6月2日、武田良介議員は国土交通委員会で、航空法に関連した脱炭素の取り組みや、石川県金沢市における河川法の許可を得ずに設置した工作物の問題について質問しました(スタッフ)。
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
法案に入ります前に、五月二十四日の当委員会で、金沢市の発電事業民間譲渡の問題についてただしました。井上局長は、金沢市が河川法第二十六条の許可を得ずに設置した工作物について、法違反の状態は解消されたのかという私の質問にはお答えにならず、二十六条は状態を解消するかどうかを判断するものではないと、論点をそらされる答弁をされました。
改めて伺いたいと思います。
二十六条による事前許可なしに工作物が設置されたという事実は違法であって、現在も違法に設置された工作物があることに変わりはないということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(井上智夫君) 金沢市が河川法第二十六条の許可を得ずに工作物の設置を行ったことは法に反する行為であり、不適切であると考えております。
しかしながら、河川管理者である石川県は、当該工作物を把握した後に、金沢市に対して図面や写真などの資料の提出を求め、河川管理上の支障がないことを確認し、存置を認めたと聞いております。当該工作物については、河川法第七十五条の除却等を命じる必要がなく、治水、適正な利用、環境保全を図るという河川法の目的に照らして、問題ない状態であると考えております。
○武田良介君 違法であるということは確認をいたしました。
石川県が存置を認めたという措置について伺いたいというふうに思います。
資料一をお配りしましたけれども、元々この措置は、二〇〇六年の十月に中国電力俣野川発電所の土用ダムの測定値改ざん問題を契機として、国交省が十電力会社に対して、違反のおそれのある事実を含め、すべからく精査する自己点検を求めたと。そこで明らかになった不適切事案への対応として行ったものということであります。
河川法第二十六条第一項の許可を得ずに工作物の改築を行った者については、重大な違反があったものは河川法第七十五条に基づく命令を発すると、それ以外のものについては河川法第七十八条、あっ、私さっき七十五条と言いましたよね、七十五条、それ以外のものについては河川法第七十八条第一項に基づき、今後の適正な管理に必要な報告の徴収を行うというふうにされまして、具体的には現況の図面、写真等の提出を求め、引き続き精査を進めつつ、施設の安全性に問題ないものについては厳重注意とするというふうにされたということであります。
ところが、石川県は、これ重大な事案ではないというふうに判断をし、これ、資料の二にありますように、河川法第七十八条に基づく報告の徴収は行っていないというふうにしております。行政指導で安全性を確認したということでありました。なぜ、行政指導による安全性の確認のみで、違法な工作物を存置しているのか、それが許されるという法的根拠は何でしょうか。
○政府参考人(井上智夫君) 本件は、金沢市が河川法第二十六条の許可を受けて設置した発電施設に追加的に河川の監視カメラや転落防止柵等を河川法第二十六条の許可を受けずに設置したものです。河川管理者である石川県は、このような把握を、実態を把握したため、水利使用許可を受けている金沢市にその状況の報告を求め、除却等の命令や是正の指示を行う必要があるか否か、河川管理上の支障の有無を確認しましたが、問題ないと判断したと聞いております。
状況の報告を求めるに当たっては、河川法第七十八条に基づく方法のほか行政指導による方法もあり、事案の内容によって河川管理者が適切に判断するものと考えます。
○武田良介君 状況については、行政指導もあり得るという御答弁でありましたけれども、資料にあるように、国は七十八条に基づいてやるとしたわけですけれども、石川県はそうではないというふうに言っているわけで、対応が違うわけですね。河川法の七十八条に基づいて行っていないというふうに言っているわけであります。
前回の質疑を御覧になった金沢市民の方から、法令の根拠なく存置を認めることができるとなれば、河川管理者の恣意的判断が河川法に優越することになってしまうとか、あるいは、事前許可を得なくとも先に工作物を造って後で認めてもらえばよいということになってしまうと、こういう声が寄せられました。
法的根拠もなく、事後的に安全性を確認したらいいということを言い出したら、二十六条は何のためにあるのかということになってしまう。河川法上問題ないという認識を改める必要があるというふうに思います。
