武田良介議員は、5月25日、国土交通委員会で、愛知県の明治用水頭首工における漏水問題と、金沢市の発電事業の民間譲渡の適法性について質問しました(スタッフ)。
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
愛知県の矢作川で、農業用水、工業用水それから上水道などの用水を取水している明治用水頭首工におきまして大規模な漏水が発生した問題について伺いたいというふうに思います。
五月十五日に現地で漏水が確認をされたと。そして、農業用水、工業用水、この取水量が大幅に減少しているということであります。
まず、現在、農水省が農業用水確保のために取られている手だて、そして、今後の供給再開に向けた準備作業、試験通水というお話もございます。これについて御説明をいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(川合規史君) お答えを申し上げます。
明治用水頭首工の漏水を受けまして、現在、まず、十五日に漏水が確認をされましたけれども、直ちに河川管理者である国土交通省へ連絡するとともに、翌十六日には頭首工上流の吸い込みの位置を特定いたしまして、砕石の投入など緊急対策に着手をいたしました。しかしながら、十七日に上流の水位が低下をいたしまして取水が困難になりましたことから、同日、東海農政局の方に緊急対策本部を設置いたしますとともに、緊急的に取水を行うためのポンプの設置を開始いたしました。そして、同日夜から段階的に取水を再開いたしております。
現在、農業用水の早期の通水の再開に向けまして、取水口におけるポンプの増設を鋭意進めております。農地へ給水する末端パイプライン網への注水作業も進めているところでございまして、この作業を早急に進め、五月中を目途に最低限必要な水量を供給できるよう対応を急いでいるところでございます。
○武田良介君 五月中に達成しようとしているというのも最低限欲しいと言われているものに対してでありますから、実際にはまだまだ用水を必要としている状況があるんだろうというふうに思います。
今資料を配付させていただきましたけれども、実は、矢作川では既に昨年末から年始にかけて漏水が確認をされていたということであります。資料の二の二を見ていただきますと、経過についての表が出ております。
二〇二二年一月の七日、左岸の魚道張りコンクリートとエプロン擁壁のジョイント部分で幅三センチ、長さ五十センチの吸い込み口が発見をされたと。そこで、一月十一日、水中パテという作業で、水中でも固まる素材で穴を塞いだということですけれども、下流湧水量に変化がなかったと。そこで、農水省東海農政局から国交省中部地方整備局に対して、二月二十一日に河川法二十四条及び二十六条に基づいて湧水対策計画の届出書が出されています。これが資料の二の一、二、三と三つ付いておりますけれども、資料の二でございます。
国交省に伺いたいというふうに思います。
この届出書が出されて、実際の工事は三月に行われたというふうにお聞きをしましたけれども、届出によって行われた三月の工事、これどういう内容なのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(井上智夫君) 明治用水頭首工については、平成二十七年八月から令和七年度までの予定で、設置者である農林水産省東海農政局によって大規模地震に対する耐震化対策工事が進められています。
頭首工の下流部左岸側で湧水の発生が確認されたため、東海農政局より国土交通省中部地方整備局豊橋河川事務所に対して令和四年二月に湧水対策計画の届出があり、令和四年三月より工事が実施されています。
その工事の内容は、東海農政局より届出があった工事計画書によると、頭首工の下部に存在すると推定される水の通り道を閉塞するため、水の通り道に薬液を注入して充填するものです。
○武田良介君 この計画に基づいてその充填を行ったということなんですけれども、その結果や効果について、農水省の方は、現在現場対応を優先しているということを言われまして、まだ明らかにされておりませんけれども、今後の対応にも関わりますので、引き続き明らかにすべき問題であろうというふうに思っております。
そして、資料の一を付けさせていただきました。
これ、農水省が、今回の五月ですね、大規模漏水が起こった現場の説明をと求めたものに対して提出いただいた資料であります。
