国会質問

質問日:2022年 5月 10日  第208通常国会  国土交通委員会

国土交通委員会で、知床遊覧船問題を質問

5月10日、武田良介議員は国土交通委員会で、有限会社知床遊覧船の社長が兼務していた「安全統括管理者と運航管理者」の資格について、国交省が桂田氏から提出された書類の確認のみで認めていたのではないか、と追及しました(スタッフ)。

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 有限会社知床遊覧船が運航するKAZUⅠの事故から十七日経過をいたしました。現在までに十四人の方が亡くなられたと、確認をされたということであります。まだ十二名の方がいまだに行方不明というふうになっておられます。亡くなられた方に改めて哀悼の意を表したいというふうに思いますし、残る行方不明者の方の一刻も早い救出を求めたいというふうに思います。
 四月二十六日の当委員会で私は、事故原因の究明のためにも、知床遊覧船の事業許可申請書、そして事業計画、安全管理規程、そして国が発行した許可書の当委員会への提出を求めさせていただきました。昨日、私の手元にも届けていただきました。で、この資料を見ました。
 今回の事故について、知床遊覧船のずさんな安全管理、これが問題なのは当然だと思うんですけれども、同時に、国交省の対応、特別監査あるいは船舶検査、どのように行ってきたのかということについてもしっかり検証しなければいけないというふうに思います。
 資料の一を付けました。これは、知床遊覧船の安全管理規程の最後に添付されている別表の非常連絡表というものであります。赤線引いておきましたけれども、知床遊覧船の桂田社長が安全統括管理者と運航管理者を兼務することになっております。安全統括管理者、で、この運航管理者、海上運送法に基づいて選任することが義務付けられている者でありますけれども、航路事業の安全に関する業務の経験が三年以上ある者、船長として三年又は甲板部の職員として五年以上乗り組んだ経験がある者、運航管理の三年以上の実務経験がある者など、こういったことが施行規則で定められているということです。
 しかし、この桂田氏は元々宿泊施設の経営者であります。二〇一七年四月七日に役員等の変更を届け出て、そして知床遊覧船の社長に就任をした。海については素人という方であります。
 桂田氏は本当に安全統括管理者、運航管理者として登録されているのか、就任した日付について説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(高橋一郎君) お答え申し上げます。
 海上運送法に基づき、旅客不定期航路事業者は、委員御指摘の安全統括管理者並びに運航管理者を選任し、国土交通省に届出を行うこととされております。義務がございます。
 御指摘の有限会社知床遊覧船の桂田社長につきましては、令和三年三月二十六日付けで同社から安全統括管理者並びに運航管理者への選任届出が北海道運輸局に提出され、届出の受理を行っておるところでございます。

○武田良介君 昨年三月二十六日に就任しているということですけれども、桂田社長は施行規則にあるこの要件満たしているかについて、国交省は確認したんでしょうか。

○政府参考人(高橋一郎君) お答えを申し上げます。
 有限会社知床遊覧船の場合、運航管理者の資格要件は、海上運送法施行規則におきまして、事業に使用する旅客船と同等以上の総トン数を有する旅客船に船長として三年以上又は甲板部職員として五年以上乗り組んだ経験、あるいは、同等以上の規模の事業における船舶の運航管理に関して三年以上の実務経験、あるいは、上記と同等以上の能力を有すると地方運輸局が認める場合のうち、いずれかの要件を満たしていることを必要としております。
 委員御指摘の桂田氏につきましては、運航管理に関して三年以上の実務経験に該当する旨が同社より届出がなされております。この要件に適合していたか否かにつきまして、北海道運輸局では届出書類により確認したものと報告を受けてございます。

○武田良介君 実務経験三年というところで申請されたということです。
 資料の二も付けておきました。ちょっと確認させていただきたいと思うんですが、これ、事業許可申請時の書類なんですけれども、これ見て分かりますように、運航管理者を登録する際には、職歴、乗船履歴、受有海技資格を記載することになっているわけでありますけれども、確認だけです、確認だけ。先ほど紹介したこの施行規則にあるこの要件、安全統括管理者、運航管理者の要件、この資料にある項目と同じであるという理解でいいんでしょうか。