法案について質問させていただきたいと思います。
本法案では、大臣が航空脱炭素化推進基本方針、これを定めることになっております。この内容として、目標に関する事項を定めることになっているわけですけれども、国内航空についてどんな目標設定が必要と考えておられるでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国内航空では、大本に、今回の我々の計画の基礎になります、大本になります地球温暖化対策計画、これは政府全体のものですけれども、この地球温暖化対策計画において、二〇三〇年度までの排出原単位、単位輸送量当たりのCO2排出量を一六%改善する目標を設定しております。
この今回の法案に基づく航空の脱炭素化の推進に当たっては、この地球温暖化対策計画との調和が必要であることから、航空脱炭素化推進基本方針においてはこの目標を盛り込むことを想定しております。
○武田良介君 大臣にちょっと重ねて確認させていただきたいんですが、法案資料の説明を見ますと、国内航空について削減目標というのがあるんですね。二〇一三年度比一六%削減というのがあるんです、法案の説明資料。こういう数字の目標というのは掲げるお考えはあるんでしょうか。
○政府参考人(久保田雅晴君) お答えを申し上げます。
先ほど大臣答弁をいたしましたように、この地球温暖化対策計画との調和が必要でございますので、そのような一六%改善するという目標を設定していきたいというふうに考えておるところでございます。
○武田良介君 数字で書き込むということでよろしいですか。
○政府参考人(久保田雅晴君) 具体的に書き込んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
○武田良介君 法案の説明資料にある、今答弁もありました二〇一三年比一六%削減という、これは全体は先ほども温対計画という話がありました。四六%減という話とですね、これ一六%減と、これを比べると一六%が低いわけですけれども、これはどういう検討をされてこの目標なんでしょうか。
○政府参考人(久保田雅晴君) 地球温暖化対策計画を政府の部内で検討したときに、航空分野、特に国内航空についてどれだけのものができますかということを問われたわけでございます。私どもとしましては、今申しました二〇三〇年度までに二〇一三年比で排出原単位を一六%改善する、そういう目標を調整して打ち出したと、それが温暖化対策計画の中に盛り込まれた、そういう理解でございます。
○武田良介君 まあ航空分野なかなか厳しいということなんですよね、要は削減することが。
航空需要は増えていく、CO2の排出量は増えていく、これからも。インバウンドを取り込むとかいろいろありますよね。だから、全体そういうふうに考えている中でどれだけ削減するのか。それが厳しいということを検討されたということだと思うんです。そういうことでよろしいですか。
○政府参考人(久保田雅晴君) 航空輸送の将来需要も踏まえまして、輸送量を拡大していくこと、そんなことも検討しながらこの数字を打ち出したところでございます。
○武田良介君 輸送量の拡大を検討してということでありました。
国交省が示しているこの削減目標、今一六%というふうに言いましたけれども、単位輸送量当たりの削減ということになっているんですね。一方、資料をずっと見ていきますと、国内航空では年間で一千五十四万トン排出しているという数字が出てくる。さらに、排出量はこれから更に増えていくということ、今の答弁でも見込んでいるということ。そうであれば、総量を削減していくことが必要なんじゃないだろうか、総量規制が必要になるのではないかというふうに考えますけれども、大臣、この点いかがですか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 我が国の業界団体である定期航空協会においては、既に二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すという目標を掲げております。このように、既に業界団体や一部の航空会社、空港において自主的な脱炭素化の取組を進める動きが活発化しております。
今般の法案についてはこうした取組の更なる推進を目的とするものであり、航空運送事業者のCO2排出量に規制を設けることを目的とするものではありません。今後は、本日御審議いただいているこの法改正により導入する仕組みを活用して、航空会社の主体的かつ計画的な取組を促進しながら地球温暖化対策計画に掲げる目標達成を目指す、こういう方向でやっていきたいと思っております。
