国会質問

質問日:2022年 5月 19日  第208通常国会  国土交通委員会

国土交通委員会で、盛り土等規制法案について2度目の対政府質疑

19日、武田議員は国土交通委員会で、盛り土等規制法案について、2度目の対政府質疑を行いました。政府による中間処理業者の実態把握などについて政府をただしました(スタッフ)。

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 盛土規制法は、衆議院での修正を経て、参議院に送られてまいりました。参議院の本会議、そして委員会質疑、参考人質疑、深められてきたというふうに思いますし、盛土の問題の背景、構造、大分明らかになってきたのではないかというふうに思っております。
 仮置場が抜け穴にならないかと長峯委員からも先日、質問がありました。そのとおりだと思っておりまして、問題はやはり民間工事だろうと。仮置場、私は民間中間処理場というふうに言わせていただきたいと思いますけれども、先日の高橋参考人が述べられたように、焦点を当てるべきは、首都圏など都市部の建設現場から出る建設発生土、それが運び込まれる都市部近郊の民間中間処理場なんだろうというふうに思いますし、元請業者が施工中に管理するそのいわゆるストックヤードみたいなものとは違って、元請業者とは別の民間業者が運営する民間中間処理場、ここに焦点を当てる必要があるんだろうというふうに思っております。
 実態把握についてということであります。
 大臣、本会議において、中間処理場に搬入された建設発生土の適正な処理を担保することは重要であると認識しており、本法案による厳格な出口規制と併せて、中間処理場の管理運営の更なる実態把握に努め、必要な対策を講じていくという答弁でありました。つまり、本法案を施行することで分かってくる実態もあって、併せて実態調査も行っていくということだというふうに思います。
 まず確認をさせていただきたいと思いますが、今回の法案で分かってくる実態、法案のどの規定によって何が明らかになってくるということなんでしょうか。

○政府参考人(宇野善昌君) お答え申し上げます。
 五月十一日に、五月十一日の参議院本会議において、大臣から、本法案による厳格な出口と併せて、出口規制と併せて中間処理場の管理運営の更なる実態把握に努める旨答弁したところです。ここでの厳格な出口規制とは、本法案による特定の条項を指すものではなく、本法案全体として建設発生土等の言わば出口としての盛土について、全国一律の安全基準により包括的に規制する法制度であることを指しております。

○武田良介君 例えば、許可が必要になります、区域によってあれですけれども、許可が必要になります中間検査、完了検査があります。こういったことから実態把握していくということではないんですか。

○政府参考人(宇野善昌君) いわゆる中間処理場も、この法律で言う土石の堆積に該当します。そういう意味では、この規制区域の中であれば本法案に基づく許可を取っていただく。それによって定期報告する義務が発生しますが、そこについては安全という観点から報告をしていただくと、そういう情報は把握することになります。

○武田良介君 では、法案でつかみ切れない実態の部分ですね。答弁で、併せて、中間処理場の管理運営の更なる実態把握ということがありましたが、これはどのように調査をし、何を明らかにするつもりなのか、ここは大臣に伺いたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 中間処理業者の実態把握については、これまでは主に建設業者を通じて聞き取り等を行ってきたところですが、今後は更なる実態把握のため、自治体がリストアップしているストックヤード事業者や土質改良プラント事業者、それから建設発生土に関わる事業者団体やその加盟事業者等に対しても土砂の搬出、搬入の管理や記録の状況、土砂の保管状況等の管理運営の実態等についてアンケートやヒアリングを行うことを考えております。

○武田良介君 アンケートやヒアリング、現場に行くことも大事だと思うんですね。先日の参考人質疑で、高橋参考人が実態をつかむ上で協力させていただくということでありました。一緒に現場見に行っていただけたらと思いますが、大臣、どうですか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) チャンスを捉えて見に行ってみたいと思います、はい。

○武田良介君 是非、実態把握が不十分だったというふうにならないように、大臣自ら実態をよくつかんでいただきたいというふうに思っております。
 実態への対応ということですけれども、この間の質疑振り返りますと、そのガイドラインの策定という話がたくさん出てまいります。幾つもあったんですけれども、そのうち元請業者から下請業者等に適正処理を確保するための費用を支払うようにガイドラインを改定する、あるいは大規模建設工事を発注している民間発注者は、公共工事と同様に指定利用等を行うなどの旨をガイドラインで明確化する、こういう答弁がありました。
 この二つの答弁ですけれども、このガイドラインというのはいつ頃、どんな内容で出すことになるんでしょうか。