○政府参考人(高橋一郎君) 委員御指摘のこの資料の二は、今回の船長ではございませんで、許可を出したときのほかの方でございますが、委員御指摘の今の御質問についてお答えを申し上げますと、施行規則上の要件は、先ほど私が読ませていただきました三点のいずれかに該当しているということを必要としてございます。ここにございます乗船履歴、受有海技資格は必ずしも、先ほどの要件において必ずしも必要とされてないということでございます。

○武田良介君 必ずしもではないということでありましたけれども。
 これが、この資料の二が、桂田社長になって変更が届出をされたと。安全統括管理者、運航管理者として登録されたのが昨年の二〇二一年三月二十六日という答弁ありました。
 もう一度確認しますけれども、桂田氏の乗船履歴、受有海技資格はどうなっているのかということについて、これは届出を確認した上で認めたのかということでよろしいですか。

○政府参考人(高橋一郎君) お答えを申し上げます。重ねてのお答えで申し訳ございません。
 届出を受けました北海道運輸局におきましては、先ほど、繰り返しは避けますけれども、海上運送法施行規則におきまして課されている三つの要件、これのうちいずれかを満たしていることを届出書類により確認したものでございます。
 先ほど委員御指摘の乗船履歴とか受有海技資格は必ずしも要求をされているものでございませんので、先ほど申し上げましたとおり、海上運送法施行規則におけます要件、具体的には、同等以上の規模の事業における船舶の運航管理に関して三年以上の実務経験を有するという旨の当該会社からの証明、運航管理者資格証明書と申しますが、今私が読ませていただいたことに該当するという旨の証明書が出されており、それを書面において確認したということでございます。

○武田良介君 同等の船舶の運航管理について実務経験三年ということなんですね。それが申請をされた、運航管理申請書類で申請をされたということでありました。
 委員長にこれもお取り計らいをお願いしたいと思うんですけれども、今説明のあったこの書類、これについて、当委員会への、桂田社長のものですね、これについて提出を求めたいというふうに思います。

○委員長(斎藤嘉隆君) 後刻理事会で協議いたします。

○武田良介君 こういった安全統括管理者あるいは運航管理者、こういったことが、本当に適切な人物なのかと、先ほど来の話を私も聞いておりましたけれども、書類に対して、北海道運輸局が書類で確認したという話なんですよね。ですから、私、実態が大丈夫なのかと、桂田社長がその責任を果たせる人物なのかどうなのか、虚偽がないのか、その記載内容の裏を取るようなしっかりとした検査が必要になっているということを私は思うわけであります。
 KAZUⅠの通信手段についても、携帯電話がエリア外であることが分かっていながら、船長がつながると言えば、実際につながるのかどうか確認をしないまま、船舶安全法に基づく中間検査で認めてしまっているわけであります。
 事業者から提出された書類を確認するだけではなくて、船舶の安全に関わる事項については事実関係を確認する、記載内容の裏取るような仕組みに変えるべきではないかというふうに思いますけれども、大臣、この点はいかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、二点御指摘があったかと思います。
 まず、安全管理規程についてでございますが、海上運送法においては、運航事業者は、輸送の安全を確保するために遵守すべき内容を定めた安全管理規程を作成し、国土交通大臣に届け出ることとなっております。
 国土交通省では、届出された安全管理規程について、海上運送法等の関係法令に適合し、安全確保の観点で適切な内容であるかを確認しており、適合していないと認めるときは、当該規程を変更すべきことを命ずることができることとなっております。
 それから、運航管理者の点についてもお話がございました。
 海上運送法では、運航事業者は、輸送の安全を確保するために、船舶の運航の管理を行う運航管理者として、船舶の運航の管理に関する三年以上の実務経験を有することなど一定の要件を備える者を選任し、国土交通大臣に届け出ることとなっております。
 運航管理者として要件を備える者を選任しなかった場合や虚偽の届出をした場合には罰則の適用があることから、適切に運航管理者が選任されることが担保される仕組みとなっていると考えています。
 国土交通省としましては、明日、第一回を開催する知床遊覧船事故対策検討委員会において、運航管理者の資質の確保も含めて議論し、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