○武田良介君 航空会社の自主的な取組、やっぱりここに任せられてしまうということが私、最大の問題だというふうに思うんですね。求められる対策というのは日々変わるわけです。最新のIPCCの報告書でもどんどん変わっていく。そのときに、目標の設定の仕方、あるいは目標の高い低いというのもありますけれども、それについて政府が責任持って考え方を打ち出していくということはやっぱり大事だというふうに思うんですね。そのことをしっかり指摘をさせていただきたい。気候危機打開の仕事は政治の責任なんだということを重ねて指摘をさせていただきたいというふうに思います。
航空分野でCO2削減していくために、新技術、それから管制ですね、そしてSAF、三つの分野の取組が大事だということで言われています。すぐにできる対応として管制というのは非常に重要だということなわけですけれども、四回重ねられた検討会の中で運航方式の改善によるCO2の削減についても議論がされてきました、管制の部分ですね。
管制の高度化による運航方式の改善の工程表出されましたけれども、これ見ると、今後の取組において一〇%程度の削減を目指すというふうにされておりますけれども、これどういう目標なのか。一〇%削減というのは何年比で、何年までに一〇%削減ということがこれ書かれていないものですから、ちょっと御説明いただけますか。
○政府参考人(久保田雅晴君) 運航方式の改善の取組につきましてはいろんなフェーズがございますが、航空路、出発、到着、そして空港の場内といったそれぞれの面において更なる運航効率の改善策を推進していく、そういうふうに考えておるところであります。その長期目標としましてCO2一〇%の削減というものを、これは基準年が、これは地球温暖化計画、そういったそれぞれの計画に基づくものを考えてございますが、長期目標としまして一〇%の削減を目標としたいと思っておるところであります。
ちなみに、現在、ICAOにおきまして国際的な長期の議論がなされておるところでございます。この中においても、運航方式の改善によってどれだけ改善するのかということの議論がなされておるところでありまして、ケースいろいろとありますけれども、四%マイナスから一一%マイナス、そういった中の試算値が示されているというふうに承知をしておるところでございます。
○武田良介君 最後に一問聞かせていただきたいと思います。
第四回のこの検討会の議事要旨読ませていただきました。こういう指摘がありました。交通容量が順調に増えていくという想定がされているように見えるが、コスト増大により運賃が上がり、利用者が減っていくというストーリーもどこかで考えておいていただきたい、利用者、交通容量がどの程度になるかというのは見通しが難しくなっていて、一方的に増えていくという想定は必ずしも正しくないのではないか、こういう記載があります。
これはどういう御意見、指摘だったのか、この指摘に対する認識を最後に伺いたいと思います。
○政府参考人(久保田雅晴君) 委員御指摘の点につきましては、第四回の検討委員会、これは昨年の十二月十日に開催されたものでございます。その中におきまして、委員の中からそういう御意見があったということであります。
この委員会における、検討会における御指摘につきましては、今後も各種経済社会情勢の変化によりまして航空に係る利用者が常に増加していくとは限らないのじゃないか、そういう観点からの御発言と受け止めておるところでございます。ただ、一方、私どもとしましては、需要予測等に基づいて将来予測を出した上で検討しておるところでありまして、この航空利用者が着実に増加する場合にも十分この脱炭素の取組を進めていく必要があると考えておりますので、各分野においてしっかりとした取組を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○武田良介君 運賃が上がって利用者が減っていくというのは、具体的に、この中で。一方で、どの程度になるのか見通しが難しくなっていてと言っているんですね、なっていて。だから、運賃上がる以外にも、利用者が必ずしも増えるわけではないという要素が既にあるという意味をここでおっしゃっていると思うんです。新型コロナのこともあると思います。先ほどグレタさんの話もありました。別のモードを選ぶということもあるでしょう。そういうことも踏まえたら見通しが難しいんだということを言っている。
私、この指摘は非常に大事だと思うんですね。全体需要伸びていくということ考えているとおっしゃっていたけれども、やはりここの問題というのはしっかりこれから見ていかなければいけないということを思っております。
ちょっと時間が来ましたので、終わりたいと思います。