赤い字で書いてあるのは一月に確認された事象や対応ということになっております。そして、濃い青で書かれておりますのが、今回、五月十六日とありますけれども、確認された流入箇所、湧出箇所であります。これ、一見して分かりますけれども、ほとんど同じ場所で起こっているということだと思うんです。ですから、一月の水中パテという対応、それから三月に行ったと言われる充填作業においても、水の流れを止めることは十分にできずにその水みちが拡大をして、今回の大規模な漏水に発展してしまったんじゃないかというふうに思っております。
この点について国交省に見解を伺いたいと思いますけれども、現地で技術的な助言を行うというふうに言われております。専門家も派遣をされている。私はそういうふうに思うんですけれども、大規模な漏水に一月、三月の事象から発展してしまったのではないかというふうに思いますけれども、見解はいかがでしょうか。
○政府参考人(井上智夫君) 現在、取水障害を解消するため、施設の設置者である農林水産省東海農政局により応急対策が進められているとともに、本格的な復旧の内容や方策が検討されているものと承知しています。また、今後、漏水の原因の究明や再発防止策の検討がなされるものと承知しています。
国土交通省としても、早期に取水障害が解消されるよう、農林水産省が行う現地調査に国土技術政策総合研究所等の専門家を派遣するとともに、復旧に関する具体的な工法への技術的な助言を行うなどの支援をしております。
○武田良介君 支援をしておりますと、分析中ですと、検証中ですということなんだけれども、私は、この水みちがあったとか湧水があったことに対して、一月に行われた対応、三月の対応、それがどの程度効果があったかということを検証していくというのは今後の重要な課題の一つになるというふうに思っておりますので、重ねて指摘をしておきたいというふうに思います。
農業への被害が心配をされます。私も声を伺ってまいりましたけれども、例えば、中日新聞も、連日農業に対する影響を懸念する声を伝えております。
五月の二十二日付け見ましたら、乾燥した田んぼの写真とともに、ともかく用水の水が来ないと始まらぬと、収穫期まで安定して水が来ないと意味がないと、こういう声を伝えているわけであります。一度水が切れた田んぼは通常より多くの水が必要だと。しかし、田んぼがあるのは明治用水の最下流部の方であって、その水なかなか下りてこないだろうと、苗は五月いっぱいでもう駄目になるんじゃないかと、こういう声も紹介されているわけであります。
今日は副大臣にも来ていただきました。
頭首工は農水省のものであります。先ほどの一月、三月の対策工事、これやってきたのも農水省ということであります。農家の皆さんの被害を補償するということは、私、政府、そして農水省挙げて、もう臨時の、特別の手だてを取って行うべきではないかというふうに思うんです。農家の皆さんは規模の大小だとかいろいろあります。米はもちろんですけれども、柿だとか梨だとか、そういったものもあります。そういう別を問わずしっかりと補償していくと、そういうメッセージを農家の皆さんに発していただきたいというふうに思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○副大臣(中村裕之君) お答え申し上げます。
農業用水の供給停止が続くことによりまして、農作物の収穫量や収入の減少につながらないように、まずは復旧に向けて全力で対応していきます。
その上で、農業共済におきましては、水不足による干害、干上がる害、干害も共済事故の一つとして、収穫量の減少があった場合に共済金を支払う対象としております。また、収入保険においては収入が減少した場合に保険金を支払う対象としておりますので、こうした対応をしていくということで農家の皆さんに安心してもらえればと思います。
○武田良介君 共済だとか収入保険、それはもちろん存じております。ただ、それだけではなくて、特別の手だてがないと農家の皆さん見通しが付かないと、やっぱりそういうことが必要なのではないかということを私は指摘をさせていただきたいと思うんです。副大臣、もう一言、いかがでしょうか。
○副大臣(中村裕之君) まだこれ復旧途上でありますし、影響もまだ明確になっていない状況でありますので、今後その推移を見ながら判断してまいりたいと思います。