○武田良介君 えっ、つまり、国交省としては、この桂田社長がその運航管理者として十分な能力、経験有しているというふうに現在捉えているということじゃないですか。

○政府参考人(高橋一郎君) 現在、委員御指摘の桂田社長が施行規則で要求されております基準を満たしているかどうか、運航管理補助を行っていたと本人が申告しているような勤務実態があるかどうか、この法体系におけます要件を満たしていたかどうかにつきましては、現在実行している特別監査において確認中でございます。

○武田良介君 罰則あるから大丈夫なんだというような答弁されたけれども、実際にこういう事故起こっているわけなんですね。それでそういう答弁でよろしいんでしょうかということを私は思うわけであります。
 事故を起こした知床地区ですけれども、毎年のように実は事故が発生をしております。二〇一七年から二一年までに発生した事故の概要、国交省の対応について、資料の三にまとめさせていただきました。
 これらの事故は公表しているのかということを聞きましたら、行政処分した事故については公表しているんだけれども、指導にとどまった事故については個別の公表はしてないと、年に一回、海上輸送の安全にかかわる情報、これに掲載をしているということなんですね。
 しかし、指導にとどまったこの情報、今言いましたかかわる情報、これ見ると、事故を起こした事業者の名前だとか事故が発生した航路などの記載はないわけなんです。空港ですとか、ああ、違う、航空分野ですとか鉄道については行政指導についても公表しているものもあるわけであります。船舶についても同様の扱いにすべきではないかというふうに思いますが、大臣、この点いかがでしょうか。率直にお考えを伺いたい。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) この点につきましても、今回の事故の検証の中で、検証し、今回検証し、新しい安全管理の在り方について検討してまいります。その検討委員会で検討してまいります。その対象になると思っております。

○武田良介君 検討委員会でとおっしゃるんですけれども、私も同じ思いです。国交省の体質という問題がやっぱりあるんじゃないかと思うんですね。何でも検証委員会でやればいいと、あっ、検討委員会か、今回は、ということでやればいいということだけじゃないと思うんですね。自ら、誤り、不十分な点があったのであれば、あったということをはっきりさせることがやっぱり必要だというふうに思います。
 最後に、あの知床遊覧船のような適格性に疑問が出るような事業者がこの事業に参入をしているということなんですけれども、私、昨年も質問させていただきましたが、軽井沢のスキーバス事故をやっぱり思い出しました。あのときにも、事業の需給調整規制を撤廃して免許制から許可制に規制緩和をしたということを指摘をさせていただきました。そして、悪質な事業者が参入してきたと。一九九九年には海上運送法が改正をされて、このときにも貸切りバスと同様について需給調整規制を撤廃しているということになっております。
 事業そのもの、元々、正確に言うと旅客不定期航路事業、これは元々許可制だったわけですけれども、運賃については認可制から届け制に緩和をしたということもあったわけであります。事業に参入しやすくして運賃を安く設定できることで事業者間の競争が激化をすると。ここにも安全よりももうけを優先する事業者の参入を許す土壌がつくられたのではないかというふうに思っております。
 この点、最後に大臣、所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) お尋ねのありました全国の国内旅客船事業の参入状況ですけれども、事業者の数は横ばい傾向にありまして、一九九九年の海上運送法の改正の前後で特段の変化は見られず、規制緩和を行った結果、安全を優先しない事業者の参入が相次ぎ競争が激化したとは考えておりません。しかしながら、輸送を行う事業にとって、安全の確保が最も重要です。
 国土交通省では今回、知床遊覧船事故対策検討委員会を設置して、今回のような痛ましい事故が二度と起こらぬよう、小型船舶を使用する旅客輸送の安全対策について法的規制の在り方も含めて総合的に検討することとしております。当該委員会で精力的に議論を行い、具体の施策にしっかりと反映させ、輸送の安全性を高めてまいります。

○委員長(斎藤嘉隆君) 武田君、時間が来ております。

○武田良介君 犠牲者が出てからでは遅いということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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