○政府参考人(長橋和久君) 今二つのガイドラインの御指摘がありました。それで、前半の方の元下間の支払のところは、従来からこの盛土の費用にかかわらず、元下間の支払をきちっとやれということは法令遵守のガイドラインというのを作っておりまして、それの中に改めてこの盛土、土の残土の処分の費用とかもきちっと支払ができるようにということを位置付けていきたいと思ってございます。それはなるべく速やかにまた改定したいと思っております。
 それと、後段、二点目御指摘ございましたところは、建設副産物適正処理推進要綱という、リサイクル、この建設発生土の処理に関わるガイドラインでございまして、具体的な記述はこれから、検討中でございますけれども、委員の御指摘のあったように、民間の発注者についても、適正処理について関心持って必要な費用を適切に負担するようなことが求められているということと、あと、契約締結後においても適切な費用負担、あるいは予期せぬ費用増が生じた場合には追加負担について受注者と適切に協議することと、特に民間の発注者の中でも継続的に大規模な建設工事を発注している民間発注者については、公共工事の発注者と同様に、工事の発注段階で建設発生土の搬出先を指定する取組を実施すべきであることといった点についてガイドラインにおいて明確化してまいりたいと思いますし、その改定の時期については、今のこの国会の御審議を踏まえて可能な限り早期に改定してまいりたいと思っております。

○武田良介君 適正単価、あるいはその大規模工事を行う事業者の責任、これ非常に重要だというふうに思っておりますので、そのガイドラインもこれからも注視していきたいというふうに思っております。
 建設発生土のトレーサビリティーを求めました。その質問に対して大臣の答弁の中で、元請業者に搬出先が適正であることを事前に確認させること、実際にそこに搬出されたことを受領証等で確認させる仕組みの構築ということがありました。この受領証についてもガイドラインを設けることになるんでしょうか。

○政府参考人(長橋和久君) ガイドラインの中で明記していきたいと思ってございますし、資源有効利用計画の制度の中できちっと受領証を添付するということを明確に位置付けていきたいと考えております。

○武田良介君 今出ている省令などだけではなくて、新たにガイドラインを作るということですか。

○政府参考人(長橋和久君) 省令の中に添付書類として明確に位置付けていきたいと考えております。

○武田良介君 資源有効利用促進法の話ですよね。そうすると、これはあくまでこの建設工事において再生資源を使ってくださいということでありますから、この枠組みの中で受領証を付けても全ての建設発生土について受領証で確認できるわけではないんじゃないかというふうに思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

○政府参考人(長橋和久君) 委員御指摘があったように、再利用するという点と併せて処分するときの処分先について計画上明記することになってございますが、それを今回、受領証を付けて、確かにそこに持っていったという証拠を付けて、計画書に添付しようとしております。
 ただ、一方で、先ほども御指摘ありましたように、中間処理場に搬出されるような場合については、その時点でその先の処分先が明確になっていないようなこともあるものですから、中間処理場に搬出する場合であってもその先の再利用や最終処分が適正になされることが大事だと、重要だと認識しておりますので、先ほど大臣からも実態調査の話ございましたけれども、民間の中間処理場も含めて実態を把握して、その処分場の土砂の管理とか記録の状況とかを踏まえて、その再利用、処理場に持っていった後の再利用又は最終処分の状況が確認することが可能であるかどうかといった点もよく分析しまして、元請業者が安心して搬出場を選定することができる一つ情報を提供するようなことも考えて、これから実態調査を踏まえてよく検討していきたいと考えております。