○武田良介君 被害の額が幾らになるというだけの話ではなくて、やはり今回の事象というのはこれまでにこんな大規模なものは例がないというふうにもお聞きをしております。初めての対応になってくる。で、災害なのかといえば、自然災害というのともまたちょっと毛色も違ってくる。やっぱり政府が、農水省が臨時に特別の手だてを取っていくと、農家の皆さん救済すると、これをきっかけに、今様々な物価高騰なども含めて大変農家の皆さん苦境にあるわけですから、これによって離農するようなことがないように対応いただきたいということは重ねて求めておきたいというふうに思います。
ちょっと時間の関係が来ておりますので次のテーマに行かせていただきたいというふうに思います。
テーマ変わりまして、金沢市が運営をしてきた発電事業の民間譲渡の法的問題であります。
この金沢市が百年間にわたって運営してきた五つの発電所を、今年四月の一日、ガス事業とともに金沢エナジー株式会社に譲渡をいたしました。この譲渡については、黒字経営で来ていたのになぜ市民の宝を民間に譲渡するのかと、市民の疑問と怒りの声とともに、法的には問題がないのかという声があります。
発電所を設置している河川は石川県が河川管理者になっておりまして、金沢市は県に対して河川法第二十四条に基づいて占用許可を取っていました。ところが、そこには河川法第二十六条に基づく許可を得ないで設置されている工作物が十三あるということが分かったわけです。そこで県は、市に対して、工作物の図面や写真の提出を求めて、河川管理上の安全性を確認したとして存置を認めたということに現場でなっております。
これ、市民の皆さんの疑問は、河川法第二十六条に基づく許可を得ないで設置された工作物が、その後、県が安全性を確認をした、そして存置を認めた、これによって違法状態は解消されたのかということであります。現在、これらの工作物の河川法第二十六条違反の状態は解消されたと見ることができるのか、できるというのであればその法的根拠も併せて示していただきたいと思います。
○政府参考人(井上智夫君) 河川法第二十六条の許可を得ず工作分の設置を行うことは法に反する行為であり、不適切であると考えております。このような行為を把握した場合は、河川管理者は、その工作物が公益性を有しているかどうか、さらに、河川管理上支障があるかどうかを適切に判断した上で、必要に応じ河川法第七十五条により除却を求めたり、河川法第七十七条により是正を指示するなどの対応を行っております。ただし、公益性を有し、河川管理上支障のないものについては、厳重に注意を行った上で存置を認めているところです。
なお、河川法第二十六条は、工作物の設置をこれから行おうとする場合の手続を定めたものであり、現状について違反しているかどうかを判断するものではありません。
○武田良介君 ちょっと今の答弁、本当にちょっとどう捉えたらいいのか。
もう一回聞きます。
二十六条違反、確かに言われたように、事前に工作物を設置する、そのことに対する許可ですよね。それを得ないでやられていた。だから、その違反という事実は、私、解消されていないんじゃないかと、これが市民の皆さんの疑問だと思うんです。
二十六条違反の状態は解消されたと見ることができるのか、この一点だけでお答えいただきたい。
○政府参考人(井上智夫君) 先ほども申しましたように、二十六条は新たに設置するときにそれが適切かどうかを判断するという条文です。
先ほど言われたように、二十六条の許可を得ずやってきましたので、何か問題があれば七十七条によって監督処分をしますけれども、今の現時点では河川管理者が確認して公益上も支障がない、あるいは河川管理上も支障がないということで存置を認めているということです。
○武田良介君 存置を認めているじゃなくて、解消されたのかどうか。
○政府参考人(井上智夫君) 二十六条を、解消するとかそういう問題で二十六条は決められているものではありませんので、我々、河川法上は今の問題が支障があるかどうかという判断で、支障があれば監督処分をするということです。支障がないということで捉えております。二十六条は、その解消するか、状態が解消するかどうかを判断するものではありませんので。ありません。
○武田良介君 河川法上、問題ないということですか。
○政府参考人(井上智夫君) ええ、河川法上、問題はございません。
○武田良介君 驚きました。ちょっと引き続き議論をしなければならないというふうに思っておりますので、時間が来ましたので今日は終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。