけであります。
 この住宅の省エネ化ということですけれども、これ、熱を逃がさない断熱、大きな役割を果たしているというふうに思いますし、それに加えて、高効率の設備を採用すること、あるいは太陽光発電に代表されるような発電を組み合わせること、それぞれ重要になってくるというふうに思います。
 断熱ですけれども、国交省、これまでも断熱等級を定めて普及に取り組んできたというふうに承知しておりますけれども、等級四以上で今どういう、全国の状況ですね、どうなっているのか、御紹介いただけますか。

○政府参考人(淡野博久君) お答え申し上げます。
 お尋ねの住宅性能表示制度における断熱等に関する性能等級につきましては、これまで現行の省エネ基準に相当する等級四が最高等級でございました。いわゆるZEH水準に相当する等級五を本年四月より導入し、さらに、審議会答申等を踏まえ、より上位の等級六及び七を今年の十月より導入することとしてございます。
 このうち、等級五は導入したばかりであり、また等級六及び七につきましては導入前でございますので実績は把握できておりませんが、二〇二〇年度に断熱等に関する性能表示を行った新築住宅のうち、最高等級でございました等級四を取得した住宅の割合は約八四%となっております。

○武田良介君 等級四、新築で八四%という話でありました。既存だと約一割程度じゃないかとか、そういう資料も私拝見させていただいております。まだまだ全体としてこれ進んでいないというのが日本の現状だというふうに思います。
 脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会、これ行われてきましたよね。私も、第六回の議事録、それから資料を読ませていただきました。これ、取りまとめ案を出す会議ですよね。
 この中で、資料見ておりましたら、東北芸術工科大学の竹内昌義教授、資料を出されておりました。そして、その中で、素案を座長に一任する条件として、以下の点が変更されることがないよう御留意くださいということで、六点を紹介されておりました。まあ六点全部紹介しているとちょっと時間がなくなってしまいますので、最初の一点だけなんですけれども、先ほどの断熱等級の話であります。先進的な地域を応援するため、鳥取県のように、断熱等級を更に二段階、今答弁にあった六と七という意味ですね、これを是非設定されたいということが入っております。
 今回法案が出されると、義務化の基準は等級四というふうにまずなるというふうに承知しておりますけれども、竹内教授が一点目で指摘しているのは、鳥取県は、四ではなくて等級五相当になるこの最低限のレベル、あるいは六の推奨のレベル、そして最高の七、それぞれを推奨して普及していこうということで取り組んでいるわけであります。こういう先行している自治体もある。ここに学べばもっと高い基準を設ける必要もあるのではないかというふうに私は思いますけれども、この点の大臣の認識を伺いたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画におきましては、住宅の断熱性能に関する性能表示を等級四に相当する現行省エネ基準への適合を二〇二五年度までに全面的に義務化することと併せて、二〇三〇年度以降新築される住宅について、等級五に相当するZEH水準の省エネ性能の確保を目指し、整合的な誘導基準、住宅トップランナー基準の引上げや省エネ基準の段階的な引上げを実施するとされているところでございます。
 この方針に沿って、本年秋にも建築物省エネ法に基づく誘導基準や低炭素建築物、長期優良住宅の認定基準を強化すべく、現在準備を進めております。

○武田良介君 三〇年にZEHレベルに引上げともちろん承知をしております。承知をしていて、竹内教授もその目標自身が低過ぎるということを指摘をされているわけなんですね。だからこそ、六、七をという話でもありましたし、引き上げていく必要があるということが、このあり方検討会の中でも繰り返し言われているわけであります。
 先月、宮城、福島県沖の地震に伴って火力発電所も止まって、かつ寒波の影響もあって電力需給が逼迫するという状況がありました。これ、目の前の対応としてはもちろん節電も必要ですし、動かせる発電所動かしていくということも必要ですけれども、やはり住宅の断熱性能を高めておく必要があったと、そこで省エネをして必要な電力を減らすということも重要だったということが、私、大きな教訓ではないかというふうに思います。
 今回のこの電力逼迫の状況を受けて、住宅の断熱性能の重要性、私は感じておりますけれども、大臣、済みません、率直にこの点、どのようにお感じか、伺いたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) また個人の体験なんですけれども、ちょっと選挙の関係で住居を移りまして、同じ集合住宅、マンションですけれども、いわゆる昔の基準、三十年前に建てられたマンションと最近建てられたマンション、両方、実感といたしまして、最近の基準で建てられた、これZEH基準でしたけれども、もう全く冬暖かいというのを実感をしております。大きくいわゆる光熱費が変わってきました。
 これらの、こういう住宅を本当に普及させていくことが日本のカーボンの三〇%以上を出している住宅建築物の脱炭素化を進めていくのに本当に重要だと。ですから、基準を本当に高めていかなくてはならないということを実感しております。

○武田良介君 基準を高めていかなければいけないと大臣から御答弁をいただきました。
 是非これやっていかなきゃいけないと思うんですね。四でスタートして、三〇年五だと、これで本当に、紹介しましたけど、政府の目標からしても本当に達成できるのかと、政府だけじゃないですね、世界が共通して取り組んでいる気候危機の課題でありますから、住宅の、この三分の一を消費している住宅の分野で国交省が責任果たしていく、その責任極めて大きくなっているということを指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

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