○武田良介君 実態調査踏まえてということなんですけど、中間処理場からそれは再生利用されるんだったらいいですよ。そうじゃないものがたくさんあるから熱海のことになっている、全国で問題になっているわけでありまして、ここに受領証だけ付けても全て明らかにならないということを私は指摘をしたいというふうに思いますし、そもそも受領証という書類だけで本当に実態を把握できるのかということも私、疑問に思っております。
 例えば、今日も話題出ていましたけれども、知床遊覧船の問題。先日も私が求めました運航管理者の変更届ですけれども、あれも書類を確認して、実際に、実際に船の経験があるのか、そうした技能がある方なのか、確認をしているわけではない、書類で確認しているだけなわけですね。だから、実際に適切かどうか確認しなければいけないんだと思うんです。
 建設発生土についても受領証を確認するだけでいいのか。まして、先日、高橋参考人からは、その条例を持っている自治体では、発生元証明のある業者に電話掛けて確認するようにしたら、その業者が発生元証明出さなくなっちゃったという事例があるんだということを指摘をされておりました。
 大臣に伺いたいと思うんです。これ、受領証で確認するというだけでは実態が把握できないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、議論が、長橋局長からさせていただきましたように、いろいろな課題がございます。その課題をしっかり検討しながら、どうすればトレーサビリティーの精度を向上させていけるか考えたいと思います。
 先ほどもちょっと答弁させていただきましたが、いろいろな今試行をしております。例えば、スマホの、搬出するとき、また搬入したときにそれぞれカードをスマホにかざすことによって記録していく、そういうことによってトレーサビリティーを向上させていくというような試行も今しているところでございまして、これらを通してこのトレーサビリティー性の向上に努めていきたいと思っています。

○武田良介君 書類だけでは実態つかめないんじゃないかというふうに伺わせていただいたんですが、そのことについては御答弁いただけませんでしたが。
 もちろん、再生利用するとか資源の有効活用と、きれいに回っているうちはそれでいいと思うんですよ。そこから漏れるものがあるから今問題になっているのであって、どうやってそこをつかんでいくのかということの課題は引き続きまだあるんだということを重ねて指摘をさせていただかなければなりません。
 発生者に最終処分まで責任を持たせるということについて私も先日質問させていただき、土が中間処理場で混ざってしまうこと、あるいは長期間にわたって管理しなければいけなくなる、だから過度な負担になるという答弁がありましたが、先日の参考人質疑で、いや、その中間処理場の中で土を区分して堆積することを業者に義務付ければ混ざることなく管理はできるんだという、こういう指摘もありました。
 改めて大臣に伺いたいと思いますけど、混ざらないように管理させるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今の御質問の御趣旨は、発生者に最終的に最終処分までの責任を持たせるべきではないかと、そういう趣旨の質問かと承りました。
 建設工事の発注者は個人の施主も含めて様々であることから、建設発生土については、専門的知識を持ち、建設工事の施工全体に責任を持つ元請業者に対して搬出先の適正確保を図るための責任を負わせることが適切と考えております。このため、元請業者による搬出先の適正化等を図るため、本法案による規制と併せて、資源有効利用促進法に基づく再生資源利用促進計画制度を強化していることとしており、元請業者に対して搬出先が適正であることの事前確認や受領書等による搬出先の事後確認等を義務付けることを検討しております。
 一方、発注者も、建設工事の注文者として自らの工事から生じる建設発生土の適正処理に関心を持ち、適正な費用負担を行う必要があります。さらに、発注者が行政である公共工事については指定利用等を原則、原則実施していくとともに、民間工事についても、継続的に大規模な建設工事を発注している民間発注者は公共工事と同様に指定利用等を行うなど、より積極的な役割を果たすことが求められると考えており、この旨をガイドライン等で明確化し、様々な機会を捉えて周知することとしております。
 これらの取組、それから今、先ほど申し上げましたいろいろな試行をしております。それらの実用化等を図りながら建設発生土の適正処理の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

○武田良介君 もう一つの理由に挙げられていた長期間の管理という話ですけれども、これについても高橋参考人から現場の実態指摘されました。処分費用を受け取って建設発生土を受け取っていると、中間処理業者はですね。それより安いいわゆる捨て賃で処分業者に処分を依頼するということから、どんどん受け入れどんどん出さなかったら利益にならないから長期間にならないんだというお話もありました。私これ、現場を踏まえた非常に説得力のある話だというふうに思います。長期間にならないのであれば過度な負担でもないということでありますから、発生者の責任、もちろん元請の責任、明確にする必要があるというふうに思います。
 区域指定だとか建設発生土の管理の実態を踏まえて更に検討していく必要性を指摘して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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