国会質問

質問日:2022年 5月 9日  第208通常国会  決算委員会

決算委員会で、水田活用直接支払交付金や食料自給率の問題など、農水大臣を追及

決算委員会で本日、金子農水大臣に「🍚水田活用直接支払交付金の削減をやめるべき」と質問しました。
 
私は、信濃町の農家の実態と声を紹介し「米を作っても、転作した蕎麦を作っても赤字が実態だ。交付金をカットすれば信濃町で農家はやっていけない」と指摘しましたが、
金子大臣は「政府として決めた方針を変えることはできない」と、驚きの冷たい答弁❗😡💢
農家がやっていけないと言っているのに、農家を見捨てる答弁に驚きと怒りを禁じえません。
 
食料自給率をあげるという政府の立場にも逆行していますし、米価暴落対策こそ必要です。
 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 水田活用直接支払交付金について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 この交付金は、米から転作した作物を作っているところに対して出しているものでありますけれども、今後五年間で再び水張りをしないと交付金の対象から外すという見直しがされようとしているわけであります。これに対して現場では大変な怒りの声が上がっております。
 私、長野県の信濃町で三十町歩の田んぼをやっているという方からお話を伺いました。政府が進めてきたこの減反に対して、この交付金活用して、ソバ、小麦、それから大豆などに転作をしてこられたという農家さんでありました。で、米は六割しか作れなくなったと、四割をつまり転作したということなんですね。で、この農家さんは、ソバで二万円の産地交付金を受け取っているということなんですけれども、交付金がなければ大赤字だということをおっしゃっておりました。
 実態を紹介いただきましたけれども、信濃町では既に自分自身で田んぼができない農家さんがたくさんいらっしゃるわけですね。そういう方は、私がお話伺った方なんかに田んぼを貸して米を作ってもらったり、こういうことになっているわけであります。そうした中で転作したソバも作っているというわけなんです。
 これ、収穫に係る費用についてお話伺うと、田んぼを貸している方がこの方に、収穫に係る費用、一反歩一万円でやってもらっているということでありました。ですから、これ、二万円の交付金に対して残り一万円で、その他農協の関係費用等々あるのでやっぱり赤字になるんだというお話をされておりました。これが実態なんだというふうに思うんです。
 こんな中で、水田活用の直接支払交付金、五年のうちに水を張らなかったら対象から外すということになれば、私がお話聞いたこの長野県の信濃町というところでももう農業できなくなっちゃう、こういうことだと思うんです。やめるべきだというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(金子原二郎君) お答えいたします。
 水田活用の直接支払交付金につきましては、畑作物の生産が定着している農地は畑地化を促す一方、水田機能を有しつつ、麦、大豆等の転換、転換作物を生産する農地につきましては、水稲と転換作物とのブロックローテーションを促す観点から、現場の課題も検証しつつ、今後五年間に一度も水を張り、すなわち水稲の作付けが行われない農地につきましては交付の対象としない方針といたしております。
 このため、水田機能を維持している水田が令和四年度から直ちに本交付金の対象外となるわけではありません。今後五年の間に各地域において今後の産地形成をどのように図っていくのか検討していただき、その中で明らかになった現場の課題はその検証を行っていく考えであります。
 なお、水田における主食用米から他の作物への作付け転換を支援するという本交付金の趣旨を徹底するために行う今回の方針を撤回することは困難でありますので、どうぞ御理解をお願いいたします。

○武田良介君 そうおっしゃるんですけれども、どこに行っても、そもそももう農業続けられないという農家さんの声がいっぱいあるわけです。うちの畑も、あるいは田んぼも、あと五年か十年すればもうおしまいだと、そういう話でいっぱいです。そういう中でこの交付金カットするということになったら、それこそ心が折られるということだと思います。大臣、今答弁ありましたけれども、現実は、ソバを仮に作っても米を作っても赤字というのが実態であるわけです。
 この農家さんからお話聞きましたら、信濃町の農地は江戸時代の当時から小作人が田んぼにしにくいところも努力して田んぼにしてきたと、そういう農地がいっぱいあるところだと、だから、現在、転作するに当たっては、そうした元々この米作りには適していないようなところから転作始めているという、こういう話なんですね。
 こういう歴史あるいは経過、それを知らずにまた水張りをしろということは、現場を知らない農水省の発想なんじゃないかというふうに思えてならないというふうに思うんですが、大臣、この点、率直にいかがでしょう。

○国務大臣(金子原二郎君) 農林水産省としては、これまでも産地ごとの意見交換や全国会議を通じまして今回の方針を丁寧に説明するとともに、生産現場からの連日のお問合せや相談に対応しております。
 これまで産地ごとの意見交換を本省、農政局、支局合わせて約二千四百回以上行い、このうち百四十七回は本省が直接行っているほか、全都道府県の関係者五百名以上をウエブでつないだ全国会議を六回開催したところであります。

○武田良介君 いや、現場の声を踏まえてほしいということを言ったわけです。たくさんやっているという話をされても、それは違うと思うんですね。私、その先ほどの答弁聞いても、現場で検討してくださいと、今後ね、いう話なんですけれども、これまで農地荒らさないように、先祖代々受け継いできた農地を守らなきゃいけないというふうに努力をされてきた現場の農家さんの思いを乱暴に踏みにじっているのが今の実態だということを思うわけです。そのことを私は指摘をしています。
 元々、この交付金は、主食用米が過剰になって米価が下がったらいけないということで、水田を使ってほかの作物を作ってくれと、その場合には米なんかと遜色ないように交付金を使いましょうということでやってきた誘導策なわけなんですよね。であれば、農家の方が自己責任で対応するということじゃなくて、国がちゃんと成り立つように、農業経営成り立つように支援すべきだというふうに思うんです。
 大臣、もう一度、いかがですか。

○国務大臣(金子原二郎君) 水田活用の直接支払金につきましては、現場の課題を検証しつつ、今後五年間に一度も水稲の作付けが行われない農地を交付対象としない方針としておりまして、なかなかこれ、決めたことを廃止するということは非常に難しゅうございます。
 したがって、これは何回も皆さん方からも委員会で絶えず言われておりますが、国の方針として決定したわけでございまして、しかも、それすぐ廃止するんじゃなくて、五年間の様子を見ながらやるということでございますから、これからも現場の理解を得るように最大限の努力をしていくしかないというふうに私は思っております。どうぞよろしく御理解のほどを。

○武田良介君 いや、国の方針で決定しているから変えられないということになったら、農家の皆さん、これじゃもうやっていけないということに対して、もう現場見捨てるのと同じだと私は思うんですよ。そういう答弁でいいのかということを私は本当に思います。
 食料自給率についても伺います。
 今、地域歩きますと、どこでも、食料自給率今こそ高めるべきだという声、本当圧倒的になっていると思います。ウクライナ情勢も踏まえて、自国の食料は自国で賄うと、この大切さが国民的な実感になっているというふうに思うんです。
 しかし、岸田総理の施政方針演説では、食料自給率の向上について言及がありませんでした。それどころか、今の話のように、減反を進めて主食用米は減らしていく、さらに麦や大豆、牧草、こういった水田活用の直接支払交付金、これもカットすると。これは離農者増やすことになるんじゃないか、耕作放棄地増やすことになるんじゃないか、そして食料自給率も引き上げることにこれ逆行しているんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、どうですか。

○国務大臣(金子原二郎君) 米については十分な国境措置があり、価格変動は国内需給で決まる中で、恒常的に生産コスト割れを起こしているものではありませんが、価格が下落し農業収入が減少した場合には、ナラシ対策や収入保険という収入補填の制度があります。
 一方、主食用米の需要は減少傾向にある中、麦や大豆などの自給率が低い状況にあることから、食料自給率、自給力の向上を図るためにも、主食用米から麦や大豆などの需要のある作物へと転換、作付け転換を図ることが重要と考えております。
 このため、麦や大豆などにつきましては、生産に要する費用と販売による収入との差額を補填する畑作物の直接支払交付金、いわゆるゲタ対策のほか、麦、大豆の団地化や技術導入に対する支援の拡充、水田から畑地へと転換する場合の畑地化支援等を行っているところであり、これらを通じまして農家の所得向上及び食料自給率の向上を図ってまいりたいと思います。

○武田良介君 農業の再生産がいかにもできているかのような、それに足りるような支援されているようなお話なんだけれども、現実にはそうなっていないということを私は指摘をしているわけであります。実際には食料自給率も下がってきているわけであります。
 ですから、今、日本に求められているのは、その国土資源をもっとフルに活用をして、食料の増産、そこに踏み出すことだというふうに思うんです。そうであれば、農業経営の支援も強めなきゃいけないというふうに私は思います。例えば、アメリカやカナダ、EUなどでは支持価格で買入れをして援助や輸出に回すという支援も行っているということであります。その上に、更に農家の生産費を賄うように直接支払も行われているということなんですね。
 そうであれば、大臣に伺いますが、米価暴落、これに対しても、例えば日本でも政府による買入れで米価を回復すると、こういう対応も必要なんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(金子原二郎君) 米の当面の需給の安定に向けましては、昨年、二年産米を対象にした新型コロナの影響による需給減に対応した特別枠を創設したほか、令和三年度産米、三年産米を対象といたしまして、米穀周年供給・需要拡大支援事業の支援対象期間を五か月間前倒しいたしまして令和三年十一月から支援するように拡充いたしました。これらの対策を契機に、産地と卸売事業者等の出回りから本年三月までの三年産、三年産米の契約数量の累計は、対前年比三割程度増加しております。
 今後も需給の安定に向けた市場環境が整備されることが期待されるところであり、引き続き需給の動向について注視していくことといたしております。
 なお、米の価格変動等に伴う所得の減少に対しましてはナラシ対策や収入保険があり、当面の資金繰り対策として、農林漁業セーフティネット資金につきましては本年三月までに約四十五億円の融資が決定されているところであります。

○武田良介君 自治体では、昨年の米価暴落に対して十アール当たり二千円程度だとか、支援を行っているところたくさんあるわけなんです。先ほどナラシの話なんかありましたけれども、自治体からすれば、農地がこれ以上荒れていくという状況を黙って見ているわけにいかないということだと思うんですよ。だからこそ、必死になって自分たちにできることを取り組まれているんだというふうに思います。
 農家の実情を知り、そして農村の未来を考えるという立場に立ったら、支援がもっと必要になっているということだというふうに思います。国も真剣に農家、農村の未来を考えるべきだというふうに思います。
 大臣、最後にもう一言いかがですか。どうしてこの国と、ナラシの話はあるけれども、こんなに自治体と差があるんでしょう。

○国務大臣(金子原二郎君) 米の値段は需給のバランスによって相対的に決まるようになっていますので、我々がやった政策がだんだんじわじわと効いてきたように私は思っているんですよ。
 したがって、今後の推移を見守っていきたいというふうに思っております。

○武田良介君 農政の抜本的な転換を求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

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